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元チート級暗殺者のもこもこ村開拓記 ~すでに2度死んでる最強の殺し屋ですが、新たな人生はもふもふケモナーさんに囲まれた優雅で静かなスローライフを送りたい!  作者: THE TAKE
第6章 みんな大好きモコモコ村!

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第303話 無用の長物


 地下の部屋(へや)に残されてしまった(おれ)たちは、これからどうすべきかを決めあぐねていた。言ってみれば、これはルスカの国政に(かか)わると言っても()(つか)えはない。他国の冒険者(ぼうけんしゃ)である(おれ)たちがルンゲに加担(かたん)するということは、この国の貴族(きぞく)を敵に回すということだ。それはわざわざルスカという隣国(りんごく)に、自ら手を出すことを意味している。


「だからってルンゲさんをみすみす死なせるわけには……。どうすりゃいいんだよ」


 反面、迷いがある(おれ)(こと)なり、やはりマーロンさんの考え方はシンプルだ。目の前に(こま)っている人がいれば、彼女(かのじょ)は必ず手を()()べる。しかも目の前に貴族(きぞく)による圧政があるのならば、自動的に走り出してしまうのも当然だ。だからこそ(おれ)はまず彼女(かのじょ)(うで)(つか)み、「一度冷静に考えよう」と提案する。


「どうして! 考えてる時間なんてないよ!?」


大丈夫(だいじょうぶ)、まだ時間はある。四壁(しへき)の言葉を思い出してみてよ」


 シーリカは確かに言っていた。

 貴族(きぞく)側の急先鋒(きゅうせんぽう)であるララバイは、今夜商業区へと()りてくると。(うら)を返せばそれは、まだ(わず)かに猶予(ゆうよ)が残っているということだ。


「だからって、すぐに動き出すかもしれないよ!?」


「多分それはないよ。わざわざ敵の本拠地(ほんきょち)へ出向いて事を起こすなんて、死にに行くようなものだもん。もし(おれ)がルンゲさんなら、まずどうにかララバイを()さえにいくかな。(やつ)らの一瞬(いっしゅん)(すき)(ねら)ってね」


 確実に現れるとわかっている相手の(すき)()くのは常套(じょうとう)手段(しゅだん)だ。しかも貴族(きぞく)窓口(まどぐち)として動いているララバイを()()けたなら、その後の動きも取りやすくなるに(ちが)いない。


「まずは(かれ)らの動きを(さぐ)ってみよう。……不服だけど、四壁(アイツら)にも手伝(てつだ)ってもらうしかないかもね」


 そうと決まれば、こうしてはいられない。

 すぐにでも地下室を出て、四壁(アイツら)から話を聞く必要がありそうだ。

 (おれ)の考えを先読みし、シルシルがいち早く部屋(へや)を飛び出していった。居ても立っても居られず、それを追いかけていくニコル。


「トア、(わたし)たちも急がないと!」


「……と、あわてんぼうさんは、すぐ走り出してしまいがちなんですが」


 部屋(へや)(かべ)一瞥(いちべつ)し、ふぅと息を()く。



「何もかも上手(うま)くいくことなんて(まれ)なわけで。ま、やるだけやってみましょうか」




     ◇ ◆ ◇ ◆ ◇




 (おれ)たちが成すべきことはシンプルだ。

 手っ取り早くルンゲを救出し、すぐにランゲ捜索(そうさく)(もど)ること。

 これしかない。


 しかし達成条件はそれほど簡単(かんたん)ではない。可能な限り敵を作らず、無闇(むやみ)(かか)わらず、それでいて確実に事を()ませる。多くを望みすぎだと言われればそれまでだけど、この生き方を(つらぬ)くと決めた時点で、妥協(だきょう)はしないと決めている。


 約束の時刻(じこく)よりずっと早く町外れの空き地を(おとず)れた(おれ)たちに対して、四壁(しへき)のメンバーで唯一(ゆいいつ)待ち合わせ場所で待機していたシーリカは、まさか(おれ)たちが現れると思っていなかったのか、(くわ)えていてタバコをポロリと地面に落とした。


「あ、アンタら、どうして……?」


「なんだろうね。気の迷いってやつかな」とわざとらしく笑ってみる。しかし(おれ)の態度と真逆(まぎゃく)なマーロンさんの心情を読み取ったのか、シーリカは地面に落ちたタバコをすり(つぶ)しながら言った。


「なんだか理由がありそうだけどさ。ララバイの野郎(やろう)(たお)してくれるってことなのかい?」


 彼女(かのじょ)の問いに答えようとした(おれ)を止め、マーロンさんが一歩()()した。そして深々と頭を下げながら、自分たちにルンゲとララバイのことを教えてほしいと願い出た。


「……(わけ)ありってことかい。つまんねぇな、アタシは(やつ)らをひっくり返してくれりゃ、それだけでいいってのにさ」


 不貞腐(ふてくさ)れて積まれた木材に腰掛(こしか)けたシーリカは、「約束は約束だ」と渋々(しぶしぶ)語り始めた。



「アタシらがこの国にやってくるよりも、ずっと前の話だ。もともとルンゲとララバイの野郎(やろう)は仕事仲間だったらしい。ルンゲは魔道(まどう)具職人で、ララバイはそれを他国へ(おろ)す商人だったそうだ。しかしララバイの野郎(やろう)は野心家でさ。ある時を境にして、野郎(やろう)は金をチラつかせて貴族(きぞく)側に()()り、自らも金で貴族(きぞく)としての立場を買ったのさ。その(ころ)からだってな、この国が(いびつ)な構造に変わっていったのは」


 舌打ちした彼女(かのじょ)は、木の枝で地面に時系列(じけいれつ)を書き記した。ちょうどニコルが国を出たあたりから少しずつ変化していったルスカは、さらにこの数年で急激(きゅうげき)に内政を転換(てんかん)させていた。


「その最たるものが、あの長雪さ。ルスカ自身も類に()れず、雪のせいで(ひど)い目にあってね。上層(じょうそう)の農業区も壊滅的(かいめつてき)被害(ひがい)を受けたと聞いてるよ。食べものはなくなり、貴族(きぞく)下層(かそう)庶民(しょみん)との間で分断は加速していった。もともと仲違(なかたが)いしていた庶民(しょみん)貴族(きぞく)(みぞ)は決定的になり、ついには貴族(きぞく)(やつ)ら、農業区から無関係な庶民(しょみん)排除(はいじょ)しやがったんだ」


「そんなことが許されるの? この国の王は一体何を……」


 マーロンさんの質問を(わら)()てたシーリカは、「それこそ(おも)(ちが)いだ」と(あき)れてみせる。すると彼女(かのじょ)は、この国を形作る階層(かいそう)のさらに上層(じょうそう)に丸を打ってみせた。


「この上には農業区があるって言ったろ? そしてさらに上には、王族が住んでる王城(おうじょう)区があんのさ。昔がどうだったかは知らねぇけど、少なくともここ数年、(やつ)らは下々のことには全く(かか)わらず、(すべ)てを貴族(きぞく)連中に丸投げしてる。なんならその貴族(きぞく)連中も、へーこら勝手に動いてくれるララバイの野郎(やろう)上手(うま)(まる)()まれて、都合のいいように使われちまってる始末だ。……(すで)にあってないようなもんなんだよ、ルールなんてさ」


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