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無色と十二の旅(アルとジュウニのシルシ)  作者: Matyu
第4章:翠色の空(アルのフライト)
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第4章・第16話 翠翼の継承

――風を継ぐ巫女よ。


――閉ざされた空を前に。


――お前は、何を選ぶ。


始祖の声が、翠色の空間に響いていた。


シルフィードは答えられなかった。


王を救いたい。


国を守りたい。


空を取り戻したい。


その全てが本心だった。


けれど、その全てを一人で背負えるほど、自分が強いとは思えなかった。


王は侵されている。


けれど、ただ外から操られているだけではない。


国の中にあった歪み。


王の中にあった恐れ。


それらが、黒きものを招いた。


ならば、王を救うということは、ただ黒い靄を払うことではない。


国そのものが抱えた歪みと向き合うことでもある。


シルフィードは唇を噛んだ。


「私は……。」


声が震える。


「私は、王を救いたい。」


「でも、王命によって国が傷つくなら、それを止めなければならない。」


「空を閉ざす命令に、従うことはできない。」


そこで言葉が止まった。


続きが出てこない。


言わなければならない。


巫女として。


この国に選ばれた者として。


そう思えば思うほど、胸の奥が重くなる。


自分が答えなければ。


自分が背負わなければ。


自分が、この国を。


「私が……。」


シルフィードがそう言いかけた時だった。


「シルフィード。」


ハルトの声が、風の中に落ちた。


公の場ではない。


部下も民もいない。


だから、その呼び方は自然にこぼれた。


シルフィードは、わずかに目を動かす。


「ハルト……?」


ハルトは一歩、彼女の隣へ進んだ。


「一人で答えようとしないでください。」


その言葉に、シルフィードの瞳が揺れる。


「でも、私は巫女だから。」


「はい。」


ハルトは頷いた。


「あなたは巫女です。」


「けれど、一人で国を背負うために、巫女になったわけではないはずです。」


シルフィードは言葉を失った。


ハルトは、翠色の空を見上げる。


「私は、あなたを守ると言いながら、ずっと勘違いをしていたのかもしれません。」


「勘違い……?」


「あなたが前に立つのを、後ろから支えることが側近の役目だと思っていました。」


ハルトは静かに拳を握る。


「けれど、それでは結局、あなた一人に背負わせていた。」


シルフィードの表情が揺れた。


ハルトは続ける。


「王を止めることも。」


「王を救いたいと願うことも。」


「国の歪みに向き合うことも。」


「それを、巫女だからという理由で、あなた一人の答えにしてはいけない。」


風が二人の間を通り抜ける。


シルフィードは小さく呟いた。


「でも、あなたまで巻き込むことになる。」


「十歳の頃から巻き込まれています。」


「それ、今言うこと?」


「今だから言っています。」


いつもの軽口。


けれど、ハルトの目は真剣だった。


「私は、あなたの後ろに立つためにここにいるのではありません。」


「あなたが迷った時、隣で同じ風を見るためにいます。」


「王を止めるなら、私も止めます。」


「王を救いたいと願うなら、私もその願いを捨てません。」


ハルトは始祖を見上げた。


「風の始祖よ。」


「私は巫女ではありません。」


「王でもありません。」


「けれど、風の国に生きる者として答えます。」


「私は、シルフィードを一人にしない。」


「王命に従うだけの側近ではなく、彼女が選ぶ道を共に進む者になります。」


シルフィードは息を呑んだ。


その言葉は、彼女の背負っていた重さを消したわけではない。


けれど、確かに支えた。


一人ではない。


その事実が、胸の奥に流れ込んでくる。


始祖は何も言わない。


ただ、静かに二人を見ていた。


