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元チート級暗殺者のもこもこ村開拓記 ~すでに2度死んでる最強の殺し屋ですが、新たな人生はもふもふケモナーさんに囲まれた優雅で静かなスローライフを送りたい!  作者: THE TAKE
第6章 みんな大好きモコモコ村!

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第313話 何度でも、何度でも


 坂道を一気に下り、エメラルドドラゴンフライの巣の目印である〝外敵の死骸(しがい)〟をやり過ごし、いよいよ内部に(すべ)()む。(せま)い入口に全員を()()んだせいか、(おれ)以外の全員が転んでしまったみたいだが、どうやらちょうどよかった。地べたを()いつくばった状態から、一度頭上にいらっしゃいます、あのバカデカい物体を見上げてやろうじゃありませんか!?


 (せま)すぎる入口に対して巣の内部は(おそ)ろしく広く、半円形のドーム状の型を模している。さらには飛び込んだ入口側から反対側に見える出口の前に立ちはだかる巨大(きょだい)な物体がひとつ。()(たけ)は軽く20メートルくらいあるだろうか。さらには背丈(せたけ)の半分を軽く()えるほどデカい楕円形(だえんけい)の顔面が、地面から(わず)かに()いた状態で静止している。


 リアルトゲトゲさんによく似た()い回るような口元が()れ、トンボ特有の無数の目玉が球状の頭の上部で同時に(うごめ)く。どうやら侵入者(しんにゅうしゃ)存在(そんざい)に気付いたようで、(おそ)ろしいほど太く屈強な六本の(あし)が不規則に上下し、重厚(じゅうこう)な身体を容易くヨイショと持ち上げた。


「あ、あ、あ」


 そのあまりの迫力(はくりょく)に、シーリカの口から(くわ)えていたタバコが落下する。巨大(きょだい)(じゅ)の中にも(かか)わらず、異様(いよう)泥濘(ぬかる)んだ足場がグジュグジュと音を立て、否応(いやおう)なしに〝(えさ)〟の存在(そんざい)を知らしめてしまう。


 さて、(すで)に戦意喪失(そうしつ)している四バカとニコルのことは放っておこう。

 悪いけど、この場は村のため、(かれ)二人(ふたり)のためだけに利用させてもらうことにしようか!


 グリュグリュと触手(しょくしゅ)が動く音がしてから、今度は背中(せなか)の退化した『羽だったもの』を(はげ)しくはためかせる。過去、浮力(ふりょく)を得るために必要だった羽の(まく)こそ失ったものの、代わりに自由自在に動くようになった結節が(おそ)ろしい速度で前後しており、いよいよ目に(うつ)二人(ふたり)をターゲットとして(みと)めたらしい。


 ゆっくりと体勢を立て直した二人(ふたり)は、(となり)(なら)んで戦闘(せんとう)態勢についた。


 (おれ)(ほか)のみんなの一歩だけ前に出て結界を張り、「さぁ始めようか」と二人(ふたり)背中(せなか)()した。


 敵味方、(たが)いに一歩も動かず間合いを測る。

 そして天井(てんじょう)から水滴(すいてき)が落ちた瞬間(しゅんかん)、先手を打ったフライが大口を開けた。



『 グェボァア! 』



 (ちょう)速度の溶解液(ようかいえき)を放つフライ。

 左右に別れて攻撃(こうげき)(かわ)した二人(ふたり)は、(はさ)み打つよう一気に距離(きょり)(ちぢ)めていく。


 二人(ふたり)()けた溶解液(ようかいえき)が結界に直撃(ちょくげき)し、背後(はいご)から「ヒャー!?」と悲鳴があがった。

 (おれ)腕組(うでぐ)みしたまま戦況(せんきょう)を見つめ、「頑張(がんば)二人(ふたり)とも」とひとり(つぶや)く。


 無数の視覚(しかく)二人(ふたり)姿(すがた)を追いながらも、巨大(きょだい)な口を器用に使い、速射砲(そくしゃほう)のように溶解液(ようかいえき)発射(はっしゃ)する。しかし相手に接近しつつも余裕(よゆう)を持って(かわ)した二人(ふたり)は、悪い足場をものともせず間合いを()めていく。しかしそうはさせじと、いよいよフライが(あみ)の目のように広がった羽を()りかざした。


