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元チート級暗殺者のもこもこ村開拓記 ~すでに2度死んでる最強の殺し屋ですが、新たな人生はもふもふケモナーさんに囲まれた優雅で静かなスローライフを送りたい!  作者: THE TAKE
第5章 みんな大好きキノコ作り!

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第227話 高位のウルフ


「しかし地下階層(かいそう)全壊(ぜんかい)に近い形で(くず)れており、今回運び出した冒険者(ぼうけんしゃ)以外を(さが)しに(もど)るのはもう(むずか)しいだろう。こうして帰還(きかん)できたことが、(すで)奇跡(きせき)に近い。雨がやみ、完全に水が()けきるまでは、ダンジョンをしばらく封鎖(ふうさ)し立ち入れぬよう指示を願う」


「承知した」とテーブルが(うなず)いた。しかしどこか()かない顔で(となり)に立っているペッツに気付き、「なんだ、まだ何か問題があるのか!?」と(まゆ)をひそめた。


「も、問題なんかねぇよ! あ、あれだよ……、せっかくでけぇ(りゅう)()ったってのによ、足場が(しず)んじまったせいで素材を全部回収(かいしゅう)できなかったんだよ。……それだけだっつーの!」


 と、(おれ)をチラチラ見ながらペッツがボヤく。

 その様子にクククとほくそ()(きば)の仲間たち。

 さすがはSランク冒険者(ぼうけんしゃ)パーティー様。こちらの意向を()んでくださり感謝感謝です。


「よーし、そんじゃあ早速(さっそく)ダンジョンを()じちまうぞ。手が空いてる職員は、これからそれぞれ持ち場へ(もど)って入口を封鎖(ふうさ)だ。ところどころ新しい出入り口ができちまってるようだから、くまなく確認(かくにん)して確実に()じるんだ、いいな!」


 ギルドマスターの指示を受け、ギルド職員たちが一斉(いっせい)に返事をする。もうひと()()りだなと(こし)に手を当てたテーブルは、(おれ)(きば)の面々に「お前らはこれからどうする?」と質問する。しかしその直後だった。


 ゴゴゴという地響(じひび)きが走り、(あや)しい雰囲気(ふんいき)に集まっていた面々が身をすくめる。近くに見えていたダンジョンへと通じる(くぼ)んだ(あな)がスルスルと(すべ)(はじ)め、さらに(あな)を広げていくではないか。(あわ)てて砂地(すなじ)丘陵(きゅうりょう)地帯へと移動した(おれ)たちを嘲笑(あざわら)うかのように、地下空間が多量の(すな)()()げていく。(きば)のひとりが空中に足場を作ってどうにか(なん)(のが)れたものの、(おれ)たちがこれまで立っていた(すな)の足場は見事に()()まれ、地下(すべ)てを(おお)()くすように、周囲が巨大(きょだい)窪地(くぼち)へと様変わりしていく。


「こいつは……。もう復旧は永遠に無理かもしれねぇな」


 テーブルがポツリと(つぶや)いた。

 地下へと通じる(あな)諸共(もろとも)、何もかもを()()んだ(すな)が、迷宮(めいきゅう)(すべ)てを(ほうむ)()っていく。

 (いま)()り続いている雨と(すな)が音を立てて(なが)()み、まるでそこに何もなかったかのように()()くしていく様はどこか物悲しく、盛者必衰(じょうしゃひっすい)を思わせる(さび)しさを覚えた。だけど――


「これで完全にキノコ情報を得る(すべ)がなくなっちまったわけですか。ふぅ、どうしたもんかね」


 もはや(わす)れているかもしれないが、本来の目的はキノコ情報とアナグマ族の情報を得ること。これで片方(かたほう)は完全に消えてしまったことになる。


 さらにもう一つも……。

 そう(おれ)が言いかけた時だった。(くず)れた足場の先に見えていた丘陵(きゅうりょう)地帯の方角から、(かす)かな声が聞こえてくる。「なんだ?」と(ひたい)に手を当てたアシュリーが目を()らす。さらに数秒後、(きば)の面々の表情が一変する。


