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第11話:奈落の墓標

ヴァエロリア王国の首都、エーテルガルドは、そびえ立つ白い石と深紅の瓦屋根が広がる大都市で、東方で猛威を振るう戦争の厳しい現実とは対照的だった。


冒険者ギルドの洞窟のような大広間で、リナと彼女のクラスメイトたちは、居住区の重いオークのテーブルの周りに身を寄せ合って座っていた。彼らは高位の装備の上に、質素で目立たないウールのマントと無地の革のチュニックを羽織り、わざと粗末な格好をして不必要な注目を避けていた。彼らは安全にレベルを上げるために、標準的な低リスクの討伐クエストを探しているはずだった。


突然、ギルドの重い両開きの扉が勢いよく開いた。血まみれで息を切らせた冒険者がホールによろめき込み、その鎧はへこみ、目はパニックで見開かれていた。


「緊急報告だ!」男は息を切らし、ギルド職員が駆け寄る中、膝をついて倒れ込んだ。「黒曜の裂け目だ…第四区域…惨劇だ! 高ランクのモンスターが狂っている!」


目の上に傷跡のある厳しい女性のギルド受付係が急いで駆け寄った。「誰がそこに閉じ込められているの? 救助を送るにはパーティー構成が必要です!」


「パーティーなんてない!」冒険者は咳き込んだ。「一人のガキだ! 新しいランクAだ! 湊達也! 彼は完全に一人で最深区域に入っていった!」


賑やかなギルドホールに、重く息苦しい沈黙が落ちた。黒曜の裂け目は西方大陸で最も危険な迷宮の一つであり、ランクSのベテランパーティーでさえ慎重に足を踏み入れる場所だった。ギルドにとって、達也は単なる高ランクの新人ではなかった。彼の前例のない成長率は、いずれ魔王を倒す希望の光となっていた。彼を失うことは戦略的に許されなかった。


自分のテーブルで、リナは立ち上がる際に椅子をガチャンと床に倒した。「行くわ」


青ざめて震えるクラスメイトたちは、反論しなかった。森での恐ろしい行動にもかかわらず、達也は依然として彼らの一人だった。彼はクラスメイトであり、地球から来た少年であり、彼らはこの悪夢の世界に彼を絶対に渡すまいとしていた。


リナは受付係のところへ一直線に向かった。「裂け目の場所を教えて。私たちが彼のパーティーよ」


受付係はリナの輝く金色の目を見て、召喚された英雄たちのユニークなマナのシグネチャーを認識した。「ギルドは彼を見捨てません。私は最上位の前衛チームを即時派遣することを承認します」女性は厳かに言った。「しかし、彼らが集結するには時間が必要です。あなたたちは先に行っても構いませんが、深くまで進みすぎないでください! もし彼が狂乱に飲み込まれたなら、自分たちが死んで彼を救うことはできません」


グループがギルドを飛び出し、エーテルガルドの石畳の通りに駆け出す中、リナは唇を噛みしめ、心臓は肋骨に激しく打ちつけていた。なぜ私の小鳥は警告してくれなかったの? と彼女は必死に思った。彼を見ていてくれるように頼んだのに。なぜ戻ってこなかったの? 彼女は、自分が仲良くなった優しい小さな生き物が、ささやきの森で放たれた黒い雷の誤った一撃によって、すでに蒸発して死んでいたことを知る由もなかった。


◆


場所:黒曜の裂け目 一階層


ダンジョンの入り口は、死んだ山の側面にある、大きく開いたギザギザの大口だった。


リナたちが中に足を踏み入れた瞬間、銅と排泄物の悪臭が物理的な壁のように彼らを襲った。石の床は新鮮な濃い血で滑らかだった。無残に切り裂かれたゴブリンアサシンとホブゴブリンの死体が廊下に散らばり、その体は闇の魔法で焦げ、力技で引き裂かれていた。


少女たちの中には口を押さえて吐き気をもよおす者もいれば、少年たちは震える手で武器を抜いた。


「進み続けろ」と大輝が促した。彼は重い大剣を扱う長身の少年だった。地球では、大輝は達也の最も親しい友人だった。彼らは音声通話で何百時間も過ごし、MMOで夜明けまでレベルを上げていた。「達也は馬鹿だが、強い。ただ正気に戻させればいいんだ」


