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第13話:青き炎の不死者

魔王の図書館は比類なき知識の聖域だったが、京也にとってそれは急速に退屈な金の檻になりつつあった。


彼は濃い紫のスライムの姿のまま、そびえ立つマホガニーの本棚にもたれかかり、無理やり吸収した百科事典的なデータを頭の中でめくっていた。地政学的地図、サンダーランドのマナ蒸気エンジンの設計図、四つの西方国家の歴史――それらは全て理論上は魅力的だった。


「認めざるを得ない」京也は心の中で嘲笑した。「初期産業革命について読むのは一つのことだが、実際にそれを見たい。魔法で動く列車? 濃縮マナを撃つ銃? 暗い洞窟で朽ちるよりはましだ」


「スチームパンク観光の夢を見るのを止めて、現実に集中しなさい」ノヴァの歯切れの良いデジタル声が彼の思索を遮った。「あなたの周囲ネットワークがピン留めしています。罠18、区域4。引っかかったものが完全に溶ける前に、見に行きなさい」


「はいはい。本当にお前は口うるさいな」京也はぶつぶつ言った。


迷路のような本棚の間を這って出口を探す代わりに、京也は単に【無形の体】スキルを起動した。彼の流体の体は振動し、図書館の濃密な魔力を帯びた石の壁を難なく通り抜けた。


「あなたは信じられないほど怠惰です」ノヴァはMPが減っていく中で窘めた。「たかが10秒の遠回りを避けるために魔力を消費しています。怠惰の罪は強欲と同様にあなたに似合っています」


「効率性こそが生存の核心だ」京也は反論しながら、暗い洞窟の廊下で再形成した。


しかし彼の皮肉は比喩的な喉で即座に死んだ。


新しい廊下に足を踏み入れた瞬間、周囲の気温が急降下した。それは地下深淵の自然な冷たさではなく、人工的で骨の髄まで凍るような寒さだった。京也のスライムの体は実際に激しく震え始めた。息苦しく恐ろしいオーラが空気を満たし、それは非常に濃密で、物理的な重力が彼を押しつぶしているように感じられた。


「宿主…」ノヴァの声が揺らぎ、いつもの傲慢な口調を落とした。「私…私は巨大な異常を検知しています。私の感覚アルゴリズムはエラーコードを返しています。ここの霊的圧力は…異常です」


「俺も感じている」京也は思い、彼の生存本能が叫んでいた。


彼の前に、100階層の粗雑な岩の形成物とはまったく異なる一組の扉が立っていた。それらはそびえ立つ巨大な黒曜石の板で、悶え、叫ぶ顔が複雑に彫られていた。


最大限の機動性と全ての物理ステータスへのアクセスが必要だと判断し、京也は【変身】を起動した。金色の光が彼を包み、新たに合成した人間の器へと固まった。彼は暗闇に立っていた。自分の糸で織ったシャープな仕立てのダークスーツを着た十代の少年。ボサボサの黒い髪には濃い紫のハイライトが混じり、鋭く分析的な紫の瞳を縁取っていた。


「幽体で行こう」京也は呟いた。彼は再び【無形の体】を起動し、黒曜石の扉を透過するために前に進んだ。


ドスッ。


京也は固い石に跳ね返され、額を擦った。「痛っ。なんだこれ…?」


「最高位の対魔法防護壁です」ノヴァが素早く分析した。「あなたの空間透過は完全に無効化されています。もし進みたいなら、物理的な力を使用しなければなりません」


京也はため息をつき、石の床に足を固定した。冷たい黒曜石に手を置いた。巨大で怪物的な850というSTRステータスを注ぎ込み、彼は押した。死にかけた獣のように響く重くきしむうめき声とともに、巨大な扉はゆっくりと開いた。


