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元チート級暗殺者のもこもこ村開拓記 ~すでに2度死んでる最強の殺し屋ですが、新たな人生はもふもふケモナーさんに囲まれた優雅で静かなスローライフを送りたい!  作者: THE TAKE
第6章 みんな大好きモコモコ村!

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第305話 もてなしの余興


 何事もなかったようにスタスタと近付くルンゲに衝撃(しょうげき)を覚えたものの、すぐに()(つくろ)ったララバイは、どうせこれで終わりだと卑猥(ひわい)()みを()かべた。


(だま)悪党(あくとう)め、(われ)ら勇士、タダではやられんぞ」


 ルンゲの声をきっかけに、数名の仲間が(かれ)の元へ()()った。

 そしてそれぞれが手にした魔道(まどう)具を宙空(ちゅうくう)で円形に(なら)べ、魔力(まりょく)を集結させ始めた。


「な、何をしているキサマら……!?」


「ふん、やはり商人だな。お前は(わたし)たち職人というものをまるでわかっていない。……(おく)()は、最後まで取っておくものなのだ!」


 八つの魔道(まどう)具が一箇所(かしょ)に寄せ集まり、魔力(まりょく)を集合させ、圧力を高めていく。どうやら普通(ふつう)の武器に見せかけて作られたそのアイテムは、一つに集めることで始めてその力を解放させるものだったらしい。


 身体が不自由で動けなかったはずのルンゲ。

 制圧可能な、なんでもない武器を手にした職人たち。

 そんな(おご)りに近い油断から、(かれ)らの接近を許してしまったことにようやく気付き、ララバイの顔色が急激(きゅうげき)青褪(あおざ)めていく。


「油断したなララバイ。まさか(わたし)たちが最初から()()だとは気付いていなかったらしい!」


 圧倒的(あっとうてき)戦力で()(つぶ)すだけと算段(さんだん)を立てていたララバイに対し、玉砕(ぎょくさい)覚悟(かくご)の一点突破(とっぱ)だけを(ねら)っていたルンゲ。どうやらその目論見(もくろみ)に気付いたララバイが(あわ)てて逃亡(とうぼう)(はか)るも、魔道(まどう)具の照準を整えたルンゲは、その後姿(うしろすがた)をめがけて「()て!」と(さけ)んだ。

 怒声(どせい)とともに、(はげ)しい稲光(いなびかり)を発生させた魔道(まどう)具が、()めに()めた魔力(まりょく)発射(はっしゃ)させる。大筒(おおづつ)から飛び出した(おびただ)しいほどの光りが周囲を包み、(すべ)ての(やみ)()()みながら照準を捉えた。


「や、やめろ、やめろぉぉぉ!」


 ララバイの悲鳴にも似た(さけ)びが商業区を()けていく。光の中心が()()いたララバイの背中(せなか)へと(おそ)ろしい速度で接近し、(おび)(おのの)いた男はペタンと(しり)もちをついて(たお)れてしまう。


「終わりだ、ララバイ!」


 広場ごと破壊(はかい)し、自分たち諸共(もろとも)散ることを画策(かくさく)していたルンゲたちに(おそ)れはなかった。背後(はいご)に並んだ仲間たちも同様で、それぞれが(さと)ったようにララバイ最期(さいご)瞬間(しゅんかん)をその目に焼き付けるために直立し、強く(こぶし)(にぎ)()んだ。でもですね ――


 集結した光のスジがララバイの顔に()れる直前、急激(きゅうげき)に角度を変えた光弾(こうだん)が、そのまま垂直(すいちょく)上昇(じょうしょう)していく。そして今度はヒュルヒュルと音を立てながら、()けるように広がった商業区の天井(てんじょう)めがけて飛んでいく。そして……



『 た~まや~! 』



 (だれ)かの景気の良い()け声が飛ぶ。

 直後、ララバイめがけて放たれたはずの魔力(まりょく)(かたまり)が空中で()ぜ、美しい閃光(せんこう)(ともな)って爆発(ばくはつ)した。その光景は闇夜(やみよ)を照らす大輪の花火のようで、それはそれは美しい一瞬(いっしゅん)のきらめきとして散っていった。


「な……、なんだこれは……」


 地面に(こし)を落としたまま空を見上げ、ララバイが呆然(ぼうぜん)と口を開けている。しかしそれは攻撃(こうげき)した側のルンゲも同様で、目の前に広がった(いろど)(あざ)やかな(ほのお)の輪の光景に絶句するしかない。