地下深くの深淵で、達也は命を懸けて戦っていたわけではなかった。彼はコンサートを開いていた。


視界の隅にある彼のHPとMPバーはほとんど点滅しなかった。彼の究極スキル【無止境の狂乱】は、全ての痛みと疲労を純粋無垢なアドレナリンに変換し、一方彼の呪われた称号【戦闘愛好者】は、彼が流す血の一滴ごとにマナ回復を激しく加速させた。


彼の唇は耳まで裂けたグロテスクな笑みに歪み、地球で見せていた静かで無気力な態度を完全に打ち砕いた。彼の灰色の髪は返り血で固まり、その目は見開かれ、恐ろしい狂気の光で輝いていた。


彼は歩く災害だった。彼の体から放たれる周囲の殺意の濃度は非常に高く、低レベルのモンスターの中には、彼から逃れようと自らダンジョンの壁に体当たりするものまでいた。システムは彼を真のモンスターと認識していた。


「もっと…」達也はささやいた。その声は不気味な残響で震えていた。「もっと経験値が必要だ。もっと速く湧け!」


圧倒的な血の匂いと濃密な闇マナの集中が、ついにダンジョンの防御機構を作動させた。影が歪み、手ごわい連中が到着した。巨大な鉄のゴーレムが暗闇から重苦しく現れ、深淵の炎をまとった三つ首のヘルハウンドの群れ、そして二体の浮遊する骸骨のリッチを従えていた。


恐怖の代わりに、達也は多幸感の高まりを感じた。彼は笑った――壊れたギザギザの音――そして自分自身をヘルハウンドの顎の中に直接飛び込ませた。


この絶対的な惨劇の部屋に、リナと彼女のグループがついに到着した。


「湊くん!」リナは叫び、その声がモンスターの咆哮の上に響いた。


達也は少しもたじろがなかった。彼は冷静にヘルハウンドの飛びかかりをかわし、その獣を真ん中の頭で掴み、頭蓋に致死量の黒い雷を流し込み、不気味な風船のように破裂させた。


彼はゆっくりと入り口の方へ頭を向けた。その灰色の目は認識を完全に欠いていた。彼は自分のクラスメイトを、ただの迷惑な低レベルのモブの別の波であるかのように見ていた。


「なぜ…」達也は首を傾げ、その笑みは痛々しいほどに歪んだ。「お前たちは…なぜ…死に…たいのか?…」


息苦しいほどの殺意の波動が彼の体から爆発した。それは物理的な打撃のようにクラスメイトを襲った。数人の生徒が膝をつき、空気を求めてあえぎ、その心は純粋な恐怖で麻痺した。


リナだけが立っていた。彼女の高位の聖マナが、闇の圧力に対する自然の緩衝材として機能していた。


「湊くん、上よ! 危ない!」リナは金切り声を上げた。


達也の真後ろの洞窟天井から、巨大なアラクネ――巨大な蜘蛛と女のグロテスクな融合体――が静かに降りてきて、その刃のような脚は彼の首をはねようと構えていた。


達也は見上げさえしなかった。彼は人間離れした敏捷性で後ろに跳び、空中でひねった。巨大で複雑な黒い魔法陣が、彼の差し出した手のひらの前に物質化した。


「消えろ」


まばゆい轟く暗黒雷の奔流が魔法陣から噴出した。それはアラクネに至近距離で直撃した。爆発は壊滅的だった。純粋な圧力の衝撃波と濃い有毒な煙が洞窟を吹き抜け、残りのゴーレムを粉砕し、生徒たちを後方に吹き飛ばした。


リナは目を覆った。煙がゆっくりと晴れると、彼女は焦げて原形をとどめないアラクネの残骸を見た。


しかし同時に、彼女は湿った恐ろしい喘ぎ声も聞いた。


「いや…」リナは息を呑んだ。


爆心地から10フィート離れた地面に、大輝が横たわっていた。彼は後ろの少女たちを守るために衝撃波を防ごうと前に出たのだ。彼の革鎧は溶け、恐ろしい蜘蛛の巣状の黒い静脈が彼の首まで急速に広がっていた。


リナは彼の側に全力で駆け寄り、膝をついた。彼女の手はまぶしい金色の光で輝いた。「【高級回復】! 【浄化】! お願い、効いて!」


彼女はマナを大輝の胸に注ぎ込んだ。しかし金色の光は、黒い静脈に触れた瞬間に激しくシューッという音を立てて消え去った。達也の魔法は単なる物理的な雷ではなかった。それはアラクネの周囲の毒と混ざった、高濃度で腐食性の闇の魔法だった。