シルフィードは、震えていた手をゆっくりと胸に当てた。


「私は……。」


今度の声は、少しだけ違っていた。


震えは残っている。


迷いも消えていない。


それでも、先ほどよりも確かに前を向いていた。


「私は、王を救いたい。」


「でも、王の命令だからといって、国を傷つける命令には従えない。」


「だから私は、逃げません。」


「王を止めることから。」


「王を救いたいと願うことから。」


シルフィードは隣に立つハルトを見る。


ハルトは静かに頷いた。


その頷きに支えられるように、シルフィードは続ける。


「どちらか一つを選んで、もう一つを捨てるんじゃない。」


「怖くても、迷っても。」


「私は、自分の翼で選びます。」


「一人で背負うためじゃなく。」


「共に支えてくれる人たちと、ちゃんと向き合うために。」


風が、シルフィードの髪を揺らした。


その答えは、完全ではなかった。


国をすべて救う答えでもない。


王を確実に救える答えでもない。


それでも、逃げない答えだった。


自分で選び、誰かの支えを拒まない答えだった。


アルは二人を見ていた。


始祖の言葉が胸に残っている。


――支えよ。


――だが、奪うな。


――導け。


――だが、決めるな。


だからアルは、シルフィードの答えを奪わなかった。


ハルトの覚悟にも割り込まなかった。


けれど、ここで黙ったままでもいられない。


始祖の問いは、もうシルフィード一人に向けられてはいなかった。


風を継ぐ巫女。


巫女の隣に立つ側近。


そして、無色を宿してこの国へ来た自分。


三人全員に向けられている。


アルは一歩前へ出た。


「僕は、この国の人間ではありません。」


シルフィードとハルトがアルを見る。


アルは始祖を見上げた。


「王様のことも、この国の歴史も、全部を知っているわけじゃありません。」


「だから、シルフィードさんたちの代わりに答えを決めることはできません。」


風がアルの頬を撫でる。


アルは右手を握った。


「でも、この国の空を見ました。」


「空を飛ぶ人たちを見ました。」


「通信や空路を守ろうとする人たちも見ました。」


「そして、それを壊そうとする命令に苦しんだ人も見ました。」


近衛隊長の最後の言葉が、胸に蘇る。


――王を、どうか救ってくれ。


「だから僕は、この国の答えを踏みにじるものを止めたい。」


「シルフィードさんが選ぶなら、その選択を支えます。」


「ハルトさんが隣に立つなら、僕も一緒に進みます。」


アルはまっすぐに始祖を見た。


「僕は、この国の風を奪いません。」


「でも、閉ざそうとするものがあるなら、止めます。」


『くぅ!』


クウが力強く鳴いた。


翠色の空間に、その声が響く。


シルフィードはアルを見つめ、静かに頷いた。


ハルトも小さく息を吐く。


「相変わらず、まっすぐですね。」


アルは少し困ったように笑う。


「そうですか?」


「はい。」


ハルトは薄く笑った。


「少し眩しいくらいです。」


「それ、褒めてます?」


「半分くらいは。」


シルフィードが思わず笑った。


「また半分。」


その短いやり取りで、張り詰めていた空気がわずかに和らぐ。


けれど、三人の覚悟は揺らいでいなかった。


始祖は、しばらく沈黙していた。


やがて、大きな翼をゆっくりと広げる。


――よく答えた。


その声と同時に、翠色の空間を風が駆け抜けた。


――風を継ぐ巫女よ。


――巫女の隣に立つ者よ。


――無色を宿す者よ。


――お前たちの答えは、風の民の始まりに届いた。


始祖の瞳が、深く輝く。


――風を継ぐ者に必要なのは、すべてを救う完全な答えではない。


――迷いながらも、自ら選ぶ翼。


――そして、他者の翼を奪わず、共に風を読む覚悟。


シルフィードは目を見開いた。


「完全な答えでは、なくていい……。」


――完全であろうとする者は、やがて他者の風を奪う。


――一つの答えで全てを縛ろうとする。