「どうして砂漠(さばく)地帯に北方の地の魔物(まもの)が。(みな)、どうにか対処(たいしょ)するぞ!」


 アシュリー、ペッツに続いて、(きば)の面々が態勢を整えた。しかし(にお)いを()()ったポンチョとマーロンさんは、()()ってきた大きな(かげ)に顔を赤らめ、「おーい!」と大きく手を()った。


「おーいじゃねぇよ!? おいテメェ、あれはシルバーグロウウルフっつーヤバいランクの魔物(まもの)だぞ、わざわざ()()せてどうすんだ! って、ボフッ」


 (あわ)てるペッツの顔によじ登ったポンチョが「シルー!」と(うれ)しそうに手を()った。どうやらシルシルらウルフ一行が砂漠(さばく)地帯までやってきたらしく、こちらへ一直線に()()ってくる。しかし歓迎(かんげい)ムードといった雰囲気(ふんいき)ではなく、どこか緊張感(きんちょうかん)を帯びている気がする。どうしたんだろうか?


大丈夫(だいじょうぶ)だ、あれはウチの村のウルフ族たちだ。しかし……なんだってわざわざ砂漠(さばく)地帯まで。あれだけこなくていいと言っておいたのに」


 (おれ)たちが村を()つとき、今回ばかりは少数精鋭(しょうすうせいえい)(たの)むと村人たちとは約束をしていた。それを(たが)えてやってきたとなれば問題だが、どうやら様子がおかしい。マーロンさんもすぐに気付いたのか、ペッツからポンチョを回収(かいしゅう)するなり、(あわ)てて空中の足場を()って飛び出した。


「おいテメェら! 次から次に、なんなんだよ」


 (おれ)たちに気付いてシルシルが急ブレーキをかけた。しかし居ても立っても居られない様子で足踏(あしぶ)みしている(かれ)らは、こちらの確認(かくにん)も待たずに(おれ)たちをついばみ、自身の背中(せなか)へと放り投げた。


「お、おいシルシル、どうしたんだよ、そんなに(あせ)って!?」


緊急事態(きんきゅうじたい)です。村長殿(どの)、急ぎます!」


 しかし(あわ)てて走り去ろうとするウルフの前に立ちはだかったのは、(きば)のメンバーであるペッツだった。「待て待て」とシルシルを止めた彼女(かのじょ)は、「どさくさに(まぎ)れてそいつを連れて行くんじゃねぇよ!」と声高(こわだか)(さわ)()てた。


「どけッ、小者が!」とシルシルが一喝(いっかつ)する。しかし一歩も引かないペッツは、「イヌコロが俺様(おれさま)に勝てると思ってんのか?」と充血(じゅうけつ)した()(にら)みを()かせる。おいおい、どんな状況(じょうきょう)だこれは!?


「やめろペッツ。シルシルも、あまりに話が急すぎる。こっちにはこっちの事情が――」


 止めに入るも、やはりシルシルの様子がおかしい。高位のウルフ族らしくなく(あわ)てる様は異様(いよう)で、「村に何かあったのか?」と聞いてしまうのも仕方のない流れだった。


「今は一分一秒を争うとき。どこの(だれ)かは知らぬが仕方ない。貴様(きさま)らも乗れ。走りながら話す!」


 シルシルはペッツの服を(つか)んで放り投げ、仲間のウルフの背中(せなか)彼女(かのじょ)を乗せた。

 よくわからないが、どうやら相当なことが起こっているらしい。


「おい待て、(われ)らも行く。一緒(いっしょ)に乗せていけ」


 ペッツひとりを行かせるわけにはいかないと、アシュリーら(きば)の面々もやってきた。舌打ちしたシルシルは、考えている時間も()しいと仲間の背中(せなか)に乗るよう了承(りょうしょう)し、一目散に()()した。

 よくよく見てみれば、シルシルだけでなく、部下のウルフたちの様子もどこかおかしい。各自が口の(はじ)から(あわ)を立て、(あせ)りからか(まばた)きの回数も異常(いじょう)なほどだ。


「何があったんだ。お前ほどの男がそこまで(あせ)るなんて……。ってまさか、またあのジジイ(ガロウ)が問題でも!?」


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