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元チート級暗殺者のもこもこ村開拓記 ~すでに2度死んでる最強の殺し屋ですが、新たな人生はもふもふケモナーさんに囲まれた優雅で静かなスローライフを送りたい!  作者: THE TAKE
第6章 みんな大好きモコモコ村!

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第314話 憧れと勇気


 フライの頭、右半分を(えぐ)るほどの巨大(きょだい)なクロスが()()さり、円球だった脳天(のうてん)(いびつ)(つらぬ)く。嗚咽(おえつ)のようなグジュグジュという耳障(みみざわ)りな音が(ひび)き、「ヨーッシ!」というシルシルの雄々(おお)しい声が地面を(すべ)っていく。しかし致命傷(ちめいしょう)かと思ったのも(つか)()、内部から風船のように頭を(ふく)らませたフライは、(つぶ)れた()の一つひとつの形を整えながら、(きず)を再生させる時間を作るため、強靭(きょうじん)(あし)で一気に壁際(かべぎわ)まで距離(きょり)を取った。


「勝機。()がすな、マーロン殿(どの)!」


 追撃(ついげき)氷撃(アイスエイジ)()()むため、シルシルが距離(きょり)()めながらマーロンさんを()んだ。だが攻撃(こうげき)の直後から追撃(ついげき)する様子がない彼女(かのじょ)の行動に違和感(いわかん)を覚え、「どうした!?」と(さけ)ぶ。


「う、うそ……でしょ、(わたし)(けん)が」


 攻撃(こうげき)衝撃(しょうげき)()えきれなかったのだろう。最大の一撃(いちげき)を放った二本の(けん)は根本から(くだ)け、折れてしまっていた。状況(じょうきょう)を理解したシルシルが時間(かせ)ぎに氷を放つも、どうやら致命傷(ちめいしょう)(あた)えるには足りず、また距離(きょり)を取られてしまう。


「ちぃっ。マーロン殿(どの)(ほか)に武器は!?」


「これ以上の武器は……。だけど、だったら!」


 グッと(こぶし)を固める彼女(かのじょ)

 しかし(おれ)二人(ふたり)に何も声を()けず、ポンチョのリュックから拝借(はいしゃく)した〝ある物〟をポーンと放り投げた。


「当たるも八卦(はっけ)、当たらぬも八卦(はっけ)未熟者(みじゅくもの)が使っても、そいつは不思議と力を貸してくれなくてさ。はてさて、貴女(アナタ)はどうかしら?」


 一瞥(いちべつ)もせず空中で受け止めるマーロンさん。


「これは……、ハクのククリ刀!?」


「貸してあげる。だけど使いこなせなければ負けちゃうかも」


 意地悪く口笛を()いた(おれ)にムッとした表情をみせるも、折れた(けん)()てた彼女(かのじょ)は改めてククリ刀を逆手に構えた。その間も敵の回復を止めるためギリギリのところで攻防(こうぼう)()(かえ)していたシルシルは、マーロンさんが深く身構えたタイミングを見計らい、さらに攻撃(こうげき)の速度を早めていく。


「ごめんなさい、(おそ)くなった!」


「構わぬ。次こそ決めるぞ!」


 氷の多重攻撃(こうげき)を全方向から一斉(いっせい)照射(しょうしゃ)し、さらに大口を開け、最大級に()めに()めた巨大(きょだい)ブレスをお見舞(みま)いする。致命傷(ちめいしょう)こそ負わせられないものの、大きな光りと衝撃(しょうげき)一瞬(いっしゅん)(すき)を作ったシルシルは、マーロンさんを背負(せお)ったまま特攻(とっこう)するように突進(とっしん)し、直前で急ブレーキをかける。そして続けざま、慣性の法則で飛び出したマーロンさんの足裏(あしうら)沿()わしたククリ刀へ向けて、速度重視(じゅうし)のブレスを()()した。ブレスの勢いに()された彼女(かのじょ)の身体は、(ちょう)スピードのままフライへと一気に(せま)ると、(はら)の底から(しぼ)()したような怒号(どごう)とともに再度刀を十字にクロスさせた。


