Ⅱ
「考えたことの無いような制度の使い方と、制度の間隙とは、どう異なるのですか?」と、緑色の森の小人の様な服装をしたリカは、古代ローマ人が着ていたような一枚布の服装をしたゼロダに問うた。
「考えたことの無いような制度の使い方というのは、別の場所で考えたことのあるような方法で制度を使うことです。制度の間隙とは、別の場所でも考えたことの無いような方法で制度を使わざるを得ない場合を言います。その制度の固有の現象故に、それに対する対応が空白になっていると作業が滞るにも関わらず空白になっているような場合です。例えば、住居専用地域に銭湯を建てるとして、おそらく銭湯は建築基準法などでも許可されるでしょうが、めっちゃデカくて高額な銭湯を建てるとすれば、それも許可されるのでしょうか。これは制度の間隙というより、考えたことの無い制度の使い方です。元々は銭湯は家に風呂の無い人が利用するために建てられていたので、そりゃ住居専用地域でも許可されないはずは無かったでしょう。現代では、銭湯は、寧ろ別の使い方をされることが多いかもしれません。マァでも、何らかの事情で風呂に入れない人は一定数生じるでしょう。故に、私が前住んでいた場所の最寄駅前にも、今住んでいる場所の最寄駅前にも、銭湯はあります。しかし、寧ろ、娯楽としての側面が大きくなったかもしれません。特に、先に挙げた、めっちゃデカくて高額な銭湯。これは、住居専用地域で許可され得る銭湯に当たるのか。他の事情も加味して、個別に考える必要があるでしょう。他方、マァこれは制度の話では無いのですが、アダムスミスなら、そのスーパー銭湯の規制についてどう言うか。本人に聞かなければ分からないことを予想しなければなりません。そして、その予想は、国富論を理解していなければ行えないことなのです」
「姫様は予想出来るのですか?」
「In Britain, some works related to sheep were under strong restriction. But all good wool were made in Spain. Adam Smith wrote like this and I was very interested in it」
「理解が不十分というわけですか」
「普通に、それは銭湯では無いので、許可しなくても可、と言うんぢゃないでしょうか。ただし、地域の住民がそのスーパー銭湯の開業を歓迎していて、それにより不利益を被る人達への補償がなされるのであれば、許可すべきと言うんぢゃないでしょうか。警察規制だと思うんでね。市場に対する規制だと、彼の思想には一定の方向性があるのかもしれませんが」
「どうなんですか?単に、科学的に見ると、他国含め、為政者のこれまでの様々な政策、特に市場に関する政策は、おかしなものや非効率なものが多かった、ということを書いているのですか?それとも、何か、強い信条があるのでしょうか」
「どうでしょうね」




