↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無色と十二の旅(アルとジュウニのシルシ)  作者: Matyu
第1章:無色の旅立ち(アルのスタート)
PR
21/115

第1章 第1話  王都クロマレス

王都クロマレス。


ヒューマニア王国の中心。


そして。


十二の国家へと繋がる。


世界交流の中心地。


「……着いた」


大きな城門を前に。


アルは。


小さく呟いた。


その隣には。


セリーナ。


そして。


足元には。


ぷるん。


クウがいる。


「お疲れさまでした」


「はい」


アルは。


王都を見上げる。


高い城壁。


大きな門。


絶えず。


人が行き交っている。


商人。


旅人。


荷車。


各地から来た人々。


アルにとって。


クロマレスは。


初めて見る場所ではない。


五年間。


学園に通うため。


この王都で過ごしてきた。


大通りも。


店の並びも。


どこへ行けば何があるのかも。


ある程度は知っている。


それでも。


「……なんか」


アルは。


目の前の景色を見ながら。


呟いた。


「前と違って見えます」


「違って?」


「はい」


少し考える。


「学園にいた時は、ここで暮らしてるって感じだったんですけど」


学園。


寮。


授業。


訓練。


毎日。


決まった場所を行き来していた。


王都は。


アルにとって。


生活する場所だった。


けれど。


今は違う。


「今は……ここから出ていく場所に見えるというか」


セリーナが。


静かにアルを見る。


「旅の出発点として、ですか?」


「……たぶん」


アルは。


頷いた。


昨日まで。


自分は。


兄を探すと決めただけだった。


十二の印を集める。


そう決めた。


けれど。


どこへ行けばいいのか。


何をすればいいのか。


何も分かっていない。


だから。


まず。


クロマレスへ来た。


ここで。


十二の印について調べる。


旅をするために。


必要なものを揃える。


「クウも、初めてだよね」


アルが。


足元を見る。


ぷるん。


クウが。


大きく揺れた。


そして。


門をくぐった瞬間。


ぴょん。


ぴょん。


「わ、クウ」


クウが。


あちこちを見始める。


人。


荷車。


店。


飾り。


目に入るもの。


すべてが。


珍しいらしい。


「迷子になるなよ」


ぷるん。


返事をした直後。


今度は。


道端の屋台へ。


ぷるぷる。


寄っていく。


「クウ」


ぴたっ。


アルが呼ぶと。


クウは。


振り返った。


「そっちは後で」


ぷるん。


少し残念そうに。


戻ってくる。


セリーナが。


その様子を見て。


小さく笑った。


「随分、王都が気になるようですね」


「何でも気になるみたいです」


アルは。


クウを抱き上げる。


「ほら。まずは用事を済ませよう」


ぷるん。


腕の中で。


クウが揺れた。


三人は。


大通りを進んでいく。


王都クロマレス。


学園時代にも。


何度も歩いた道。


けれど。


今まで。


気にしていなかったものが。


目に入る。


露店に並ぶ。


見慣れない形の果物。


鉱石。


装飾品。


別の土地から運ばれてきた。


布や工芸品。


行き交う人々の服装も。


一つではない。


「……あれ」


アルが。


一つの露店を見る。


店先に。


赤い鉱石が並んでいた。


その隣には。


青。


緑。


黄色。


様々な色。


「属性鉱石……」


「はい」


セリーナが答える。


「各地から運ばれてきたものですね」


学園で。


知識として習った。


属性地域。


種族地域。


そこから。


様々な物資が。


ヒューマニアへ集まる。


けれど。


授業で聞くのと。


実際に見るのでは。


全く違う。


「本当に、いろんな場所から来てるんですね」


「クロマレスは、十二国家との交流の中心ですから」


大通りの向こう。


大きな荷車が進んでいく。


その横を。


旅装姿の人々が歩く。


さらに。


別の方向から。


大きな隊商が。


王都へ入ってくる。


「向こうから来る人もいれば」


「ここから出ていく人もいます」


セリーナの言葉に。


アルは。


少しだけ。