 身体を支えている六本の(あし)とは異なり、攻撃(こうげき)に特化しているであろう羽の進化の形態は異様(いよう)そのもので、背中(せなか)から伸びる羽だったもののスジが千手観音のように数多(あまた)の動きを演出している。二人(ふたり)の接近を(こば)むように、巨大(きょだい)な節の数々が流星群のように(おそ)いかかった。


 その様は無限に続く隕石(いんせき)のようで、(おそ)ろしい威力(いりょく)打撃(だげき)二人(ふたり)に向かって()()ろされる。たとえ()けたとしてもその衝撃(しょうげき)(すさ)まじく、地面を()ねる数多(あまた)の節が周囲の地面を(えぐ)り取り、今度はその破片(はへん)()げた二人(ふたり)(おそ)いかかる。跳弾(ちょうだん)に似た第二(げき)までもが無数に展開(てんかい)され、さすがの二人(ふたり)一旦(いったん)接近を(あきら)めて距離(きょり)を取るしかない。


厄介(やっかい)ね、手数が多すぎる!」


「しかし()けきれぬほどではありませぬ。(われ)二人(ふたり)ならば、(やつ)一撃(いちげき)入れるなど容易(ようい)!」


 口に魔力(まりょく)()めたシルシルが氷撃(アイスエイジ)を放ち、遠距離(えんきょり)から相手を撹乱(かくらん)する。その合間を()って一気に速度を上げたマーロンさんは、触手(しょくしゅ)の数々を左手の短剣(たんけん)一本で(さば)きながら、いよいよ巨大(きょだい)なフライの顔面にまで(せま)った。

 しかし108の()を持つフライに死角は存在(そんざい)しない。彼女(かのじょ)()めた右腕(みぎうで)一撃(いちげき)をおみまいする直前、急角度で動いた口が自分自身へのダメージすら(かえり)みず、彼女(かのじょ)とフライの間で()ぜる溶解液(ようかいえき)を放った。


 どうにか直撃(ちょくげき)()けたものの、衝撃波(しょうげきは)に飛ばされたマーロンさん。

 しかし(かべ)(たた)きつけられそうな彼女(かのじょ)間一髪(かんいっぱつ)のところで受け止めたシルシルが、グルルルと吐息(といき)()らす。


「ちっ、当てきれなかった。ごめんねシルシル」


「問題ありません。外したならば、何度でも()(かえ)すのみ!」


 フライの攻撃(こうげき)よりさらに上回る速度で氷撃(アイスエイジ)連射(れんしゃ)したシルシルは、新たな(すき)を作るべく攻撃(こうげき)を重ねていく。しかし溶解液(ようかいえき)を放つフライも、超高速(ちょうこうそく)の液体を空中で分解させることで多(だん)化させ、反撃(はんげき)(すき)を許さない。


厄介(やっかい)な。デカい(くせ)に速いのはズルいだろうッ!」


 ならば今度は接近戦だと少しずつ距離(きょり)()めていく。溶解液(ようかいえき)分離(ぶんり)する前ならば、スピードはこちらに分があると()んだシルシルは、()()がり、ありったけの氷を周囲に作り出し、一気に解き放った。


 一撃(いちげき)、ニ(げき)と氷が直撃(ちょくげき)し、初めてフライの動きが止まった。氷が数ある()の一部を(つらぬ)き、真緑色の血が()()す。しかし効いた素振(そぶ)りすらみせず、今度は長い触手(しょくしゅ)を羽ばたかせ、残りの氷を旋回(せんかい)力と手数で(さば)き始めた。それでも――


「ありがとうシルシル、ココだぁぁ!」


 触手(しょくしゅ)(つらぬ)いた()(わず)かな死角を()ってひととびで接近したマーロンさんが、両手に(にぎ)ったダガーナイフを交差させた。美しく()った彼女(かのじょ)は、触手(しょくしゅ)を一本、二本と()()きながら、気合い一閃(いっせん)、十字に()()った。



深淵十字斬り(アビス・クルセイド)!!」




いつもお読みいただきありがとうございます!


毎日の更新時間ですが、今後は…


・月-金が、夜7-8時頃

・土日祝が、午前中


と変更する予定です。


コロコロ変更となって申し訳ないですが、

今後ともよろしくお願いします。

⭐︎やブクマもよろしくね!!

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