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第12話:消去された世界の断片と聖なる封印

私の名前は湊達也。


もし地球で私の人生をどう説明するかと聞かれたら、私はこう答えただろう――完璧で、麻痺するほど満たされている、と。私は裕福な家庭の一人っ子として生まれた。両親は私を愛していた、むしろ愛しすぎていた。彼らは私の気まぐれを全て叶えた。最新のゲーム機? 発売日に私のもの。壁一面の綺麗な漫画の全巻? もちろん。私が指さすものは何でも手に入れた。しかし、その広くて静かな家で、金で買えるあらゆる気晴らしに囲まれながら、私は完全に孤独だった。


私はそれを気にしなかった。あるいは、気にしないと自分に言い聞かせていた。高校一年、1年A組の初日までは。私は後ろの列に座り、オリエンテーションのおしゃべりを無視して、ニンテンドースイッチに没頭していた。人気のアクションRPGで、特に手強いボスを倒しているところだった。突然、私の机に影が落ちた。「わっ! もう灰の城にいるのか?!」私は驚いて顔を上げた。そこに立っていたのは、ボサボサの髪と、大きく気さくな笑顔の少年。大輝だった。彼は座ってもいいかと尋ねたりはせず、ただ椅子をくるっと回してまたがり、その目を私の画面に釘付けにした。「すげえ! 俺、前衛の騎士で三日間も止まってたんだ。お前のパリィのタイミング、神がかってる!」


彼は話し続けた。ゲームのこと、メカニクス、ストーリーのこと。生まれて初めて、誰かを遠ざけたい衝動を感じなかった。胸の中に奇妙な、締め付けられる感覚があった。そこで泣きそうになった。ただ…嬉しかった。「あ、やべ」大輝は突然笑い、首の後ろをかいた。「悪い、自己紹介してなかったな。俺、大輝」


私は小さく笑った。「達也だ」


それだけだった。その瞬間、私の世界は広がった。すぐに私は大輝を家に招くようになった。彼と一緒に玄関をくぐった時の両親の顔は忘れられない。彼らは廊下に立ち、カットした林檎の皿を持ち、瞬きもせずに私たちを見つめていた。「お母さん、お父さん、怖がらせてるよ」と私はため息をついた。しかしよく見ると、母の目には涙があった。彼らはただただ、息子にやっと友達ができたことが、心から嬉しかったのだ。


大輝を通して、リナに出会った。大輝はこの「伝説のプレイヤー」を大げさに褒めていて、二人を合わせたよりもレベルが高いという。私は汗まみれのハードコアゲーマーを想像していた。リナが優しい笑顔で私たちに歩み寄った時、私は恥ずかしさでほとんど話せなくなった。彼女はただ、私の赤い顔にクスッと笑った。


私たちは三人でパーティーを組んだ。私たちは切っても切り離せなかった。時々、教室を見回すことがあった。後ろの席で静かに座り、窓の外を眺めている別の少年に気づいた。草薙京也。彼は私のように見えた――退屈そうで、無関心だった。彼に話しかけて、私たちの輪に引き入れようかと考えた。でも、結局しなかった。もしそうしていたら、どうなっていただろう。


しかし今、教室はない。Switchもない。


私の夢の暗い深淵で、私は黒曜の裂け目に立っていた。空気は灰の匂いがした。大輝は数フィート先に立っていたが、その輪郭はぼやけ、金色の光に溶けていた。「大輝」私は声を詰まらせて懇願した。彼のところに走ろうとしたが、足が動かなかった。システムが私を押さえつけていた。「ごめん。お願いだ、行かないで」


大輝は微笑んだ。初日に見せたのと同じ、気さくで無頓着な笑顔だった。「俺、お前に会えてよかったよ、達也。ずっと憧れてたんだ、知ってたか? お前は欲しいものは何でも手に入れられたのに…でも俺と一緒にいてくれた」


彼は一歩後退し、その体はさらに速く消えていった。「この場所のことは心配するな。元の世界にリスポーンするだけだ。戻ってきたら…また一緒に好きなゲームをやろう。置いてくなよ、相棒」


「大輝!」


暗闇の中で涙が頬を伝った。


◆


場所:ヴァエロリア首都 王室客室


達也の目がパッと開いた。


彼は息を呑まなかった。叫ばなかった。ただ、王室の寝室の無垢なフレスコ画の天井を茫然と見つめた。ステンドグラスの窓から差し込む日光は温かかったが、彼は完全に虚ろに感じていた。冷たい涙がひとすじ、目尻からこぼれ、青白い頬を伝い、絹の枕に染み込んだ。