リナは歯を食いしばり、顔を涙が伝う中、総MPの半分を一度の必死の回復の波動に注ぎ込んだ。しかしそれは、コップ一杯の水で森林火災を消そうとするようなものだった。少年に効果は全くなかった。


大輝の目が反り返った。彼の呼吸が胸の中でゴロゴロと鳴り、そして、ゆっくりと、完全に止まった。


リナの金色のオーラは粉々に砕けた。彼女は前に倒れ込み、マナ欠乏で視界の端が暗くなった。同じクラスの別の少女、サキが慌てて前に出て、リナの肩を掴んで完全に倒れるのを防いだ。


「ごめんなさい」リナはすすり泣き、大輝の生気のない顔を見つめた。「本当にごめんなさい…私には…」


「お前…」一人の少年が震え、怒りに震える指を、がれきの中に優雅に着地した達也に向けて突きつけた。「お前が殺したんだ! お前が大輝を殺したんだ!」


達也はゆっくりと振り返り、狂気の笑みはついに冷たく無感情な無関心の仮面に消えていった。彼は死んだ目で大輝の死体を一瞥した。


「それは俺のせいじゃない」達也は平坦な声で言った。「彼がAoE範囲内に立っているべきではなかった。お前たちが皆、弱いからだ。弱虫は迷宮で死ぬ。この世界に弱虫の居場所はない。ただのメタだ」


「彼はあなたの友達だったのよ!」リナは叫び、その声は生々しい苦痛で割れていた。「彼はNPCじゃない、湊くん! 彼はあなたの一番親しい友達だったの!」


達也は凍りついた。


「俺の…友達? 大輝?」


彼の感情を抑圧していたシステムの呪いが、抑圧された記憶と激しく衝突した。彼は再び大輝を見下ろした。突然、それはダンジョンの中のただの死体ではなくなった。


デュアルモニターの明かり。空っぽのエナジードリンクの缶。ヘッドセットを通して笑う大輝の声。「おい、達也、もう一度レイド行こうぜ! 置いてくなよ、相棒!」


そして、かすかな音の残響が達也の耳に届いた。それは、稲妻が彼を飲み込む直前に大輝が何とか絞り出したささやきの断片だった。


「なあ…達也…お前、変わったな…正気を失ったのか…?」


達也の顔の冷たい仮面が粉々に砕けた。彼の瞳孔は絶対的で純粋な恐怖で拡張した。


「ああ…」達也は詰まり、一歩後退し、血に染まった剣を落とした。「ああ…あああああっ!」


彼は頭を抱え、認知的不協和が彼の精神を激しく引き裂いた。彼の意識的な制御なしに、彼の中で渦巻く闇マナの巨大な貯留庫は完全に暴走した。


巨大で制御不能な黒い雷と生の運動エネルギーの波が彼の体から噴出した。洞窟の壁はひび割れ、うめいた。鍾乳石が天井から落下した。近づこうとする生き残りのモンスターは、制御不能な魔法の局所的な嵐によって即座に蒸発した。


しかし奇妙なことに、混沌の大渦の中でも、雷の一筋や落石の一つさえも、リナ、大輝の遺体、あるいは他のクラスメイトには触れなかった。達也の人間性の深く埋もれた一片が、必死に破壊的な魔法を彼らの周りで曲げ、彼らを自身の力から守っていた。


苦痛の長い三分間、ダンジョンは彼の周りで自らを引き裂いた。


そして、突然、嵐は止んだ。


【MP:0】の通知が達也の頭の中で点滅した。彼の目は反り返り、血に濡れた床に完全に意識を失って崩れ落ちた。


洞窟は、死のような耳鳴りのする静寂に包まれた。


リナはゆっくりと瓦礫の上を這い、膝を血だらけにしながら、達也の無意識の頭を自分の膝の上に引き寄せた。彼女は彼の顔を見なかった。ただ、暗い洞窟の壁を茫然と見つめた。


しばらくして、重い装甲のブーツの音が廊下に反響した。エーテルガルドギルドの最上位の前衛冒険者たちが武器を構えて部屋に飛び込んできたが、その破壊の規模に足を止めた。


巨大な戦斧を持つ大柄な男、ギルドマスターは、泣いているティーンエイジャーたち、意識を失ったランクAの天才、そして床の上の死んだ少年を見渡しながら、ゆっくりと武器を下ろした。


彼は兜を脱ぎ、深く頭を下げた。「我々が…遅すぎたことを、心から…申し訳なく思う」


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