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転生鍛冶師ラストダンジョン手前の街で新人冒険者を救う神になる!  作者: 飛来甲殻類
3章

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80話「幹部会議1」


 ミルトン総督府。

 3階会議室。


 街を挙げての一大イベントの結果報告会が行われていた。


 出席者は、魔術学院代表リュドミラ、神殿代表カイシン、商工会議代表のわたし、という三部会の代表者が3人。


 あとは実務実行者のワグネリア。

 そして冒険者ギルド支部長デンゼマの5人である。


 討伐大会の報告会なら冒険者ギルドでやってもいいはず。


 それなのに、わざわざ総督府までデンゼマを呼びつけたのは、三部会がスポンサー面したかったからだ。


 わたしじゃないよ。

 わたし以外の誰かが、スポンサーとしてデンゼマに「上下関係」ってやつを思い出させてやろうと思ったに違いない。


 エリンをCランクに昇格させなかったことに腹を立てた誰かの腹いせではない。


 ちなみに、総督府の建物は三部会が接収した。

 乗っ取った、ともいう。


 新総督がいつまでたっても決まらないし、そもそも王都側に派遣する意思があるかどうかすら怪しい。


 ディ・ソラリ兵が駐屯せず帰っちゃった時点でやる気のなさを感じた。


 もうミルトンに興味がないのか、それとも他の理由があるのか、王都の意図は未だにわからない。

 けど。

 送ってこないんなら、こんなデカい建物を遊ばせとくのはもったいない。


 というわけで、使わせてもらうことにしたのだ。


 接収した建物は、3階エリアだけ三部会が使うことにして、残りは一般に貸し出すことにした。


 なんだかんだ街の中心部にあって便利な立地条件なので、募集を大きく上回る入居希望者が現れた。

 抽選をしなければいけなかったほどだ。


 テナント収入はもちろん街の財政に当てられる。


 財政。

 それが今日の会議のテーマ。


 ではなく、急増した魔物についてである。

 でも、財政も関係がある。


 魔物とカネ、それが議題だ。




―――




「30日間の討伐大会で、1000体以上の魔物が討伐された」



 と、デンゼマは報告した。

 なぜか苦々しい口調だ。



「すごい成果じゃないですか。魔物を減らせたのに、なんで悪いことにみたいに言うんですか?」


「数が多すぎるっしょ? クロちゃん」


「そのとおりだ。この数字は、去年1年間で討伐された総数とほぼ同じだ。この大会には魔物の増加数を把握する目的もあったのだが、これは明らかに悪い結果と言えるだろう」



 10倍以上!?


 討伐数と出現数が一致しているわけではないだろうから、魔物の数が増えていると一概には言えないけど、単純計算で10倍以上に増えている。


 もうミルトンの周囲には人間の住民よりも魔物のほうが多いってレベルじゃないか……。



「無論、悪いことばかりではない。遠征組の冒険者が大会後も数多く街に残る意思を示している。恒常的な戦力の拡充という目的は一定以上果たすことができたのではないかと思う」


「あ、それはわたしもお店に来るお客さんたちから聞いてます」



 冒険者の大量移住。


 討伐大会で荒稼ぎしてひと財産築いたって人もけっこういるようで、ミルトンに家を買ったなんて景気のいい話もちらほら聞いた。


 個人的には羽振りのいい常連さんが新規に増えてくれてうれしい。

 街の防衛力も強化されてうれしい。


 のはずなんだけど……。

 ちょっと気になることがある。


 荒稼ぎした冒険者たちの自慢話を聞いていると、あまりにも稼ぎすぎているのだ。



「予算のほうは、あれで足りたんですか?」


「……」



 あ、黙った。

 いつも打てば響くように返事するデンゼマが、言いづらそうにしてる。


 さては。

 アカ出しやがったな……。


 ただの予算超過レベルじゃなくて、大アカかましやがったな。



「あれっぽっちで足りるわけねえだろうが。予定の15倍だよ、そこの支部長さんが気前よくばらまいてくれたのはよぉ」



 会計その他の実務責任者であるワグネリアが口を挟んだ。



「これだからトーシロの金勘定は嫌なんだよ。予算表なんてのは、テキトーに数字を埋めときゃいいと思ってんだろ? ふざけんな!」


「面目ない……」


「おめえの不景気なツラなんかどうでもいい。で、今後のカネはどうすんだよ。新しい防壁の建設に使うはずだったカネを削れってのか? 本末転倒じゃねえか」


「……言葉もない」



 詰められておるのう……。


 しかし、残念ながらこの中でまともに金勘定ができる経済観念の持ち主はワグネリアしかいないので、彼女の意見は絶対だ。


 無視できない巨額の赤字を出してしまった以上、デンゼマが詰められるのはしょうがない。


 ま、わたしが詰められてるわけじゃないし、関わらんとこ。



「おいヨシノ、おまえもなんか意見を出せ」


「ええっ、わたしでございますか!?」


「自分のカネで商売してるのはおいらとおまえだけだろ。他人のカネで商売ごっこしてる連中の話なんかマジメに聞けっかよ」



 光速でとばっちりが飛んできた。

 でもだいじょうぶ。


 幸いわたしには先進経済国民だった記憶がある。

 きっとその中に役に立つアイディアがあるはずだ。


 儲かるわけのないプロジェクトをごり押しして大赤字を出したときにリカバリーする先進的なアイディアが……。


 あった!



「ええと……防衛費とかの名目で住民のみなさんからお金を頂戴するというのはいかがでしょうか」


「つまり増税だな」


「ヒェッ! その単語はダメですよ師匠! 落選してしまいますぞ!」


「あぁ? ラクセンってなんのことだよ」



 そういえば、わたしたちは選挙で選ばれたわけじゃないから、落選はないのか。


 ってことはだよ?

 選ばれてもいないのに勝手になった権力者が勝手に街の金を使いこんだってことになるな……。


 うわー悪質だなー。

 そんなやつら、とっとと辞めさせろよー。


 それにしても選挙がないなら、権力者を辞めさせたいときどうすればいいんだろう?




 クビにできないんなら……クビを……。


 今すぐ辞任したい。



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