第4章・第11話 選択の本質
コラプトハイホーク討伐から二日後。
アルはシルフィードと共に王都を歩いていた。
「平和ですね」
空を見上げながら呟く。
青空。
流れる雲。
いつも通りのオルニスだった。
「そう見える?」
シルフィードが笑う。
「見えます」
「なら良かった」
その言葉にアルは首を傾げた。
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二人がいるのは高層展望路。
王都を一望できる場所だった。
眼下には街並み。
遠くには観測塔。
さらにその向こうには空路を行き交う飛行ヴィータの姿も見える。
「オルニスって不思議な国ですね」
アルが呟く。
「どの辺が?」
「自由です」
即答だった。
シルフィードが笑う。
「よく言われる」
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「この国の人達って」
「あまり命令されてませんよね」
アルは旅の中で気付いていた。
炎の国は規律が強かった。
水の国は調和を重視していた。
だがオルニスは違う。
皆好きな場所で働き、
好きなように動いているように見える。
「だって自由だから」
シルフィードは当然のように言った。
「自由……ですか」
「うん」
「選ぶのは自分」
「責任を取るのも自分」
風が吹く。
翠色の髪が揺れた。
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「でも」
シルフィードは続ける。
「自由って面倒だよ?」
アルは少し驚く。
「そうなんですか?」
「だって選ばなきゃいけないから」
その言葉にアルは黙った。
確かにそうだ。
誰かが決めてくれる方が楽なこともある。
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シルフィードは空を見る。
「右へ行くか」
「左へ行くか」
「戦うか」
「逃げるか」
「信じるか」
「疑うか」
「全部自分で決める」
「それが自由」
風が吹く。
どこか遠くを見るような目だった。
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「シルフィード様は」
アルが尋ねる。
「迷ったことはないんですか?」
「あるよ」
即答だった。
「いっぱいある」
そして笑う。
「今でもね」
その答えが少し意外だった。
風の巫女はいつも迷わない人に見えたからだ。
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「でもさ」
シルフィードは手すりへ肘を置く。
「間違えてもいいと思うんだ」
「間違えても?」
「うん」
「選ばない方が後悔する」
その言葉には妙な説得力があった。
まるで経験から出た言葉のようだった。
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アルは空を見上げる。
自分はどうだろう。
兄を探す旅。
十二の印。
無色。
全部自分で選んだ訳ではない。
だが。
今ここにいることだけは、
自分で決めた。
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「なるほど」
アルが呟く。
「少し分かった気がします」
「本当に?」
「たぶん」
「たぶんかー」
シルフィードが笑う。
「それでいいんじゃない?」
「選ぶのはアルだし」
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その時だった。
遠くの観測塔から鐘が鳴る。
ゴォォォン―――。
一度。
二度。
三度。
シルフィードの笑顔が消えた。
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「また?」
空気が変わる。
観測員達が慌ただしく動き始める。
アルも表情を引き締めた。
平和な時間は終わりらしい。
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風が吹く。
そして。
オルニスの異変はさらに広がっていく。
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