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元チート級暗殺者のもこもこ村開拓記 ~すでに2度死んでる最強の殺し屋ですが、新たな人生はもふもふケモナーさんに囲まれた優雅で静かなスローライフを送りたい!  作者: THE TAKE
第5章 みんな大好きキノコ作り!

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第223話 言い残すことはあるか


 さらに勢いをつけて、切っ先を土竜(どりゅう)の首に(ひね)()む。

 初めて皮膚(ひふ)(つらぬ)いた剣先(けんさき)隙間(すきま)から紫色(むらさきいろ)の血液が()()し、そこから侵食(しんしょく)するように黒の(モヤ)土竜(どりゅう)の肉体へと(なが)()んでいく。


 悲鳴のような土竜(どりゅう)咆哮(ほうこう)(とどろ)き、思わず()みがこぼれてしまう。(おれ)(むね)奥底(おくそこ)(ねむ)っていた(くさ)りきった黒い感情が爆発(ばくはつ)する。


「ック、ククク、アッハハハハ! (いて)ぇか、(いた)いだろうな。おかしいよな、無敵なはずのテメェの首から血が出てんじゃねぇか。クソザコのはずな(おれ)にやられて、(いた)がってんじゃねぇよ、クソザコがァ!!?」


 (いか)りを(あら)わにした土竜(どりゅう)が四つの頭を()(みだ)し、(いか)りの限り突進(とっしん)を開始する。

 (おれ)はそれをおちょくるようにひょいと(かわ)し、手にした大剣(たいけん)小刻(こきざ)みに装甲(そうこう)(けず)っていく。



「おいおい、(おせ)ぇな。そんなでどうやって(おれ)攻撃(こうげき)を当てるってぇ!!?」



 能力を解放したことで、感情がコントロールできなくなってきた。

 野郎(やろう)(おれ)も、(くさ)った力に支配されたかのように自らを解放させ、(みにく)醜態(しゅうたい)(さら)している。


「ほれほれどうしたァ!? 四つも頭があるくせに、テメェの(のう)ミソはスッカスカかぁ? 少しは知恵(ちえ)を使ってみせろ愚鈍(ぐどん)なマヌケがよぉ!」


 体内にまとめた魔力(まりょく)爆発(ばくはつ)させるように、土竜(どりゅう)が全方向に火球を()()した。周囲の景色(けしき)が変わるほどの威力(いりょく)()()まれ、(おれ)(はげ)しく地面に(たた)きつけられる。


「グあッ、ちっ、地下の空間ごと(こわ)すつもりかテメェ? このチン○ス野郎(やろう)がよ!」


 (せま)りくる無数の攻撃(こうげき)()(くぐ)り、(おど)るように剣技(けんぎ)(たた)()む。

 そのどれもが急所だけを(えぐ)るように()()き、ただひとつとして無駄(むだ)一撃(いちげき)はない。


 両目を真横に串刺(くしざ)しにして、さらにはそこから垂直(すいちょく)()り上げ、まず最初の頭を()(くず)す。しかしすぐに再生しようと(うろこ)を固めた土竜(どりゅう)も、一切(いっさい)攻撃(こうげき)の手を(ゆる)めない。全身の(うろこ)(ふる)わせて放つ細かな斬撃(ざんげき)の数々は、敵の接近を決して許さない。


「ちぃ、一撃(いちげき)一撃(いちげき)が重いうえに一瞬(いっしゅん)で再生すんのか。厄介(やっかい)だな」


 エリアボスと言ってしまえば言葉は軽いが、土竜(どりゅう)はこのダンジョン最下層(さいかそう)のエリアボスだ。しかもその亜種(あしゅ)として出現したダンジョンボスとも()()えられる。ダンジョンそのもののランクはAだとしても、Sランクの双龍(そうりゅう)(きば)全滅(ぜんめつ)してしまうレベルの相手。一筋縄(ひとすじなわ)でいくはずはない。


「……と、テメェは思ってんだろ。そいつはちぃと、認識(にんしき)間違(まちが)ってんな」


 無数に(せま)りくる攻撃(こうげき)(かわ)し、土竜(どりゅう)の正面に立ち続ける。まるで攻撃(こうげき)が当たらず苛立(いらだ)った敵は、四つの首を前後させながら(くる)ったように熱線を()()した。しかし(おれ)はそれをいちいち()()るように両断し、(すべ)てを無に帰してやる。


