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臆病な魔法使いは、小学部で目立たず生きたいのに巻き込まれていく ――言えなかった想いが、少しずつ世界を変えていく  作者: 南山


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第87話 春の手前で



今学期が終わる。

体育館に歌が響いていた。


卒業式の歌。

声を出しながら、いろんなことが浮かんでは消えていく。



去年は、レオの姉ちゃんが小学部を卒業した。

あの時は、感情の風が出ないように必死だった。


少しだけ、遠い昔のことみたいに感じる。


来年からは、弟のジャックが一年生になる。

学年が上がっていく。

それが、少し楽しみでもあった。


(前は……どうだったっけ)

ふと、思う。

(前世ってやつ)

でも。


(……何も覚えてないな)

苦笑する。

本当に、何も考えてなかったのかもしれない。



歌は続く。



春が近い。

そろそろタラの芽の季節だ。

今年も町に売りに行こうと思う。

稼いだ金で、みんなで何かする。

たぶん、また肉だ。


ちらっとガイルを見る。

ガイルも同じことを考えている顔をしていた。

自分で稼ぐ。

その満足感は、もう知っている。

レオもユイトも、きっと賛成する。


ふと。


去年のことを思い出す。

町で会った、金髪で茶色の帽子の子。

殴られた。

あの時の理由は、結局よく分からないままだ。

(……今、どうしてるんだろう)



歌が終わりになる。



校長先生の挨拶が始まった。

ゆっくりとした声。


聞きながら、別のことを思い出す。


校長室。

あの封書。

(なんだったんだろうな)


そして。


ノア先生。

本のなだれの中で、息が苦しそうだった姿。

あの時の空気。

まだ、どこかに残っている。


分からないことは、増えるばかりだ。


それでも。


式は終わる。


拍手が響く。


季節は、進んでいく。


少しずつ。


確実に



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