表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元チート級暗殺者のもこもこ村開拓記 ~すでに2度死んでる最強の殺し屋ですが、新たな人生はもふもふケモナーさんに囲まれた優雅で静かなスローライフを送りたい!  作者: THE TAKE
第6章 みんな大好きモコモコ村!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

312/314

第312話 討伐開始!


 (おれ)がアレと呼称(こしょう)したもの。

 それはもともと冒険者(ぼうけんしゃ)だった(だれ)かの亡骸(なきがら)で、この先の細道を通せんぼするかのように項垂(うなだ)れたまま()()っていた。実際は(すで)に息絶え、肉体は腐食(ふしょく)し、(ひど)(にお)いを放っている。なのにその肉体からは異様(いよう)な光が()れ出ており、何者も寄せ付けない異常(いじょう)さを放っている。


「エメラルドドラゴンフライは、その習性として、自らの縄張(なわば)りを知らしめるために、自分の巣の入口に外敵の死骸(しがい)(かざ)ると言われているの。中でも大型の個体になればなるほど、巣(あな)の入口は小さく細いものになるって。……あそこ、どう見ても人が一人(ひとり)入れる程度のサイズよね」


「要するに、その先にいるトンボは、通常よりデカい可能性が高いってことか」


 肯定(こうてい)否定(ひてい)もしないニコルは、「どちらにしても引き返しましょう」と首を()る。しかし残念なことに、(おれ)たちはまだ目的のアイテムを手に入れていない。それにどうやら目的のブツは、トンボの巣(あな)()けた先にしか存在(そんざい)しない。ここで足踏(あしぶ)みしていては、手に入る物も入らない。


「だったら進むしかないだろ。なぁシルシル?」


 (おれ)の問いに微妙(びみょう)(うなず)いたシルシル。

 さすがのシルシルも、その先にいる存在(そんざい)圧倒(あっとう)されたのか、多少の気後(きおく)れが感じられる。

 無理もないか。


「わざわざ災悪(さいあく)()れる必要なんてないわ。遠回りになるかもしれないけど、ここは(あきら)めて別の道を(さが)しましょう」


 くるりとニコルが()(かえ)る。

 しかし(おれ)彼女(かのじょ)(うで)を引っ張り、くるりとこちらを向かせた。


「な、何よ……?」


「なんもかんも、行くしかないよな。ねぇ、マーロンさん?」


 (むずか)しい顔をしながら、苦渋(くじゅう)選択(せんたく)(うなず)彼女(かのじょ)

 それでこそアタクシの伴侶(はんりょ)()が心の支えでございます!


「ば、バカ言わないで。アンタたち正気なの!? この先にいるのは、今までの魔物(まもの)とはレベルが(ちが)うの。確実に殺されるわよ!」


 でもニコルの言葉に、シルシルとマーロンさんは複雑そうな表情だ。

 確かによくわかりますよ。

 でしたら折角ですし、その理由を(かれ)らに教えてあげてください。


「ええとね……、ニコルさん。その……、もう一度、三獄卒(ごくそつ)? だっけ。名前を教えてもらえるかな」


「だから、エメラルドドラゴンフライと、テンペストビートル、それにブラックデモンズフォーグよ!」


「あの……、最後のをもう一度いいかしら」


「だーかーら、ブラックデモンズフォーグよ、それがどーしたっていうのよ!?」


 シルシルとマーロンさんの顔が(しぶ)る。

 そうです。言わずもがな、ブラックデモンズフォーグといえば、()が村の守り神こと、トゲトゲさん一族の総称(そうしょう)でございます。トゲトゲさんは、(かれ)ら一族の中でもエリート中のエリートで、(すで)に親である父トゲトゲさんすらとうに()え、一族最強の名をほしいままにしている元気印の可愛(かわい)可愛(かわい)いお子様にございます。またシルシルに(いた)りましては、夜毎(よごと)一緒(いっしょ)に村の見回りをしている、いわゆる〝お友達(ともだち)〟です。よって(かれ)の力量も、実力の(ほど)も心得ているということです。それはまぁ複雑なことでしょう。


「あのね、そのブラックデモンズフォーグの子がね、随分(ずいぶん)前から村の守衛を担当(たんとう)してくれてるの。要するに、……いいえ、これ以上言うのはやめておくわ」


 (おれ)の顔を一瞥(いちべつ)して言葉を止めるマーロンさん。

 そうですね、正しい判断だと思います。


「は……? ブラックデモンズフォーグが村を……? ハァ!?」


 (おどろ)きすぎて顔がひん曲がっているニコル。

 さらに(おどろ)きすら超越(ちょうえつ)して微動(びどう)だにしない四バカ。

 ときますれば、(わたくし)が言いたいことは、もうおわかりですね?


「マーロンさん、それにシルシルさん」


 ギクリと二人(ふたり)(かた)()れる。

 どうやら(おれ)が言いたいことを理解してくれたみたいだね。


「ね、ねぇハク? そ、その先は言わないでくれると(うれ)しいかな……?」


「そ、そうですぞ村長殿(どの)。そこから先は容易(たやす)く口にせぬ方が……」


 ドギマギ止めようとしている二人(ふたり)()しのけ、(おれ)はドーンと(むね)を張って宣言(せんげん)する。


「よし、じゃあ二人(ふたり)でエメラルドドラゴンフライを(たお)してみようか」


 このときばかりは、(おれ)とポンチョ以外全員の顔が引きつっていた。

 ある者は死を覚悟(かくご)して(ひざ)をつき、ある者はこれから先に(おそ)いくる魔物(まもの)姿(すがた)を想像して青褪(あおざ)めた。

 ですけどねぇ……。


二人(ふたり)は考えたことない? 本当のところ、自分はどれくらいやれるんだろうって」


 マーロンさんとシルシルが指を立てた(おれ)の顔をマジマジと見つめる。


「どれくらいって……?」


「じゃあ聞くけど、今の二人(ふたり)なら、村にきたばかりの(ころ)のトゲトゲさんと戦ったとして、勝てると思う?」


「村長殿(どの)、質問の意図が……」


「なら聞き方を変えるね。この先にいる魔物(まもの)は、当時のトゲトゲさんと同じ、……いいや、()()()()()()()かな。……どうだろう、少しはやる気になってきた?」


 二人(ふたり)が同時に目を見開き、(たが)いの顔を見合わせた。

 そしてそれぞれ数秒間考えを(めぐ)らせ、全く同じタイミングで(うなず)いた。


「わかった、やろう!」


 二人(ふたり)の言葉に、四バカとニコルの顔色が(はげ)しく(くも)る。

 しかし残念。意志ってものは、固まった瞬間(しゅんかん)こそ即刻(そっこく)打つべきなんだよね!


「さぁ心は決まった。……準備はいいね?」


 (うなず)二人(ふたり)(かた)に手を置き、「行くよ」と(つぶや)く。

 そして足踏(あしぶ)みしている全員を魔力(まりょく)(なわ)捕縛(ほばく)し、一斉(いっせい)にスタートを切る。



「エメラルドドラゴンフライ、討伐(とうばつ)開始だー!!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