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元チート級暗殺者のもこもこ村開拓記 ~すでに2度死んでる最強の殺し屋ですが、新たな人生はもふもふケモナーさんに囲まれた優雅で静かなスローライフを送りたい!  作者: THE TAKE
第3章 雪雪危機一髪!

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第077話 私たちがすべきこと


 すると俺(おれ)の質問に驚(おどろ)いたシルシルが、「どうしてそのことを!?」と声を荒(あら)げている。まさかとは思ったんだけど、これはよもや、嫌(いや)な予感がプンプンしてきたぞ……。


「マーロンさん。ウチの村って、少し前に外の地域(ちいき)のボアも何頭か受け入れたって言ってたよね?」


「うん。確かボアボアが、私(わたし)たちの村よりずっと東の森からやってきたっていう〝はぐれボア〟や、南から逃(に)げてきた群れのボアを何頭か引き入れたって聞いてるよ。彼(かれ)らも日に日に仕事が増えてるし、同族の仲間ならどれだけいても嬉(うれ)しいからね。それがどうしたの?」


「南から逃(に)げてきたボア……。ちなみにシルシルさんや、その桃源郷(とうげんきょう)の話を聞いたってのは、何らかの諍(いさか)いが原因で南から逃(に)げてったボアの家族じゃない?」


 マーロンさんが翻訳(ほんやく)すると、驚(おどろ)いた彼(かれ)が激(はげ)しく頷(うなず)いた。どうやら彼(かれ)らはその家族の子ボアと会話をする機会があったらしく、偶然(ぐうぜん)桃源郷(とうげんきょう)の噂(うわさ)を知ったのだという。しかしこれは、もはや確定というか、面倒(めんどう)というか……


「マーロンさん、多分それ、ウチの村だ」


「え、何が?」


「彼(かれ)らが言ってる桃源郷(とうげんきょう)って、多分ウチの村のことを言ってるんだと思う。でもまさか、魔物(まもの)たちの間でそんな噂(うわさ)が流れてるなんて……。迂闊(うかつ)だった」


「えー!?」と仰(の)け反(ぞ)る彼女(かのじょ)に驚(おどろ)いたシルシルは、一体何の騒(さわ)ぎだと困惑(こんわく)している様子だ。彼女(かのじょ)がその事実をシルシルたちに伝えるとすぐに、彼(かれ)らはキラキラ目を輝(かがや)かせながら、「本当ですか!?」と俺(おれ)の腕(うで)に鼻面(はなづら)を擦(こす)り付(つ)けてきた。


「ねぇハク、シルシルがもし良ければ自分たちもそこに住まわせてくれないかって言ってるけど……。どうしたらいいと思う?」


 やっぱりこうなるよなぁと俺(おれ)は頭を抱(かか)える。


 日々生きていくための食料や、帰る場所すらないという彼(かれ)らをみすみす見捨(みす)てることなど俺(おれ)にはできない。しかしだからといって村人の同意もなく簡単(かんたん)に彼(かれ)らを受け入れることなどできないし、何より古来よりウルフはボアたちと仲が悪いとされている。彼(かれ)らとの間で諍(いさか)いが勃発(ぼっぱつ)すれば、村内の不協和音の原因にすらなりかねない。


「申(もう)し訳(わけ)ないけど、俺(おれ)の一存(いちぞん)でキミらの移住を決めることはできないんだ、ごめん」


 俺(おれ)の言葉に、彼(かれ)らの肩(かた)が一斉(いっせい)に落ちるのがわかった。しかしそれと間髪(かんぱつ)入れず言葉を付け足したのはマーロンさんだった。


「だったらこうしようよ。みんな、一度ウチの村にきてみない? そこでみんなに聞いてみるの、私(わたし)たちも村に住んで良いかなって!」


 俺(おれ)はまさか彼女(かのじょ)が助(たす)け舟(ぶね)を出すとは思っておらず、「本当にいいの?」と確認(かくにん)した。すると意外にも驚(おどろ)いた彼女(かのじょ)は、「困(こま)っている人がいたら、手を差(さ)し伸(の)べるのは当然でしょ?」と当たり前のように言った。相手が魔物(まもの)であれ、マーロンさんは彼(かれ)らを自分たち種族と同じように見ているのだろう。それはボアボアたちボアに対する態度と同様で、俺(おれ)は思わず自分の器(うつわ)の小ささ具合に笑ってしまった。


「確かに、そこに人と魔物(まもの)を分ける理由はないかもね。……わかった、じゃあ一度彼(かれ)らにウチの村を見てもらおうか。それで双方(そうほう)が納得(なっとく)できたなら、シルシルたちにも村に住んでもらおう」


 俺(おれ)の意思を伝えるなり、今度はそれぞれが遠吠(とうぼ)えを上げながら喜びを表現した。俺(おれ)はそのあまりの声量に耳を塞(ふさ)いで、「うるさい! 雪崩(なだれ)が起きちゃうでしょ!?」と慌(あわ)てて黙(だま)らせ、今後二度と同じことをしないように釘(くぎ)を刺(さ)した。まったくもう……。


「どちらにしても、まずは目の前の課題を一つずつクリアしていかなきゃならないよ。ということでマーロンさん、これから俺(おれ)たちがしなきゃならないこと、……わかりますね?」


 頷(うなず)いた彼女(かのじょ)は、すっかり馴染(なじ)んでウルフと遊んでいるポンチョを肩車(かたぐるま)すると、モコモコさんの手を借りて、シルシルの鼻先にそっと触(ふ)れながら言った。


「ねぇシルシル。お願い、私(わたし)たちと一緒(いっしょ)にきてほしいの。絶対、悪いようにはしないから」


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