始祖の声が、王の歪みを思い出させる。


迷わせないために道を奪う。


守るために翼を縛る。


秩序のために自由を閉ざす。


それは、完全であろうとした者の果てだった。


――風は、一つではない。


――道は、一つではない。


――ゆえに、風の民の力は、答えを押しつけるためにあるのではない。


――閉ざされた空に、なお残る道を見つけるためにある。


始祖の翼から、翠色の光がこぼれ落ちる。


空間の中心に、巨大な翼の紋様が浮かび上がった。


それは、祠の入口に刻まれていた紋様に似ていた。


だが、ずっと大きく、ずっと古く、風そのものが形を得たような紋様だった。


――試練は終わった。


その言葉と共に、光は二つに分かれた。


一つはアルへ。


もう一つはハルトへ。


シルフィードは息を呑む。


「二人に……?」


始祖は告げる。


――種族の根に触れる力は、始祖が授けるもの。


――風の民の本来の翼を知り、選ぶ者を支えた者たちへ。


――その根を授ける。


光がアルとハルトへ降り注いだ。


アルは胸元を押さえる。


ハルトは片膝をつき、息を呑んだ。


身体の奥に、風が入り込んでくる。


けれど、それは属性魔法の風とは違った。


敵を吹き飛ばす力ではない。


速く飛ぶだけの力でもない。


流れを読む感覚。


見えない道筋を捉える感覚。


進める場所と、進んではならない場所。


閉ざされているようで、まだ開く可能性のある道。


それらが、ほんの一瞬だけ、肌で分かった。


アルは目を見開く。


「これが……。」


ハルトも自分の手を見つめる。


「風を読む……いや、道を読む力……。」


始祖の声が響く。


――風の民の種族能力。


――その根は、速さではない。


――空を読み、流れを掴み、可能性を選び取る翼。


――名を、翠翼。


アルの胸の奥で、翠色の光が瞬いた。


ハルトの背にも、見えない翼が一瞬だけ広がったように見えた。


――アルトゥス。


――お前には、無色の器を通して、風の民の根を授ける。


――ハルト。


――お前には、巫女の隣に立つ者として、共に風を読む翼を授ける。


ハルトは深く頭を下げた。


「この力、必ずシルフィードを支えるために使います。」


シルフィードが少しだけ眉を寄せる。


「ハルト。」


ハルトは顔を上げる。


シルフィードは静かに言った。


「私だけじゃない。」


「この国も、王も、民も。」


ハルトは一瞬だけ黙り、それから小さく笑った。


「失礼しました。」


「あなたと、この国のために。」


「それなら許します。」


こんな場所でさえ、二人のやり取りは変わらない。


けれど、その軽さの奥には、確かな覚悟があった。


始祖は静かに頷いた。


――翠翼は、答えを与える力ではない。


――選択肢を見つける力。


――閉ざされた空に、なお残る道を見つける力。


――使い方を誤れば、他者の道を操る力にもなる。


――忘れるな。


アルは頷いた。


「はい。」


ハルトも静かに答える。


「肝に銘じます。」


シルフィードは二人を見つめていた。


自分が一人で背負うのではない。


自分の代わりに誰かが背負うのでもない。


共に向き合う。


そのための力が、今、二人に授けられた。


その時だった。


始祖の広げた翼の奥に、別の気配が生まれた。


風が変わる。


始祖の風は、古く、種族の始まりへ繋がる風だった。


だが、今現れた風は違う。


高く、澄み、空の果てから降りてくるような風。


シルフィードは息を呑んだ。


「この気配……。」


ハルトも顔を上げる。


アルの胸の奥で、何かが静かに震えた。


翠色の空に、さらに鮮やかな光が差し込む。


その光は渦を巻き、空の高みから一つの姿を形作っていく。


流れる長い衣。


透き通るような翠色の髪。


背に広がる風の翼。


その存在は、始祖とは違う。


種族の根ではない。


属性そのもの。


風の根源。


シルフィードは自然と膝をついた。


「風神……エアリオン様……。」


