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無色と十二の旅(アルとジュウニのシルシ)  作者: Matyu
第4章:翠色の空(アルのフライト)
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第4章・第9話 鳥族の翼

ハルトに連れられ、


アルとシルフィードは西空域へ向かっていた。


王都シルヴァレイアを離れるにつれ、


巨大な観測塔が増えていく。


塔の上では人々が慌ただしく動いていた。


望遠鏡のような観測器具。


風向きを確認する装置。


空域地図。


オルニスらしい光景だった。


「全部観測施設ですか?」


アルが尋ねる。


「そうだよ」


シルフィードが頷く。


「オルニスは空を見る国だから」


「空を?」


「うん」


「天気も」


「飛行ヴィータの移動も」


「コラプトの出現も」


「全部ここで管理してる」


アルは周囲を見渡した。


想像していた以上に大規模だった。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━


途中、


巨大な観測塔の前を通る。


そこで働く人々は忙しそうだった。


報告書を運ぶ者。


観測結果を記録する者。


遠方を監視する者。


「皆大変そうですね」


「慣れてるよ」


シルフィードは笑う。


「オルニスは昔からこうだから」


「情報が集まる国ですもんね」


「そう」


「だから知らないことが一番怖い」


その言葉にアルは少し考え込んだ。


確かに。


敵を知らなければ戦えない。


異変を知らなければ対処できない。


情報は力だ。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━


その時だった。


遠くの空を影が横切る。


アルは思わず見上げた。


大きな翼。


鋭い嘴。


風を切るように飛んでいく。


「ハーピーですか?」


「違う」


答えたのはハルトだった。


「ホークだ」


短い説明。


だが十分だった。


「あれも鳥族ヴィータなんですね」


「うん」


シルフィードが頷く。


「オルニスには沢山いるよ」


「ホーク」


「レイヴン」


「オウル」


「ファルコン」


「ハーピー」


「人より多いかも」


「それは言い過ぎです」


「たぶん」


「たぶんなんですね」


シルフィードが笑う。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━


さらに進む。


空域監視所へ近付いた頃。


空気が変わった。


職員達の表情が硬い。


慌ただしく走り回っている。


「何かあったんですか?」


アルが尋ねる。


一人の職員が振り返った。


「シルフィード様!」


「西空域で異常反応です!」


笑顔が消える。


「規模は?」


「大型です!」


その場の空気が凍った。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━


ハルトが即座に動く。


腰の双剣へ手をかける。


「場所を案内しろ」


「は、はい!」


職員が頷く。


シルフィードも表情を引き締めた。


「また増えてる……」


「コラプトですか?」


アルが尋ねる。


「たぶんね」


だが。


その声には確信が混じっていた。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━


クウが肩の上で震える。


『くう……』


いつもの鳴き声ではない。


警戒している。


アルも剣へ手を添えた。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━


オルニスの空。


その異変は。


思っていた以上の速さで広がっていた。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━


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