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転生鍛冶師ラストダンジョン手前の街で新人冒険者を救う神になる!  作者: 飛来甲殻類
3章

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81話「幹部会議2」


 会議では、しばし、そんな感じで金の話が続いた。


 興味なさそうに長耳の手入れをしていたリュドミラが飽き飽きしたように「フッ!」と指を吹いた。


 これは要するに耳糞を飛ばしただけなので、人間ならただのお行儀の悪い行為なのだが、獣人の美人がやるとちょっと絵になるからずるい。



「儲かった人もたくさんいるんだからそいつらから取ればいいっしょ。そんなことより、戦力の話しよーよ。デンゼマ、おたくさっき『冒険者が数多く残る』って言ったけど、具体的には何人さ?」


「パーティが15。ソロも含めて約100名だ。今後も増加傾向が期待できる」


「おぉ……」



 参加者の3分の1も移住してくれるなら、大成功だ。

 しかもおかわりも期待できるなんて。


 そう思ってわたしはつい感嘆の声を漏らしてしまったのだが……。



「ぜんっぜん足んないじゃん。ナメてんの?」



 あ、はい。

 足りませんね、それでは。



「その100人にナサニエルのパーティは入ってんの?」


「いや、彼らは王都へ帰る」


「これだよ。増えたのはザコばっかってことじゃん」


「ザコとは心外だな。Cランクパーティも複数入っている」


「ザコはザコっしょ。さっきおたくが報告したじゃん。半分はナサニエルのパーティが仕留めたってさ」


「それは、そうだが……」


「どっちにしても絶対数が足んないよ」


「それには同意する」


「あーもー! だからアミリアヌス兵を処刑すんなつったんだよ! 300引く100じゃ数が合わないんだよ! ディ・ソラリの狸め!」



 リュドミラが苛立たしげにガシガシと長耳をかいた。


 処刑したのはデンゼマじゃないから、そこを詰めるのはかわいそうだと思います。

 もうとばっちりは嫌だから、言わないけど。


 リュドミラの癇癪が落ちつくのを待ってから、デンゼマが結論を口にした。



「やはり、王都の増援は必要だと思われる」


「思われる、ってそれしかないっしょ」


「だな」


「拙僧も異議はない」



 お、みんなの意見が一致した。


 よかったよかった。

 いやー一時はどうなることかと思ったよ。

 険悪なムードだったし、つかみ合いのケンカに発展しそうだったし。

 ああいう揉め事苦手なんだよね。

 なんかうなじの辺りがざわざわしてくるんだよ。

 うまくまとまって本当によかった。

 うん。


 で、なんでみんなこっちを見てるんでしょうか?



「あの、どうしてみなさん、わたしを見てらっしゃるので?」


「クロちゃんが催促に行くから」


「王都に? わたしが? なにゆえ?」


「だって王女ユーリアと親友じゃん」


「いや親友じゃないって! むしろ逆だわ!」


「またまたーご謙遜をー」


「謙遜じゃねえわ!」



 脅迫されてるんだから、むしろ敵までありえる。



「聞いてるよー王都にご招待を受けたってさ」


「そんなの社交辞令だって!」


「違う。あっちは本気。ホレ」



 と、リュドミラが封筒を放ってきた。


 会議用の長テーブルの上を、封筒がすすーっと滑ってくる。

 わたしは手に取った。


 質感のいい、とても高そうな紙だ。

 宛名はわたし宛てになっている。


 けど、こんな封筒に見覚えはない。


 裏返してみると、封蝋がはがされていて、中身をあらためた形跡がある。



「これはどういうこと?」


「クロちゃん宛てに王女から今朝届いた手紙」


「うん。それはわかったけど、なんでリュドミラが持ってたの?」


「ふふん。この街を出入りするものはすべてアタシに情報が入るのさ」


「いや、勝手に開けんなって言ってるんだけど」



 得意げにすんな、まったく。


 リュドミラの言いぶりを聞けば、もう手紙を読まなくても内容はわかるけど、一応チラッと確かめてみた。



『(前略)――つきましては、是非王都へお招きしたいと――(後略)』



 やっぱり招待状だった。


 終わったー。

 王都編始まっちまう……。


 残念ながら王女の筆跡を知らないし、封蝋に押された印章が王女のものかどうかもわからないので、真偽のほどは判別できない。


 というか、勝手に封印を開けられてる時点で、この手紙の信憑性はゼロだ。


 ワンチャン、リュドミラのでっち上げという線でごり押しすれば、王都編突入を拒否できるか?



「ウソっ、クロちゃん、あなたミルトンを見捨てる気なの!? ひどいひとっ!!!」



 リュドミラは両手で拳を握ってフルフルと揺らした。

 なんて臭い小芝居だ。

 しかし……。



「……行きます」



 そういうことになった。

 不本意ながら。




 まったく行きたくはないけど、ミルトンには戦力がまだまだ必要なのも確かだ。


 それに、ベスに会えるかもしれない。

 ユーリア王女は、王都に来れば会わせると言っていた。


 王女様とあろうお人が、あの程度のことで嘘をついたりはしないだろう。


 あのとき話していたのは王女じゃなくて商家の未亡人という設定だったから……などとシラをきられる可能性もぜんぜんあるけど。


 しかし、わたしを利用したいなら対価のエサくらいはくれるだろう。

 ベスとわたしを会わせることが王女の不利益になるとも思えないし。


 シンプルに考えよう。

 ベスに会える。


 よし、そうと決めたら気を取り直してテンションを上げていく。


 ヒャッハー、王都編突入だぜ!

 イクゾー!



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