ハルトも即座に頭を下げる。


アルもそれに続く。


クウは静かに鳴いた。


『くぅ……。』


風神エアリオンは、穏やかにシルフィードを見つめた。


その声は、澄んだ風鈴のように響いた。


――風を継ぐ巫女。


――始祖の問いを越えた者。


――あなたの覚悟を、私も見届けました。


シルフィードは震える声で答える。


「私は……まだ、迷っています。」


「王を止めることが怖くないと言えば、嘘になります。」


「この答えが正しいのかも、まだ分かりません。」


エアリオンは静かに微笑んだ。


――迷わぬ者が風を継ぐのではありません。


――迷いながらも、自らの翼で進む者こそ、風にふさわしい。


シルフィードの胸元に、澄んだ翠色の光が灯った。


エアリオンは手を伸ばす。


――シルフィード。


――あなたの覚悟を、私は認めます。


――風の巫女として、あなたに加護を授けます。


翠色の光が、シルフィードを静かに包んだ。


強い風が吹いたわけではない。


何かが目に見えて変わったわけでもない。


けれど、シルフィードは確かに感じていた。


自分の中に、風神エアリオンの加護が宿ったことを。


「……ありがとうございます。」


シルフィードは深く頭を下げた。


エアリオンは静かに頷く。


――その加護をどう使うかは、あなた自身が選びなさい。


「はい。」


シルフィードは胸に手を当てる。


「私は、一人で背負いません。」


「でも、逃げません。」


「王を止めることからも。」


「王を救いたいと願うことからも。」


エアリオンは次に、アルを見た。


――無色を宿すアルトゥス。


アルは顔を上げる。


――あなたは風の答えを奪わず、風の選択を支えました。


――十二の色に触れる旅路の中で、風はあなたに一つの印を刻みます。


その瞬間、アルの指にはめられたリングが淡く震えた。


「リングが……。」


翠色の光がリングへ集まっていく。


風が細い輪をなぞるように巡り、やがてリングの表面に一つの紋様が刻まれた。


翼と風を重ねたような、翠色の印。


「これが……風の印……。」


アルが呟く。


エアリオンは静かに頷いた。


――風印。


――それは風を支配する証ではありません。


――選ぶ者の背を押す風を忘れぬための証。


――あなたの無色の旅路に、風の色を刻みます。


リングに刻まれた印が淡く輝き、やがて静かに光を収めた。


けれど、失われたわけではない。


風の印は確かに、アルのリングに刻まれていた。


アルは静かに頭を下げた。


「ありがとうございます。」


エアリオンは微笑む。


――感謝は、これからの選択で示しなさい。


「はい。」


その時、始祖エンシェント・オルニスと風神エアリオンが並び立った。


古き風。


澄める風。


種族の根と、属性の根。


二つの存在が、シルフィードたちを見つめる。


始祖が告げる。


――風巫女シルフィード。


――側近ハルト。


――無色を宿すアルトゥス。


――そして、小さき導き手よ。


クウが小さく鳴いた。


『くぅ。』


エアリオンが続ける。


――あなたたちは、始祖の問いを越え、風の認可を受けました。


――けれど、閉ざされた空はまだ開いていません。


――王はなお黒きものに侵され、国の風は縛られています。


始祖の声が重なる。


――行け。


――王のもとへ。


――ただ倒すためではなく、救うために。


――ただ救うためではなく、誤った風を止めるために。


ハルトがその横に立つ。


「私は、その選択を隣で支えます。」


アルも頷いた。


「僕も、シルフィードさんたちの選択を支えます。」


『くぅ!』


クウの声が、翠色の空に響いた。


風が三人と一匹を包み込む。


始祖の姿が、少しずつ遠ざかる。


エアリオンの光も、空の高みへ溶けていく。


最後に、始祖の声が響いた。


――選び取る覚悟を忘れるな。


――風は、一人の背にだけ吹くものではない。


――共に選ぶ者たちの間を流れるものだ。