「起きたわ」


柔らかい声に達也はびくりとした。ゆっくりと頭を向ける。ベッドの近くのふかふかの椅子に座っているのは、リナとサキ、そして他の数人のクラスメイトだった。彼らは疲れ果てているようで、その目は隈で縁取られていた。


達也はゆっくりと起き上がり、豪華な毛布が腰の周りに溜まった。彼は自分の手を見た。手は清潔だったが、彼の心の中では、それらは永久に深紅に染まっていた。彼はクラスメイトを見上げた。その灰色の目は、壊れやすく傷つきやすい脆さで震えていた。


「俺は…」達也は始めた。その声はかすれ、壊れた嗄れ声だった。「どう謝ればいいのか、全然分からない。どうやって許しを乞えばいいのか、全然分からない」


彼は彼らが怒鳴ると思っていた。サキが武器を抜くと思っていた。彼にはその価値があった。


代わりに、布の擦れる音がした。リナが立ち上がり、部屋を横切って、両腕を彼の首にしっかりと巻き付け、深く必死な抱擁に彼を引き寄せた。


達也は固まり、息を詰まらせた。


「馬鹿」リナは激しくささやき、その顔を彼の肩に埋めた。「私たち、あなたが完全にシステムに飲み込まれたかと思ったの。戻ってきてくれて、本当に、本当に嬉しい」


達也はゆっくりと腕を上げ、ためらいがちに抱き返し、静かな嗚咽がついに彼の胸を引き裂く中、その顔を手に埋めた。


その後、感情の嵐がある程度過ぎると、リナはベッドの端に座り、その表情は真剣になった。サキが二人にお茶を注いだ。


「冒険者ギルドと王は、黒曜の裂け目で何が起こったのかについて、完全な報告を要求している」リナは静かに説明した。「あなたが不可能な数の高ランクモンスターを倒したこと、そして私たちが大輝を失ったことは分かっている。でも…彼らは大輝がどうやって死んだのかを知らない。私はギルドマスターに、あなたが起きるまで公式のパーティーレポートを提出しないと言ったの」


彼女は達也の目をじっと見つめた。「私、隠せるわ。アラクネが彼を殺したと言うこともできる。サキたちも、私たちが選ぶ話に合わせてくれるって同意してる。あなたはどうしたい?」


達也はカップの中で渦巻くお茶を見つめた。昔の達也――無関心で計算高いゲーマー――なら、自分の立場を守りペナルティを避けるために隠しただろう。


「いや」達也ははっきりと言い、その声は落ち着きを取り戻した。「嘘はつかない。自分がしたことを正確に認める」


◆


場所:ヴァエロリア首都 大謁見の間


ヴァエロリアの謁見の間は、威圧的な建築の傑作であり、白い大理石のそびえ立つ柱と深紅の旗で装飾されていた。最も奥には、レギス・アルダス王が座っていた。厳格で威厳のある、太い灰色の髭の男で、最高の公爵たちとエーテルガルドのギルドマスターを従えていた。


達也は広大なフロアの中央に立ち、武器を剥奪され、庶民の質素な服を着ていた。リナ、サキ、そして残りの前衛の生徒たちが数歩後ろに立っていた。


広間に響く沈黙は、達也の着実で揺るぎない告白によって破られた。


「私は完全に自分を制御できませんでした」達也は認めた。その声は大理石の上に完璧に響いた。「戦闘に入ると、私の究極スキル【無止境の狂乱】が自動的に起動します。呪われた称号【戦闘愛好者】と組み合わさることで、それは私の認知状態を強制的に変えます。共感は抑制されます。私の殺戮本能は、人間、悪魔、ダンジョンモンスターの区別がつかなくなるまで、システムによって人工的に高められます。システムは単に、周囲の全てを殺せと私に叫ぶのです」


彼は頭を下げた。「私は最も親しい友人を殺しました。正気に戻れた唯一の理由は、その事実に衝撃を受けたからです」


集まった貴族たちの間で重いざわめきが広がった。ギルドマスターは厳しい表情を浮かべ、何かを王の耳元でささやいた。


アルダス王は身を乗り出し、拳に顎を乗せた。「英雄殿。あなたの力は、この王国が切実に必要としている一方で、深く恐れている諸刃の剣です。我々は最大の前衛を投獄する余裕はありませんが、狂犬を自軍に放つこともできません」