足を止めた。


ここから。


世界へ出ていく人たち。


自分も。


もうすぐ。


その一人になる。


「……十二国家」


アルが。


小さく呟く。


学園で。


何度も学んだ。


ヒューマニアを中心に。


広がる。


十二の国家。


属性。


種族。


文化。


暮らし。


それぞれ。


全く違う。


今までは。


教科書の中にあった。


世界。


けれど。


これから。


自分は。


その中へ。


実際に入っていく。


十二の印を。


集めるために。


「アル」


呼ばれて。


アルは。


顔を上げた。


「はい?」


「緊張していますか?」


「……少し」


アルは。


正直に答えた。


「何をすればいいのか、まだ全然分からないので」


兄を探す。


それは。


決めた。


でも。


決めただけでは。


何も進まない。


金も必要。


情報も必要。


宿も。


道具も。


旅を続けるための。


経験も。


「僕、一人だったら」


アルは。


周囲を見る。


「たぶん、どこから手をつければいいか分からなかったと思います」


セリーナは。


少しだけ。


考えるようにして。


それから言った。


「では、一つずつ進めましょう」


「一つずつ?」


「はい」


セリーナが。


前を見る。


「まずは、旅をするための立場を作ります」


「立場……」


「ギルドです」


アルは。


少し目を見開いた。


「ギルド」


「各国家にあります。依頼、情報、旅人への支援。これから各地を巡るなら、必ず関わることになります」


ギルド。


もちろん。


学園で習っている。


国家の外。


地域を越えて活動する。


中立組織。


依頼。


討伐。


情報。


旅人の支援。


けれど。


アル自身が。


利用したことはない。


「登録するんですか?」


「そのつもりです」


「僕が?」


「はい」


セリーナは。


当然のように答えた。


アルは。


少し戸惑う。


「でも、僕……冒険者じゃないですよ?」


「ですから、これから登録するんです」


「……そうか」


言われて。


アルは。


自分でも。


少しおかしくなる。


学園を卒業した。


成人の儀も終えた。


もう。


学生ではない。


これから。


自分で。


動いていかなければならない。


「ギルドに登録すれば、十二国家でも使えるんですか?」


「基本的には」


「じゃあ、旅には必要なんですね」


「かなり役に立つと思います」


セリーナが。


少しだけ。


表情を和らげる。


「それに、アルには旅の経験がありません」


「……はい」


そこは。


何も言い返せない。


剣術。


知識。


学園で。


色々学んだ。


けれど。


それは。


あくまで。


学園の中でのもの。


本当の依頼。


本当の旅。


本当の戦い。


何一つ。


経験していない。


「まずはクロマレスで、経験を積みましょう」


「はい」


アルは。


自分の腰を見る。


父から。


託された剣。


まだ。


これで。


何かを成したわけではない。


ただ。


持っているだけ。


「父さんの剣も……ちゃんと使えるようにならないと」


ぷるん。


クウが。


腕の中で揺れる。


「クウも手伝ってくれる?」


ぷるん。


元気よく。


返事が返ってきた。


「頼もしいな」


ぷるぷる。


アルは。


少し笑う。


まだ。


分からないことばかり。


十二の印。


兄の行方。


創造神の言葉。


クウのこと。


そして。


これから向かう。


十二の国家。


何一つ。


答えは見えていない。


それでも。


「行きましょう」


セリーナが言う。


「クロマレスのギルドへ」


「はい」


アルは。


大きく頷いた。


再び。


大通りを歩き始める。


同じ街。


同じ景色。


五年間。


何度も見てきた。


王都クロマレス。


けれど。


今日からは。


違う。


学園生として。


過ごす場所ではない。


兄を探すため。


十二の印を集めるため。


世界へ出ていく。


そのための。


最初の場所。


アルは。


セリーナと。


クウと共に。


ギルドへ向かって。


歩き始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。