↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生鍛冶師ラストダンジョン手前の街で新人冒険者を救う神になる!  作者: 飛来甲殻類
4章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

84/135

84話「王都へ2」


 いざ王都。


 ミルトンを出発して、馬車で街道を東へ向かった。

 順調ならおよそ1週間の旅路だ。


 馬車に乗りこんだメンバーはわたしとエリン、テルマ、ルイーズの4人。

 いつものメンツだ。


 リュドミラは別行動だ。

 なんでも王都で「先に調べたいことがある」とかで、3日前に旅立った。


 まあ王女に招かれたのはわたしだけだし、一緒に行動しないほうが動きやすくはある。


 リュドミラからは王都で接触したら警戒するべき人物を一通り教えてもらった。

 『要警戒人物リスト』ってところだろう。

 使わずに済ませたいものだ……。




 ミルトン周辺では、街道沿いでも当然の権利のように魔物が出現した。


 わたしたちは魔物を見かけると、たとえ襲われるような状況じゃなくても積極的に討伐した。


 少しでも街道の安全に貢献したかったからだ。

 歩き狩りってやつかな。


 もちろん旅の足は遅くなってしまうけど、物事には優先順位がある。


 しかし、驚いたことに1日も行くと街道沿いの魔物は目に見えて減っていき、3日目になるとほとんど出なくなった。


 それに伴って、住民たちののどかさも飛躍的に上がっていく。


 黄金色に輝く小麦畑で、護衛もなく、のんびり収穫作業をする農民を見ていると、ああもう季節は秋なんだな、としみじみ感じる。


 ミルトン周辺の農地ではこうはいかない。


 収穫はまさに鉄火場。

 冒険者や守備兵の護衛が四方に目を光らせるなか、農民たちは鬼気迫る形相で収穫する。


 魔物が寄ってくるまでにシュバババ! とすべての稲を刈り尽くす、スピード勝負だ。


 魔術師がいればその力を借りて、風術でまとめて麦を刈り取ってもらったりして、とにかく急いでいた。


 秋の風物を感じる余裕なんて微塵もない。


 ああいう必死な姿を見ていると、農具を開発したほうがいいかもしれないと思った。


 べつに鍛冶師が武具しか作っちゃいけないルールがあるわけじゃない。


 馬具を作る職人もいれば、重量鋤のような農具、水車のような大型機械を作る職人もいる。


 ただわたしが武具しか眼中になかっただけだ。


 恥ずかしながら脳筋鍛冶師だったのです……。


 今度、強い農具を作ってみよう。

 そうすれば農業生産性の向上に貢献できるかもしれない。


 ミルトンは工業都市なので、物流が滞りがちな今は慢性的に食糧が不足しているし。


 まあ王都から帰ってからだな。

 暇があるときにはこういうことに気がつかず、忙しいときにかぎって思いつくものだから、時間はいくらあっても足りないんだ。




 にしても。



「なんでミルトンの周りだけ異常に魔物が……?」



 以前ヒドンガルドに旅したときにも感じたけど、今回はとくにひどい。

 なぜかミルトンだけラストダンジョン直前の街みたいなハード環境なのだ。


 御者席から小麦畑を眺めながらわたしが独り言を言うと、隣に座っていたルイーズがきょとんした。



「なに、わたしなんか変なこと言った?」


「い、いえ……。ヨシノさんはミルトン出身じゃありませんから、知らなくてもしょうがないです」


「知らなくても……って、ちゃんとした原因があるってこと?」


「は、はい」


「それちょっと教えてくれる? どうせ馬車旅は暇なんだし」



 こくり、とうなずいて、ルイーズはミルトンという街の特殊な歴史を教えてくれた。


 かつてミルトンは、グルガン山脈に蓋をする役割を担う要塞として築かれたのだという。


 徐々に人が集まって都市化して、城塞都市に発展していったのだけど、元々は軍事基地だった、と。


 わざとそういう場所に建設したわけだから、グルガン山脈で発生したと思われる魔物のほとんどはまずミルトンに流れ着く。


 単純に地理が原因だったのだ。


 おやまあ、マジでラストダンジョン手前の街だったのか……。



「でも、廃都から魔物が沸いたのって40年前でしょ? そんなに新しい街だっけ? もっと古い街並みに見えるけど」


「要塞が造られた約200年前は、グルガン王国と戦争していたんです」


「へー珍しいね。ドワーフと人間が戦争って、あんま聞かないから」


「そうですか? ドワーフは好戦的な種族ですし、歴史的にはよくあることですけど……」



 いかん、この世界の知識じゃなかった。

 すっとぼけとこ。



「あはーそうだっけ。年を取ると物忘れがひどくなっていかんのう」


「……」



 ルイーズがじっとこっちを見てくる。

 訝しむ目なのか、気の毒がる目なのか、わからない。


 ルイーズはああ見えても魔術師らしく鋭いところがあるから、気をつけないと。

 転生者だと知られて困ることがあるかといえば、困る。


 絶対に頭がおかしいと思われる。



「のちにグルガン王国と和睦を結んだことで軍事的価値を失って、王国軍が撤退したんです。そのあとですね、自由都市になったのは」


「で、40年前にまた軍事的価値が生まれた、と」



 なるほどねー。

 廃都から出てくる魔物にとっては人間界への入り口だったわけか。


 いわば魔界の蓋。

 道理でハードなわけだ。


 だったら、もっと真剣に防衛しなきゃいけないんじゃないの?


 軍事とか安全保障とかぜんぜんわからない素人のわたしだけど、それくらいはわかる。


 まったく王都の連中はなにをやっておるのだ!




 歩き狩りをしていたせいで、王都まで8日間かかった。


 それでも遅れがたった1日で済んだのはエリンたちが目覚ましい活躍をしてくれたからだ。


 魔物発見、さっと識別、ぱぱっと処理、おわり!


 一皮むけたというか、もう強豪パーティでしょう、これは。

 まあ、Dランクなんだけど。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。