光が弾けた。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━


気がつくと、三人とクウは祠の中に戻っていた。


中央の台座の上で、クウが静かに座っている。


床の翠色の円環は、すでに淡い光を残すだけになっていた。


祠の中には、いつものように静かな風が流れている。


だが、先ほどまでとは違っていた。


シルフィードは胸に手を当て、静かに息を吐いた。


迷いが消えたわけではない。


怖さがなくなったわけでもない。


それでも、彼女はもう一人で抱え込もうとしていなかった。


その時が来ても、逃げない。


シルフィードは胸の奥で、そう静かに決めた。


ハルトは自分の手を見つめていた。


「私にも、風の流れが分かります。」


「今までとは違う。」


「速さではなく、道筋が見えるような……。」


アルも自分のリングを見下ろす。


そこには、淡い翠色の風印が刻まれていた。


光はすでに落ち着いている。


けれど、その印は確かにそこに残っていた。


『くぅ。』


クウが台座から飛び降り、アルの肩へ戻ってくる。


アルはクウを見た。


「クウ、君は……。」


クウは何も答えない。


ただ、いつものように小さく鳴いた。


『くぅ!』


シルフィードはその様子を見て、少しだけ笑った。


「あなた、本当に不思議な子だね。」


クウは胸を張るように鳴いた。


ハルトが祠の出口へ視線を向ける。


「戻りましょう。」


「フェルドたちも待っています。」


「それに、王城へ向かう準備もしなければなりません。」


シルフィードは頷いた。


「うん。」


「でも、王命に従うためじゃない。」


「私たちの意志で向かう。」


ハルトは静かに頷く。


「ようやく、あなたらしくなりましたね。」


シルフィードは横目で見る。


「さっきまで、そんなに私らしくなかった?」


「少しだけ。」


「少しだけ?」


「半分くらいです。」


シルフィードは呆れたように息を吐き、それから笑った。


「そこは少しだけって言ってほしかったな。」


「嘘は苦手なので。」


「よく言う。」


短い軽口。


けれど、その奥にあるものは変わっていた。


迷いが消えたわけではない。


怖さがなくなったわけでもない。


それでも、シルフィードはもう一人で抱え込もうとしていなかった。


ハルトは、その隣に立つと決めた。


アルは、答えを奪わず支えると決めた。


それぞれが、それぞれの場所で風を選んだ。


アルは始祖の言葉を思い出す。


――支えよ。


――だが、奪うな。


――導け。


――だが、決めるな。


リングに刻まれた風印が、静かに光を宿している。


「僕も行きます。」


シルフィードは振り返る。


「うん。」


「お願い、アル。」


「あなたの力を貸して。」


アルは頷いた。


「はい。」


「でも、選ぶのは僕一人じゃありません。」


シルフィードは少しだけ驚いたように目を開く。


アルは続ける。


「シルフィードさんも、ハルトさんも、僕も。」


「一緒に選んで、進むんですよね。」


ハルトが小さく笑った。


「あなたに言われると、逃げられませんね。」


シルフィードも柔らかく笑う。


「うん。」


「一緒に選ぶ。」


「この国の空を、もう一度開くために。」


祠の風が、三人の背を押すように流れた。


閉ざされた空は、まだ開いていない。


王城には、黒きものに侵された王がいる。


国の風は、まだ縛られている。


けれど、シルフィードはもう一人ではない。


ハルトには、共に風を読む翠翼があった。


アルには、風の印がリングに刻まれた。


シルフィードには、風神エアリオンの加護が宿った。


そしてクウは、いつものようにアルの肩で前を見ている。


三人と一匹は、祠を後にした。


閉ざされた空へ向かうために。


王を止め、王を救うために。


それぞれの翼で、同じ風を選び取るために。

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