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元チート級暗殺者のもこもこ村開拓記 ~すでに2度死んでる最強の殺し屋ですが、新たな人生はもふもふケモナーさんに囲まれた優雅で静かなスローライフを送りたい!  作者: THE TAKE
第3章 雪雪危機一髪!

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第090話 エドワード・ガロウ氏


「お(つか)れっすぅ……?」


 どうして親方が(おれ)に対してそんな挨拶(あいさつ)を、と()(かえ)るけど、当然そこには(だれ)姿(すがた)もない。いるのは(おれ)とポンチョ、そして浮浪者(ふろうしゃ)風のヒゲ男だけだ。


「あの……、エンボス親方、そんな緊張(きんちょう)して挨拶(あいさつ)までしちゃってどうしたんですか。さっきまでダラダラしてたのに」


 (みょう)緊張感(きんちょうかん)を帯びて直立している親方は、(だれ)とも目を合わさず敬礼(けいれい)したまま(だま)っている。(おれ)とマーロンさんが首を(かし)げていると、冒険者(ぼうけんしゃ)たちの点呼(てんこ)を終えたテーブルが(もど)ってきた。


「おいおい、さっさと手伝(てつだ)ってくれよ。って、…………は? はぁぁッ!?」


 急に()()って変な声を出すテーブル。

 次から次になんなんだよ……。


「何を(おどろ)いてるか知らないけど、こっちも早く仕事に(もど)りたいんですよ。どーでもいいので、この人のこと、あとはそっちでお願いすればいいですかね?」


「いや、いいですかねってお前な……。その坊主(ぼうず)と手ぇ(つな)いでるそのお方、アンタそのお方がどなたか知ってて言ってんのかい……?」


 ポンチョと手を(つな)いでいる浮浪者(ふろうしゃ)風ヒゲ男をしっかり見てみた。

 うん、知らん。


「知らん、(だれ)だこのおっさん」


馬鹿野郎(ばかやろう)! この人はな、世界にも数名しかいないと言われる魔道(まどう)具界最大の『権威(けんい)』、エドワード・ガロウ氏()の人だぞ!? って、どうしてこの人が自国の工房(こうぼう)以外の場所に出張ってきてんだよ。てかどうしてここに!? 火山の噴火(ふんか)か、それとも異常気象(いじょうきしょう)……、そうか、この長雪はこの人が原因か!!?」


 (めずら)しくテーブルが錯乱(さくらん)している。

 それにしても、エドワード・ガロウ?


 はて?

 その名前、どこかで聞いた覚えが。



「なぁおっさん、アンタ有名なの?」


「知らん。ワシ仕事する。早く仕事よこせ」


「ポンチョも一緒(いっしょ)にお仕事する~♪」


 呆然(ぼうぜん)としているギルド職員と、困惑(こんわく)している(おれ)たちと、心底どうでもよさそうな当人。なんだよ、この三(すく)みは。


 などと思っていたら、(おれ)はテーブルとローリエさんに手を引かれ、ギルドの(おく)に引っ張られた。そして「どんな状況(じょうきょう)だ!?」と充血(じゅうけつ)した両者の目に(はさ)まれ、ガン()めを受けている。こちらこそ、これはどんな状況(じょうきょう)ですか?


「親方に言われた場所を(たず)ねてみたんですけど、(だれ)もいなくて不在だったんですよ。そしたら近くであのおっさんが肉を焼いてて、手違(てちが)いでウチのがそれを食っちまったんです。代わりにイモをやったら、もっとくれもっとくれと言うもんですから、働くならイモをやるぞという約束で連れてきたんです。マズかったですか?」


「な、なに!? ガロウ氏が()()()()()と言ったのか? それは本当なんだな!!?」


「ん? ああ、言ってたな。なぁ~ポンチョ?」


「うん! ポンチョもお仕事する~♪」


 ローリエさんとテーブルが(たが)いに目を見合わせる。

「こうしちゃいられない!」とローリエさんが部屋を飛び出していく。(みょう)(あわ)てたギルド職員たちの様子に状況(じょうきょう)が読めない(おれ)は、「どうなってんの?」と聞いてみる。


馬鹿野郎(ばかやろう)! 確かに今は緊急時(きんきゅうじ)だ。緊急時(きんきゅうじ)ではあるが、これもまた別の意味で緊急事態(きんきゅうじたい)なんだよ。あのガロウ氏が、自ら(はたら)くっつったんだぞ。こんなチャンスがそうそうあると思うなよ馬鹿野郎(ばかやろう)!」


「バカバカ言わないでくださいよ。(おれ)だって少しは(きず)つくんですからね」


(だま)ってろ、今はまず状況(じょうきょう)の整理が必要だ。こっちの仕事はマーロン氏に任せるとしてだ、こっちはこっちで()まりに()まってる魔道(まどう)(がら)みの仕事を……ブツブツ」


 テーブルが頭を()(むし)りながら考えていると、「おい」と(だれ)かが話に入ってきた。止める親方を無視(むし)してやってきたのはヒゲ男で、(おれ)の頭上にいるポンチョと手を(つな)ぐなり、「早く仕事よこせ」と言った。


「が、ガロウ氏、少々お待ちを。すぐに準備いたしますので……」


「ポンチョ、トーアと一緒(いっしょ)に箱つくるのー! ジイジも一緒(いっしょ)につくる?」


「箱? なんじゃ箱とは」


「あぁ、魔導(まどう)コンテナっていう、食べ物や物資を大量に入れられる箱を作りたいんだ。でも材料と作り方がわからなくてさ、ずっと(こま)ってるんだよ。こんなのなんだけどな」


 手に持っていたリッケさんの説明書をチラッと見せた瞬間(しゅんかん)(うば)()ったヒゲ男が食い入るようにそれを読み上げた。そして手元の紙と(おれ)の顔、そして指を(くわ)えているポンチョの顔とを順に見回してから、「いらん!」と紙を放り投げた。


「お、おい! 勝手に(うば)っといて()てるなよ。まったくなんなんだよアンタ」


 すると身体を上下に()らしながら歯をカチカチ鳴らし始めるヒゲ男。ポンチョも一緒(いっしょ)になって口でカチカチ言いながら(おど)っているが、もはや(おれ)にはカオスすぎて意味がわからん。この状況(じょうきょう)、どうしたらいいんだ!?


「できたー! おいできた! すぐもってこい、すぐだすぐ!」


 急にできたと(さわ)(はじ)めたヒゲ男。

 ちょっと待て。残念ながら(おれ)は頭の整理ができてない!


「ちっ、先を()された。ローリエちゃんや、さっさと紙とペン持ってきて、早く!」


 (あわ)てたテーブルに(うなが)され、ローリエさんがヒゲ男に紙とペンを(わた)した。すると(おそ)ろしい速度で筆を(おど)らせた男は、ものの数分で何やら設計図らしきものを書き上げてみせた。


(もど)る、(もど)るぞ! 火だ、火を起こせ! 火だ火だ火だー!」


ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

もし少しでも面白いと思っていただけましたら、評価やブックマーク等を頂けますと励みになります。

多分ポンチョも喜びます!

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