第103話 また会えるって、言えた夜
ヒューーーー……
ドーンと、なったかと思うと同時に空気の振動と、まばゆい光。
赤がほどけて、
黄にほどけて、
青が夜に溶けていく。
「きれい。」
「こんなに近くで花火、見たことない。」
リナと立ったまま見上げる。
「町は、ここと違うの?」
「もっと、遠くなの。
こんな強く、体に響くのね……ちょっと、怖いくらい」
夜の暗さと、金髪。
日焼けしてる肌。
瞳に花火の色が映る。
「いけない!」
ハッと、リナは口を押さえる。
「店長に、すぐ戻るって。遊んでばかりじゃ、怒られちゃう!」
慌てるリナは、店長のいる出店にかけだしていた。
まだ、ちょっとこのままでいたい気持ちもあったけど、約束は、約束だ。
途中で、レオとガイルに会った。
一緒にリナを送り届ける。
店長に、「よし、よし。」と、自分まで頭を、撫でられた。
「リナ。…次は…」
心臓が、跳ねる。
「オリバー。」
リナが店長を見上げる。
店長は、アゴを撫でながら思案した後に、言った。
「そうだなあ。当分こっちに来る用事は、無いから……。」
「来るなら来い。売りに来い。
その代わり、予定は早めに言え。」
キッパリと言い切る。
「休みくれるって!良かったなリナ!」
「オリバー!俺たち何か取って売ろうぜ。そうすりゃ町に行ける。リナに会える!」
「う、うん。」
二人に背中をバンバンと叩かれる。
正直、痛い。
けど、嬉しい。
「リナ。……手紙、書く」
「うん。」
「俺らも書くよ」
「う、うん。」
じゃあね、と、手を振って別れた。
――
「良かったな。リナ。」
「お前、同じ年頃の友達なんて、いないだろ?あ、いや、友達なのか?」
店長が、ニヤニヤしている。
「え?友達?わかんない。」
「でも、こう、あたたかい気持ちになるの。ドキドキして。」
「これって、」
「友達だからかなあ?」
「いや、違うだろ」
コッソリと店長は、つぶやいた。
「まあな。俺はお前の親代わりみたいなもんだからさ。見てると、こっちまでドキドキするよ。」
「店長も、友達だからだね!」
「…違うかな。」
花火は、まだ上がっている。
「今年は、悪くない夏だな」
店長が、大きな花火を見上げた。
リナは、胸の奥をそっと押さえた。
まだ名前のつかない気持ちが、そこにあった。