「敵一体くらい、どうにでもなると思ってたんだろ? なぁ土竜(どりゅう)よぉ。一対一なら、どんな相手でも余裕(よゆう)で勝てると思ってたんだろ?」


 まとめて飛んでくる全攻撃(こうげき)一閃(いっせん)し、ニヤリと笑ってやる。

 残念ながら、(すで)に勝負は決まっている。何故(なぜ)なら……



(おれ)は、一対一なら絶対に負けない。(おれ)()りてぇなら、国家の衛兵大隊でも連れてくるんだな!」



 こちらの(あお)りに対し、土竜(どりゅう)鼓膜(こまく)(つんざ)くほどの咆哮(ほうこう)をあげた。「こいこい」と手先で挑発(ちょうはつ)した(おれ)は、(ちょう)重量の突進(とっしん)(かわ)し、四つ首の一つの(よこ)(つら)を張り(たお)してやる。そしてバランスを(くず)して片膝(かたひざ)付いた巨体(きょたい)の上部へと()()がり、(きたな)嘲笑(ちょうしょう)()()らしながら、刀を(うろこ)(うろこ)の合間に()()した。


 紫色(むらさきいろ)の血を()()げ、(おれ)(ほお)がどどめ色に()まっていく。

 それでも気にせず深く()()みながら、(おれ)(くる)ったように笑っていた。


「おいおい、どうした!? そんなもんか、それでもテメェはダンジョンの(あるじ)か!!?」


 (はげ)しく身体を()さぶった土竜(どりゅう)は、ダメージも気にせず(おれ)()()むと、そのまま(かべ)へと突進(とっしん)した。衝撃(しょうげき)()()まれて地面を転がった(おれ)は、血反吐(ちへど)()きながらも、瞳孔(どうこう)の開いた()を見開いて(わめ)き散らす。楽しさなのか、それとも鬱屈(うっくつ)()()められてきた心の有りようなのか、ずっと奥底(おくそこ)(ねむ)っていたナニカを()()すように、負の感情を()()らしていた。


「まだだろ、まだだよなぁ!? こちとらまだまだやれんぞ、ま~だ(あたた)まってきたばっかりなんだよ。まだまだくたばってくれんなよぉ!?」


 自分で破壊(はかい)した瓦礫(がれき)の束をふるい落とし、土竜(どりゅう)が立ち上がった。(おれ)()して傷付(きずつ)けた部位から噴水(ふんすい)のような血飛沫(ちしぶき)()ね、(いた)みからなのか、土竜(どりゅう)がよろめいた。


「どうしたというのだ。土竜(どりゅう)の身体、さ、再生が追いついていない……?」


 (たて)で周囲の衝撃(しょうげき)(かわ)しながら、アシュリーが疑問(ぎもん)を口にした。

 (おれ)はほんの一瞬(いっしゅん)視線(しせん)を向けつつ、「そりゃあそうだろうよ!」と(おおかみ)のように()えた。


「なんのために、わざわざ細かぁく細かぁく(コイツ)でぶっ()してきたと思ってる? ……毒だよ、(コイツ)には、特製かつ変異(へんい)性の毒を仕込(しこ)んである。再生を試みようとしたってムダムダ。再生したところから壊死(えし)して()けてなくなっちまう。もう()んでんだよテメェは、ヒャハハハ!」


 黒く、(きたな)く、(すさ)みきった言葉を止められない。

 (おれ)の意思を無視(むし)するように、過去に(おれ)否定(ひてい)し続けた力が暴走している。一歩動くごとに()()す血を見つめては、爛々(らんらん)(かがや)()(にら)み殺す。一()ししては笑い、また一()ししては笑い転げる。その様はどちらが悪魔(あくま)かを判断することすら(むずか)しく、(ひど)く無様で、あさましい姿(すがた)だったに(ちが)いない。


「ほれほれほれ、どうした!? もっと抵抗(ていこう)してみせろ! どうした土竜(どりゅう)、これでオシマイか!?」


 勢いがあった土竜(どりゅう)攻撃(こうげき)も、いつしか(しぼ)()えた柑橘類(かんきつるい)のように(しぼ)んでいた。四つの首は血の止まらない(きず)(かば)うかのように右往左往し、太く重厚(じゅうこう)(あし)はいつからか一歩も動けない。かろうじて立ってはいるものの、プスプスと音を立てたように魔力(まりょく)()()て、ドス黒く地下の水源(すいげん)(よご)している。


「それでも本当にダンジョンを(つかさど)地竜(じりゅう)なのかい? たかだか冒険者(ぼうけんしゃ)ひとりにやられて、情けなくはないのかい? あぁん!?」


 土竜(どりゅう)の目前へと()かび()がった刀の切っ先が、くるりと回転する。最後の意地を()(しぼ)るように四つの頭が一箇所(かしょ)に集まり、カパリと巨大(きょだい)な口を開ける。そしてありったけの魔力(まりょく)()(しぼ)り、これまでで最大の火球を()()した。


最期(さいご)(たよ)ったのが、たかが(ほのお)とは。無様なり、地を(つかさど)魔物(まもの)の成れ果てよ」


 火球を上下に分断する。

 真横を通過していった爆炎(ばくえん)が、後方で(はじ)け飛んだ。



「何か言い残すことはあるかい? って、……テメェにそんなこと聞くのも野暮(やぼ)か」


いつもお読みいただき、ありがとうございます。

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