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無色と十二の旅(アルとジュウニのシルシ)  作者: Matyu
第4章:翠色の空(アルのフライト)
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第4章・第10話 中級コラプト討伐

「北観測区でコラプト反応です!」


ギルドへ駆け込んできた監視員が叫んだ。


ギルド内の空気が張り詰める。


フェルドは即座に地図を広げた。


「規模は?」


「大型です!」


「種類は不明!」


アルは表情を引き締めた。


西空域だけではない。


異変は確実に広がっている。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━


北観測区へ到着した時には、


既に観測塔の一部が破壊されていた。


運搬設備も倒れている。


避難は終わっていたが、


現場には緊張感が漂っていた。


そして。


空。


そこに巨大な影がいた。


「大きい……」


アルが見上げる。


通常のホークより遥かに大きい。


漆黒の羽。


赤く染まった瞳。


身体から漏れ出す黒い靄。


シルフィードが目を細めた。


「あれは……コラプトハイホーク」


群れを率いるハイ個体。


それがコラプト化していた。


ギャアアアアア!!


咆哮と共にコラプトハイホークが急降下する。


速い。


前回のコラプトホークとは比較にならなかった。


「来ます!」


アルは剣を構える。


次の瞬間。


激しい衝撃が襲った。


ガァン!!


受け止めたはずなのに身体が吹き飛ぶ。


地面を滑りながらも体勢を立て直す。


「ぐっ……!」


速度だけではない。


力まで増している。


コラプトハイホークは再び上空へ舞い上がった。


旋回。


急降下。


離脱。


その動きは完全に狩人だった。


「厄介だね」


シルフィードが右手を掲げる。


「ウィンドアロー!」


翠色の風の矢が放たれる。


しかしコラプトハイホークは空中で軌道を変えた。


回避。


そのまま監視塔へ向かう。


「まずい!」


塔にはまだ数人の職員が残っている。


コラプトハイホークは一直線に突っ込んだ。


アルは走る。


ホークは獲物へ一直線に飛ぶ。


なら。


先回りできる。


「そこです!」


跳躍。


剣を振る。


予測通りだった。


刃が翼を捉える。


ギャアアアア!!


悲鳴。


コラプトハイホークの体勢が崩れた。


「ありがとう!」


シルフィードの周囲へ風が集まる。


「ウィンドカノン!」


圧縮された風が放たれた。


直撃。


コラプトハイホークが地面へ叩き落される。


「はい!」


「うん!」


二人が同時に駆けた。


アルの剣。


シルフィードの風。


連続攻撃が叩き込まれる。


そして最後に。


アルの剣がコラプトハイホークの胸部を貫いた。


黒い身体が崩れる。


粒子となり。


風へ溶けて消えていった。


戦闘は終わった。


職員達から安堵の声が漏れる。


だが。


誰も喜んではいなかった。


「ハイ個体まで……」


監視員の一人が呟く。


下級個体だけではない。


異変は確実に進行していた。


シルフィードも空を見上げる。


「嫌な流れだね」


アルも同じ空を見る。


青空は変わらない。


だがその奥で何かが起きている。


そんな感覚だけが残った。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━


ギルドへ戻ると、


フェルドが報告を聞いていた。


「コラプトハイホークか」


重い声だった。


「西空域の下級個体に続いて中級個体」


「偶然では済まんな」


シルフィードも頷く。


「うん」


「しかも行動範囲が広がってる」


フェルドは地図へ視線を落とした。


西空域。


北観測区。


少しずつ広がっている。


嫌な広がり方だった。


「次はロード個体かもしれん」


その言葉に部屋が静まり返る。


ロード個体。


複数の群れを束ねる存在。


もしコラプト化すれば、


被害は今までとは比べ物にならない。


アルは無意識に拳を握った。


オルニスで起きている異変は、


まだ始まったばかりなのかもしれない。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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