その先の部屋は想像を絶するほど広大だった――図書館よりもはるかに大きく、どの洞窟よりも論理的にあり得ないほど広かった。


巨大なギザギザの黒い石の柱が、完全に暗闇に包まれた天井まで伸びていた。柱からは鉄の燭台が下がり、普通の火ではなく、幽玄で魅了するような青い炎が燃えていた。その光は磨かれた床に長く不気味な影を落としていた。


京也は信じられないほど長い廊下を歩き始めた。その足音は、【深淵のヴェール】と【隠蔽】スキルのおかげで完全に静かだった。


「ノヴァ、レーダーチェック」京也は内部で命令した。


「ノイズです」ノヴァは緊張した声で答えた。「従来の生命反応をロックできません。しかし、進むほどにマナ密度が指数関数的に上昇しています。覚悟してください」


京也はその顔を完全に無表情のストイックな仮面のまま保ったが、心臓は肋骨に激しく打ちつけていた。忍び寄る恐怖は耐え難かった。ついに、長い廊下は巨大な高台へと開けた。


階段の頂上には、一個の巨大なルビーから彫られた玉座があった。


そしてその玉座に、一つの影が座っていた。


それは絶対的な支配力をもって座し、京也の侵入に全く動じていなかった。足は無造作に組まれ、片方の肘は玉座の肘掛けに置かれ、顎は青白い手のひらにだらりと乗せられていた。その姿勢は信じられないほどリラックスしていたが、同時に京也が溺れそうになるほどの重い権威を放っていた。


強化された暗視を持っていても、青い炎は影をあまりにも多く作り出し、その顔を識別することはできなかった。


しかし玉座からの彼女の有利な位置から、ソフィアは彼を完璧に見ることができた。


彼女はダークスーツの少年を見下ろした。彼が何であるかを正確に知っていた。彼女はその暴力的で必死な紫のスライムが、自分のダンジョンのフロアを征服するのを見ていた。今、人間の少年に化けている彼を見て、彼女は純粋で陶酔的な amusement で満たされた。彼女はその表情を完璧に平静に保ち、胸の中で泡立つ狂気の興奮を隠した。


突然、銀色の不自然な月明かりの一条が、ヴォールト天井の隙間から差し込み、玉座を直接照らした。


影が退き、京也はついに彼女を見た。


彼女は息をのむほど、恐ろしいほど美しかった。完全に人間に見えたが、完全に異世界的だった。その肌は磁器のように青白く、彼女の衣装――腰にしっかりと巻き付いた真夜中の黒いレザーコルセット、それは壮麗でボリュームのある深紅のドレスへと流れていた――と鮮やかで暴力的なコントラストをなしていた。新鮮な血の色を裏地にした重いマントが、深紅の川のように彼女の足元に広がっていた。彼女の髪は信じられないほど長く、表面は真夜中の黒の滝だが、下のレイヤーは鮮やかで活気のある赤だった。


そして彼女の目。それらは紫だった。京也の目と全く同じ色合いだった。


青いホログラフィックのシステムウィンドウが、二人の間の空間を激しく粉砕した。


【警告】

【対象識別:ソフィア・ヴァイルブラッド】

【称号:血に染まった魔王】


京也の心はマイクロ秒間停止した。魔王。この世界のラスボス。彼女は前線で軍隊を率いているのではなく、深淵の最下層に座っていた。


「宿主…宿主、私…」ノヴァの声はノイズに変わった。彼らの前の存在のあまりの規模に完全に圧倒されて。


ソフィアは一言も発しなかった。ただ、小さな amused な笑みを浮かべ、その紫の瞳を京也に固定した。ゆっくりと、優雅に、彼女はルビーの玉座から立ち上がり、血のように赤いマントを引きずった。


京也は考えなかった。独白しなかった。躊躇しなかった。


もしこれが魔王、上の終わりなき戦争の原因である存在なら、彼は先手を打ち、完璧に打たねばならなかった。


「【魂収穫】」京也は思い、その目が激しく光った。


彼は瞬きよりも速く50フィートの距離を詰め、そのAGIステータスは音速を破った。右手には、アビサルリーパーの巨大な死霊の骨の鎌が空中から物質化した。彼は闇マナの全てを刃に注ぎ込み、体をひねり、鎌を彼女の青白い首に向けて完璧な lethal な弧を描いて振るった。