王はため息をついた。「王令により、私はあなたに正式な罰を科さない。戦友の喪失は、あなたの魂が負うには十分に重い鎖だ。あなたの裁きは、あなたの隣で戦わなければならない友人たちに委ねる」


「陛下、抗議します!」長身で鷹のような公爵が前に出て、その顔を紅潮させた。「もしこの『呪い』が再び発動したらどうなるのですか? もし彼が戦場で正気を失い、その魔法を我々の王室騎士に向けたら?」


達也が答える前に、リナが前に出た。その金色の目は反抗で燃えていた。


「そんなことにはなりません」リナは宣言した。


公爵はしかめ面をした。「小さなヒーラーよ、それをどう保証するのだ?」


「彼のシステムパラメータをブロックしたからです」リナは手を上げて言った。彼女の指の周りに、鮮やかで心地よい金色のオーラが燃え上がった。「私の高位聖魔法を使って、【神聖なる封印】を達也くんのステータスボードに直接かけました。彼の呪われた称号を強制的に鎖でつなぎました。私のマナを粉砕しなければ、それは発動できません」


謁見の間は衝撃で静まり返った。他人のシステムインターフェースを操作することは不可能とされていたのだ。


「もしあなたの封印が破れたら?」公爵は詰め寄り、その目を細めた。「虐殺の責任は誰が取る?」


「私が取ります」リナは一片の躊躇もなく言った。彼女は達也を見て、その表情は断固としていた。「もし達也くんが再び制御を失ったら、私が彼を止めます。どんな手段を使ってでも、彼を連れ戻すか、それとも…彼を仕留めます。彼は私の責任です」


達也はリナを見つめ、心臓が肋骨に激しく打ちつけていた。貴族たちはひそひそと話し合ったが、アルダス王は手を上げて部屋を静めた。若い少女の声の中の絶対的な確信で十分だった。宮廷の心配事は、ヴォールトの天井へと消えていくようだった。


◆


場所:ヴァエロリア首都 ギルド居住区


その夕方、生き残ったクラスメイトたちは冒険者ギルドのプライベートな居住区に集まった。カスケディアの大きな地図が木のテーブルの上に広げられていた。


「私たちはヴァエロリアに留まっていられない」リナは地図の上に線をなぞりながら言った。「かなりレベルは上がったけど、この悲劇で小さなグループでは脆弱すぎることが証明された。私たちは分裂している」


「じゃあ、どうするの?」サキが壁にもたれて尋ねた。


「他の人たちを見つける」リナは断言した。「木谷くん、ケンジくん、健人くん…彼らは東方大陸にいるはず。サンダーランドかフロンティエラで前線を守っている。離れているより一緒の方がいい。私たちはスキルを集結させて、このシステムの背後にある真実を解明する必要がある」


部屋の隅から、達也は黙ってうなずいた。「リナの指示に従う」


同意のざわめきが部屋に広がった。彼らには新しい目的ができた。


打ち合わせが終わり、少年たちが装備をまとめに去ると、部屋には女子だけが残った。サキはリナのところに歩み寄り、遊び心で彼女の肩をぶつけた。


「ねえ」サキは悪戯っぽく目を輝かせて笑った。「あなた、公爵に立ち向かった。彼のシステムを強制的にハッキングした。そして、一生彼の責任を取ると約束した。絶対に湊くんに興味がないって、本当に言い切れるの?」


リナの顔は一瞬で深紅に染まり、謁見の間での自信に満ちた司令官のオーラは完全に消え去った。


「な、ななっ⁈」リナはどもり、必死に手を振った。「違う! 全然そんなんじゃないの! ただ…私はヒーラーよ! 前衛の面倒を見るのが私の仕事! 純粋に戦略的なの!」


部屋の他の女子たちは笑い声をあげた。


「そうそう、純粋に戦略的なのね」別の少女が鞄を詰めながらからかった。「気をつけてね、リナちゃん。1年A組の狂犬を飼いならすのは、フルタイムの仕事になるわ」


悲しみと迫り来る戦争の只中で、束の間、ほんの一瞬だけ、部屋はまた普通の高校の教室のように聞こえた。


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