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元チート級暗殺者のもこもこ村開拓記 ~すでに2度死んでる最強の殺し屋ですが、新たな人生はもふもふケモナーさんに囲まれた優雅で静かなスローライフを送りたい!  作者: THE TAKE
第6章 みんな大好きモコモコ村!

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第302話 ルスカという国


 口を開けたまま一瞬(いっしゅん)立ち止まったニコルが、「え?」と聞き返す。

 そして改めて、同じ質問をルンゲにした。


「本当に(もう)(わけ)ない。ですが、(わたし)(みな)とは行けんのです」


「どうしてよ!? ここまでしてもらっておいて自分は力を貸せないなんて、そんな情けない話があるっていうの!?」


「あのぉ、こちらとしては強要してるわけじゃないので構いませんけど……」


「そうはいかないわ! ね、ねぇルンゲ、どうしてなの。理由を聞かせなさいよ。でないと納得(なっとく)できないわ!」


 すると(かれ)(うつむ)きがちに()を向け、「皆様(みなさま)には関係のないことです」と閉鎖的(へいさてき)に言った。


「関係なくないわよ。アンタとアタシの関係でしょ!? それとも何、アタシが勝手に出てったことをまだ根に持ってるってわけ!?」


「いや、そうではない。……むしろこうなってしまったことで、それが必然となってしまった」


 (みょう)な言い回しをしたルンゲは、身体の動きを確かめながら殺風景な室内の()の前に立ち止まり、(おもむろ)に中を(のぞ)()んだ。そして隙間(すきま)から(うで)を入れて壁を操作(そうさ)すると、どこかでガコンと音が鳴った。


「なによそれ、なんだって言うのよ!?」


 どうやらニコルすら聞かされていなかったのだろう。

 突然(とつぜん)反対側の(かべ)()れ、(とびら)のようなものが現れた。招かれるまま中に入った(おれ)たちは、そこに(なら)べられた物の姿(すがた)に目を(うば)われた。


「こ、これは……?」


「……できることなら知らせたくはなかった。だがこうなってしまった以上、(だま)っていることはできなくなってしまった」


 (かく)部屋(べや)(なら)んでいたもの。それはルンゲ自身が生み出した武器の数々だった。わなわなと体を(ふる)わせたニコルは、そこに(なら)んだものの存在(そんざい)(うたが)うように首を()りながら、「はぁ?」と疑問(ぎもん)を口にした。


「な、なんなのよこれ。アンタ、これはどういうつもり!?」


 彼女(かのじょ)一瞥(いちべつ)だけして(うつむ)いたルンゲは、これまで(おれ)たちへ向けていたものとはまるで種類の(ちが)う、決意のようなものを感じさせながら言った。


皆様(みなさま)に成すべき事柄(ことがら)があるように、(わたし)にも()けては通れぬ道があるのです。たとえそれが神のご指示だとしても、(わたし)にも(たが)えぬ約束はございます」


 (たが)えぬ約束、ときたもんだ。

 昨晩(さくばん)、不落の四壁(しへき)から聞いたルンゲの話。

 そこから想像するに、(おそ)らくはこの武器たちも、(かれ)がしようとしている何かと関係があるのだろう。


「……貴族(きぞく)に、喧嘩(けんか)でも売る気ですか?」


 どうやら(おれ)の言葉に(おどろ)いたのだろう。

 目を見開いた(かれ)は、「どうしてそのことを」としばし絶句する。

 しかし知っているなら仕方ありませんと首を()り、淡々(たんたん)と話し始めた。


「この国は今、死につつあります」


「国が死ぬ……?」


「いいえ、厳密(げんみつ)に言えば(われ)一庶民(いちしょみん)のことを言えばいいのでしょうか。しかしそれも大袈裟(おおげさ)ではないのですよ。(われ)普通(ふつう)(たみ)が消えれば、文化は消え、国も(つい)えます。……(かれ)らにはそれがまるでわかっていないのです」