シュッ。


物理的な抵抗は無視できるものだった。鎌は恐ろしいほどの容易さで肉と骨を切断した。


ソフィアの美しい頭が肩から切り離された。それは空中で回転し、彼女の黒と赤の髪は暗い暈のように広がった。切断された首から動脈血の巨大な噴水が噴出した。熱い深紅の飛沫が京也の上に降り注ぎ、彼の顔の左側と真っ白なシャツの襟を真っ赤に染めた。


ソフィアの頭は鈍い音を立てて床に落ち、数フィート転がった。


京也は玉座の後ろに優雅に着地し、血まみれの鎌を両手にしっかりと握った。彼は荒く息をし、紫の瞳は見開かれていた。


「まさか…魔王を倒したのか?」京也は思い、アドレナリンで手が震えた。「ノヴァ? 報告!」


彼の頭の中は完全な沈黙。AIは処理ループに閉じ込められていた。


背後で、体が倒れる音はしなかった。


京也はゆっくりと振り返った。


ソフィアの斬首された体は、まだ完全に直立していた。少しもよろめいていなかった。


突然、床に溜まっていた血が動き始めた。重力に逆らい、ドレスを、コルセットを這い上がり、首の断端に集まった。血は急速に結晶化し、システムの論理を無視する速度で骨、筋肉、皮膚を編み合わせた。2秒以内に、血の生えた茎から真新しい頭が生えた。床にあった古い頭はただ単に、深紅のマナの水たまりに溶けていった。


ソフィアは新しい肩を回し、青白い手で新しく生成された黒と赤の髪を撫でた。彼女は京也を見下ろし、その紫の瞳が突然、強烈で歪んだ陶酔で燃え上がった。


斬首の苦痛は彼女を怒らせなかった。それは彼女を煽った。ソフィアにとって、流された血の一滴一滴は、歪んだ絶妙な快楽の形だった。


彼女は頭を後ろに投げ出し、甲高くメロディアスな笑い声が洞窟のような玉座の間に反響した。それは邪悪には聞こえなかった。美しく魅了する呪いのように聞こえ、京也の心を包み込んだ。


「おやまあ…」ソフィアは息をつき、その声は豊かで、暗い喜びを滴らせていた。彼女は青白い指を完璧な首に滑らせ、はみ出した血の一滴を捉え、指先から舐め取った。「私にあんな傷を負わせることができたのは何世紀ぶりかしら。本当に、見事な一撃だったわ」


彼女は高台から降り、その顔が彼女の血で飛び散った少年に向かってゆっくりと歩いた。


「しかし alas」彼女は微笑み、恐ろしいほど母性的な表情が彼女の顔を横切った。「それは、ほんの少しだけ足りなかった」


二つ目のシステムウィンドウが京也の視界に無理やり開かれ、暗く金色の光を滴らせていた。


【隠し称号が露見:絶対不死者】


京也は鎌をより強く握りしめ、その頭は何千もの戦術シミュレーションを駆け巡り、絶対的な斬首を生き延びる何かを殺す方法を見つけようとしていた。


突然、ノヴァの声がオンラインに戻り、彼の心の中のパニックを切り裂いた。


「宿主」ノヴァは言った。そのデジタル声は完全に困惑していた。「戦闘サブルーチンをキャンセルしなさい。武器を下ろしなさい」


「正気か⁈」京也は内部で叫んだ。「あれが魔王だぞ!」


「彼女の霊的圧力のスキャンを完了しました」ノヴァは主張した。その口調は完全に真剣だった。「宿主…彼女の敵意レベルは絶対零度です。彼女は戦闘スキルを一つも起動していません。彼女はあなたに対して一切の殺意を持っていません」


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