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無色と十二の旅(アルとジュウニのシルシ)  作者: Matyu
第4章:翠色の空(アルのフライト)
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第4章・第5話 ホークコラプト討伐

警戒鐘が鳴り響く。


ギルド内の空気が一変した。


フェルドは即座に指示を飛ばす。


「西空域へ人員を回せ!」


「避難誘導を急げ!」


「監視所との連絡を維持しろ!」


職員達が慌ただしく動き始める。


「行くよ」


シルフィードが振り返る。


先程までの柔らかな笑顔はない。


風の巫女の顔だった。


「はい」


アルも頷く。


二人は西空域へ向かった。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━


現場へ到着すると、


既に避難が始まっていた。


監視員達が人々を誘導している。


その上空。


黒い影が旋回していた。


「ホーク……?」


アルが目を細める。


本来なら美しい鳥型ヴィータ。


だが今は違う。


羽は黒く濁り、


瞳は赤く染まり、


身体の一部は歪に膨れ上がっている。


「ホークコラプトだね」


シルフィードが呟いた。


数は三体。


下級コラプト。


しかし空を飛ぶ相手は厄介だった。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━


ギィィィィ!!


一体が急降下する。


狙いは避難中の監視員。


「危ない!」


アルが飛び出した。


剣を抜く。


振り上げる。


ガキィン!!


衝撃と共にホークコラプトが弾かれる。


だがそのまま上空へ逃げた。


「速い……!」


炎の国で戦った相手とは違う。


距離を取る。


旋回する。


隙を見て急降下する。


空の戦い方だった。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━


「右!」


シルフィードの声。


別の一体が横から突っ込んでくる。


アルは咄嗟に回避した。


黒い羽が目の前を通り過ぎる。


その瞬間。


シルフィードが右手を掲げた。


「ウィンドアロー!」


翠色の風が収束する。


放たれた風の矢が、


ホークコラプトの翼を貫いた。


ギャアアアア!!


悲鳴。


コラプトが地面へ落下する。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━


「今!」


「はい!」


アルが駆ける。


落下したコラプトへ接近。


剣を振る。


一閃。


黒い身体が砕けた。


粒子となって風に消えていく。


一体撃破。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━


残る二体は上空を旋回していた。


まるで何かを探しているようだった。


「変ですね」


アルが空を見上げる。


「逃げない」


「うん」


シルフィードも同じ違和感を覚えていた。


「最近のコラプトはこんなのばっかり」


「何かを探してるみたいなんだよね」


━━━━━━━━━━━━━━━━━━


その時。


『くうっ!』


クウが突然鳴いた。


肩の上で身体を震わせている。


アルは思わずクウを見る。


「どうしたんですか?」


『くう……』


不安そうな声だった。


だが理由は分からない。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━


ギィィィ!!


二体のホークコラプトが同時に急降下する。


今度はアルを狙っていた。


「来ます!」


アルは前へ出る。


一体目を受け止める。


激しい衝撃。


しかし止まらない。


そのまま剣を振り抜く。


ホークコラプトの身体が裂けた。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━


もう一体。


シルフィードが風を纏う。


「ウィンドカッター!」


風の刃。


一直線に飛ぶ。


ホークコラプトの片翼を切り裂いた。


体勢が崩れる。


落下。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━


アルが踏み込む。


そして。


最後の一撃を放った。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━


静寂。


黒い粒子が風に溶けていく。


三体全て消滅した。


戦闘終了だった。


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避難していた監視員達が安堵の息を吐く。


幸い負傷者はいない。


施設被害も最小限で済んだ。


「助かりました!」


監視員達が頭を下げる。


シルフィードは軽く手を振った。


「怪我なくてよかった」


いつもの笑顔が戻る。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━


だが。


現場の空気は重かった。


監視員の一人が報告書を抱えている。


「また西空域ですか?」


シルフィードが尋ねる。


「はい」


監視員は頷いた。


「今月だけで五件目です」


アルの表情が変わる。


五件。


偶然では済まない数字だった。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━


「増えてるね」


シルフィードが空を見る。


青空は変わらない。


だが何かがおかしい。


そんな感覚だけが残る。


「原因は何なんでしょう」


アルが呟く。


シルフィードは少し考えた後、


笑った。


「それを探すのが私達の仕事かな」


風が吹く。


オルニスの空は今日も青い。


だが。


その裏で確実に異変は広がっていた。


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