 そうはさせじと、フライは残る()(すべ)てを前方に集中させ、さらに残った触手(しょくしゅ)()ばして彼女(かのじょ)と同じく多重にクロスさせ、鉄壁(てっぺき)防御壁(ぼうぎょへき)を完成させる。


 (たが)いに最強の(ほこ)(たて)(おそ)らくはこれが最後、この攻防(こうぼう)(しの)ぎきった者に勝ちが(ころ)がり()む。


「アアアアァァァ!」と野太い咆哮(ほうこう)と同時に錐揉(きりも)み回転した彼女(かのじょ)は、先の一撃(いちげき)にさらに回転力を付与(ふよ)しながら、(すべ)ての魔力(まりょく)をククリ刀の刃先(はさき)()めた。


 (ほこ)(たて)激突(げきとつ)し、(はげ)しい火花と轟音(ごうおん)がドーム状の空間の(かべ)反響(はんきょう)する。分厚い触手(しょくしゅ)(かたまり)重厚(じゅうこう)なコンクリートのように固く、(かわ)いた音色を()(ひび)かせ続けている。しかし追撃(ついげき)の手を(ゆる)めず、(にぎ)()んだ両の刀を()()んだマーロンさんは、食いしばりすぎて血が()()(くちびる)()(みだ)しながら、「ダラァー!」と(さけ)んだ。


 その(うし)姿(すがた)を見つめながら、(おれ)はいつもの彼女(かのじょ)の顔を(おも)()かべていた。

 真面目(まじめ)で手を()かず、(だれ)にも(やさ)しく、いつもひたむきに努力してきた貴女(アナタ)姿(すがた)を、(おれ)はいつも(あこが)れをもって(なが)めてきた。いつ何時も(あきら)めず、自らが持つ(すべ)ての力を()()くして立ち向かう貴女(アナタ)姿(すがた)に、(おれ)はいつも勇気をもらっている。


「そんな貴女(アナタ)(となり)にいるから、(おれ)はいつも(おれ)のままでいられる。だからこそ、貴女(アナタ)がこんなところで負けるはずがない。だよな、(おれ)元相棒(ククリ刀)?」


 十字にきった両手の刀をグリンと一回転させ、さらに(ひね)()む。しかし負けじと触手(しょくしゅ)を重ねたフライが、攻撃(こうげき)を止めている(すき)(ねら)って左右からの反撃(はんげき)画策(かくさく)している。そして一瞬(いっしゅん)(すき)をつき、たった二本残していた触手(しょくしゅ)で、左右から同時に彼女(かのじょ)へ向けて(やいば)()()いた。


「―― ()めてもらっては(こま)るな。(われ)もいることを(わす)れたわけではあるまい」


 マーロンさんの背後(はいご)から(せま)ったシルシルが、触手(しょくしゅ)による攻撃(こうげき)巨大(きょだい)(きば)()()けた。そして「イケッ!」と(さけ)んだシルシルの雄叫(おたけ)びに背中(せなか)()され、彼女(かのじょ)はブーストをかけるように最後の魔力(まりょく)を刀に乗せ、シルシルの鼻面(はなづら)を足場にして低く低く()()んだ。



「 デェェヤァァァァッッ!! 」



 水の魔力(まりょく)をまとった刀が触手(しょくしゅ)の束にめり()み、美しい白と青のコントラストに()れていた。こらえきれずフライの(えぐ)れた多数の()から血が()()すも、マーロンさんは()りかかる血の雨に目もくれず、見開いた獰猛(どうもう)肉食獣(にくしょくじゅう)(ひとみ)で目標だけを見据(みす)えて()()んだ。


 共鳴したククリ刀が超音波(ちょうおんぱ)を放ちながら小刻(こきざ)みに(ふる)え、超速(ちょうそく)振動(しんどう)触手(しょくしゅ)(かたまり)を引きちぎっていく。そして電気ノコギリで()()かれたかのように真横に散り、パンと()ぜた ――


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