 タイミングを見計らったかのように、「それッ!」「よッ!」と()け声がかかり、さらに四方から光のスジが上がっていく。すると今度は先程(さきほど)より小ぶりの閃光(せんこう)が空中で()ぜ、(やみ)に包まれていた商業区の空を明るく()めていく。「何が起こっている!?」と(さけ)んだルンゲの言葉を()()すように、調子のいい手拍子(てびょうし)や合いの手が広がった。


「なんなのだ、これは何の(さわ)ぎだ!?」


 (しり)もちをついたまま右往左往しているララバイに、異常事態(いじょうじたい)(あわ)てるルンゲ。しかし闇夜(あんや)に上がる花火の数は秒ごとに増していき、ついにはフロアの天井(てんじょう)(おお)()くすほどに()かせた大輪の輪が広がっていく。


 その光景には反乱(はんらん)を予期していた衛兵たちも目を(うば)われ、異変(いへん)に気付いた民衆(みんしゅう)たちまでもが空を見上げていた。初めて顔を(のぞ)かせた子供(こども)たちが夜空を()める(あざ)やかな光に目を(うば)われ、何も知らぬまま、しばしの演目を楽しんでいるようだった。



「―― とまぁ、余興って(やつ)はギャラリーが多いほうが楽しいですもんね。ところで皆様(みなさま)、楽しんでいただけましたでしょうか?」



 反乱(はんらん)因子であるルンゲたちの前に一歩()()した(おれ)たちは、シルシルの()(またが)ったまま、そこで改めて一礼してやる。「(だれ)だお前たちは!?」と(あわ)てているララバイに対して、堂々と自身の出自を述べたマーロンさんは、「今宵(こよい)の花火、楽しんでいただけましたか?」と不敵に告げた。


「は、花火だと!? な、なんだキサマ、ふざけているのか!?」


「ふざけてなどおりません。今宵(こよい)は、(わたくし)どもがルンゲ殿(どの)にお願いし、ご来訪(らいほう)なさるララバイ様をもてなすために用意させていただいた余興にございます。そう、(すべ)ては〝サプライズ〟にございます!」


 ウフフと笑う小狡(こずる)笑顔(えがお)に、こちらの顔までほころんでしまいます。

 可愛(かわい)いねぇ。


「よ、余興だと!? 言うに事欠いて、何を言っているのだキサマ!」


「何を、と申されましても。実際にご自身の目でご(らん)になられたではありませんか。こちらにいらっしゃる衛兵の皆様(みなさま)も、大空を(いろど)る大輪の(はな)をご(らん)になられたはず。そこになんの悪意などございましょうか!」


 ムググと奥歯(おくば)()()めて(こぶし)を固めたララバイは、「屁理屈(へりくつ)を申すな!」と反論(はんろん)する。しかし実際に怪我人(けがにん)や町への被害(ひがい)皆無(かいむ)で、残っているものは()()民衆(みんしゅう)歓声(かんせい)だけだ。


「では如何(いかが)いたしましょう。もしララバイ様が今宵(こよい)のことを〝反逆〟などと申すのでしたら、お連れの皆々様(みなみなさま)に、民衆(みんしゅう)鎮圧(ちんあつ)しろと()明示ください。しかしそんなことをすれば、貴方(あなた)様は理由なく民衆(みんしゅう)(おとし)めた逆賊(ぎゃくぞく)ともなりかねません。なにせ、(わたくし)どもが共に目撃(もくげき)しておるのですから」


「グッ、つ、つくづく屁理屈(へりくつ)を。き、キサマ、調子に乗るなよ。それが(たばか)りであることなど、そこにおるルンゲの顔が(すべ)て物語っておるわ!」


「これまたユーモラスなことを。さすがはララバイ様、お(たわむ)れがお好きですこと」


 オホホと貴婦人(きふじん)のように微笑(ほほえ)むマーロンさん。

 その姿(すがた)はまさに悪役令嬢(れいじょう)のようです。さすがっす!


「な、()めるな、隣国(りんこく)の成り上がり貴族(きぞく)風情(ふぜい)が。キサマらの魂胆(こんたん)など知ったことではないが、コイツらが反逆を(くわだ)てていたのは確実。その証拠(しょうこ)(すで)に上がっているのだ!」


証拠(しょうこ)……? 証拠(しょうこ)とは()()のことでしょうか」


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