「それは貴方(あなた)が争っているという〝ララバイ〟って(やつ)のことですね?」


「まさか、もうそこまで……。さすがは(われ)らが神です。なんでもご存知(ぞんじ)なのですね」


「神じゃないですけど」と否定(ひてい)するこちらの言葉を無視(むし)して()を向けたルンゲは、積まれていた魔道(まどう)具を手に取り、感慨深(かんがいぶか)く見つめた。そしてくるりと向き直り、決心の表情で言った。


「今ここで動かなければ、(われ)らはもう保ちません。商業は死に、(たみ)()え、肥えるのは貴族(きぞく)たちだけ。(われ)らは十分な食料すら得る術もなく、こうして飼い殺しにされるのを待つのみ。もはや限界なのです」


 なるほどなと納得(なっとく)してしまう。

 よくよく見ればルンゲ自身も()(ほそ)っており、(だれ)がどう見ても栄養状態が悪く、不健康の限りといった風体(ふうてい)だ。四壁(しへき)のメンバーたち外の冒険者(ぼうけんしゃ)だけでなく、貴族(きぞく)以下のこの国の(たみ)たちは、随分(ずいぶん)(ひど)(あつか)いを受けてきたのだろう。そうでなければこれほど厳重(げんじゅう)に武器を(かく)す理由もなく、町にも活気が(あふ)れるというものだ。


「あの長雪からというもの、貴族(きぞく)どもはさらに食料の供給(きょうきゅう)()(しぶ)り、ついには倍の年貢(ねんぐ)をふっかけてくる始末。これではもう(われ)らに死ねと言っているようなもの。ならばもう、打って出るほかありません」


 どうやら状況(じょうきょう)は急を要する。その証拠(しょうこ)(なら)べられた武器の数々は、すぐにでも持ち出せるように準備が整えられており、使われるその瞬間(しゅんかん)()()びているかのようだった。


「なら国を出ればいいのでは? なんなら(となり)の公国を(たよ)ってみるのも手だと思いますよ」


「それが可能ならば(すで)にやっています。今から約半年ほど前のこと、(やつ)貴族(きぞく)は、(われ)ら国の(たみ)をこの町から出さぬように包囲(もう)()き、冒険者(ぼうけんしゃ)以外の(たみ)の通行を(きび)しく制限してしまった。もしも外へ出たいのであれば、回廊(かいろう)()けて出ていけばいいという無理難題(むりなんだい)()()ける形でね」


 なるほど、それで(おれ)たちのような外の人間が通常ルートで入国するのにも時間がかかるんだなと納得(なっとく)する。どうやら(おれ)たちの(うかが)()れぬところで、ルスカは随分(ずいぶん)(いびつ)状況(じょうきょう)(おちい)っていたらしい。しかし……


「たったこれだけの武器で、どう戦うつもりなんですか。たとえ身体が万全(ばんぜん)になったとしても、所詮(しょせん)(おとろ)えた身です。こんなものを持ち出して戦いを(いど)んだところで先は見えている」


 四壁(しへき)の話では、商業区の上層(じょうそう)には巨大(きょだい)な農業区があると聞いている。同時にこの国の貴族(きぞく)がそれだけの農場を管理できるだけの財力と人員を確保しているのであれば、こんな反乱(はんらん)など立ちどころに鎮圧(ちんあつ)されてしまうに(ちが)いない。無謀(むぼう)(きわ)まりない話だ。


「たとえ敗れるとわかっていても、話し合いの先頭に立ってきた(わたし)が退くわけにはいかないのです。これまでは身体の不調により足踏(あしぶ)みしてきたが、(わたし)自身が動けるようになった今、立たないわけにはいかぬのです!」


 武器を(にぎ)った(うで)(わず)かに(ふる)わせるルンゲは、「すぐに準備をしなければ」と(おれ)たちを部屋(へや)から追い出した。そして「無茶は承知のうえです」と(うなず)き、すぐにアジトを出ていってしまった。


 おいおい、急展開(きゅうてんかい)すぎないか!?


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