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元チート級暗殺者のもこもこ村開拓記 ~すでに2度死んでる最強の殺し屋ですが、新たな人生はもふもふケモナーさんに囲まれた優雅で静かなスローライフを送りたい!  作者: THE TAKE
第5章 みんな大好きキノコ作り!

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第216話 モコモコ村の村長さん


 今になって思うことがある。

 あの時、あの場所で。

 本当に(おれ)はあんなことをする必要があったのだろうか、と ――




「で、お前ら……」


「ハーイハーイ、なんでしょうかハクたま~♪ こうして(ぼく)ら、めでたくも村に住まわせてもらえることになり、本当に万々歳(ばんばんざい)でーす!」


「いや、だからそうじゃなくてだな……」


 ホクホクしたほっぺをモチモチと(さわ)りながら、とっても(うれ)しそうなモックさん。

 ウチのモコモコさんともすぐに意気投合し、モコモコの毛並(けな)みを(たが)いに()()ってはいるものの、今はほっこりしている場合じゃない。聞くべきことを聞かねばならぬのだからな!


「キミらね、そんだけ速く泳げたなら、ダンジョンで(おれ)が助けなくても()げられたんじゃないの?」


「そ、それは無理でしゅよー! あんなデッカいデッカいのに追いかけられたら、手も足も尻尾(しっぽ)(ふる)えて泳ぐどころじゃないっす!」


「……あれだけ泳げるのに?」


「ハイっす!」


 ビシッと敬礼(けいれい)して堂々と答えるモコモコ。

 なんだか質問しているのがバカバカしくなってきたぞ。


 (となり)ではご機嫌(きげん)(なな)めで不貞腐(ふてくさ)れているシルシルが会話に聞き耳を立てているが、モックさんは相変わらずのマイペースで気にする素振(そぶ)りすらない。


「まったく……。シルシルが勝手に変な約束しちゃうから、コイツらの面倒(めんどう)みることになっちゃったんだぞ。お前が責任持って面倒(めんどう)見てやるんだぞ」


 苦い顔で丸くなったシルシル。

 ゴールまであと10メートルあれば着順が()わっていたほどの僅差(きんさ)辛勝(しんしょう)したものの、雑魚(ざこ)()めていたモコモコたちに(すんで)のところまで(せま)られたのが相当(くや)しかったのだろう。(もど)ってからずっとこの調子で、(めずら)しく(へこ)んでいるらしい。(ほこ)(たか)きウルフ族らしくないメソメソぶりだ。


「ただ約束は約束だ。仕方ないから村に住むことは許そう。しかしこれだけは言っておくぞ。ここにはウルフ族だけでなく様々な種族の者たちがいる。喧嘩(けんか)せずに仲良くやるんだぞ、わかったな?」


「ヒャッハー!」と気の()けた敬礼(けいれい)が。

 本当に大丈夫(だいじょうぶ)かコイツら……。


「何やら(さわ)がしいですな」


 などとガヤガヤ(やかま)しい(かれ)らに気付き、(ねこ)族の族長がコツコツと(まど)をノックした。どうやら村の者たちも集まってきたらしく、アリクイ族にウォンバット族やボアたち、トゲトゲさんまでもが中の様子を(うかが)っていた。


「う、うわぁ、モコモコがいっぱいだ! ハクたま、なんだか(すご)いですね!?」


 そりゃこっちの台詞(せりふ)だ!

 でも確かにこれだけの住人が集まると壮観(そうかん)だ。

 どこを見てみても、多種多様なモコモコばかり。

 ……しかしウチはいつからモコモコ村になったんだ?


「おやおや、なんだか(すご)いことになっていますね、村長さん?」


 さらにヒツジ族のクラッカーまでもが様子を見にやってきた。

 おれはこのまま毛玉に()(つぶ)されて死ぬのだろうか。……それはそれでアリかもしれない。


「ふぁ? あれ、あれれ!? も、もしかして貴方様(アナタサマ)は、クリムゾン・グローリーの副代表、エドワード・クラッカー様ではございましぇんか!!?」


 モックさんが(しり)もちついてひっくり返った。

 そしてそのまま転がって(かべ)で頭を打ったぞ。……コミカルだ。


「そう言う貴方(あなた)はビーバー族の若頭(わかがしら)殿(どの)か。以前王妃(おうひ)様の件でお世話になりましたね。お久しぶりです」


 モチモチ握手(あくしゅ)をする二人(ふたり)

 どんな関係かは(ぞん)じませんが、どうやら面識があるらしい。


 しかし……、モックさんが若頭(わかがしら)

 ヤ○ザ組織の上役ですか? この見た目で?

 いやいや、モコモコすぎるだろ!


「ま、ましゃかこのようなところでクラッカー様にお会いできるとは思いもせず、お久しぶりでございましゅ!」


「ハハハ、我々(われわれ)も色々ございましてね。村長さんとは切っても切れぬ(えん)なのですよ」と(そで)(なが)めるクラッカー。するとそこにはポンチョと手を(つな)いで遊んでいるガロウが。


「え、エドワード・ガロウしゃま~!!? ま、ましゃか、ガロウしゃま()本人が、どうしてこのようなところに~!!!?」


 再びひっくり返ったモックさん。

 いちいち可愛(かわい)くて腹立(はらた)つな……。


「はいはい、もう充分(じゅうぶん)ですので話はそこまで。ではせっかくですので(みな)さんに紹介(しょうかい)しちゃいましょうか。こちら、本日から村に住むことになってしまったビーバー族の(みな)さんと、代表のモックさんです。色々大変なこともあると思いますが、みんな仲良くしてやってね」


 パチパチと温かい拍手(はくしゅ)が。

 この村の人たちって、本当に心が広いですよね。

 しかし……


「ちょーっと待ったー!!」


 だれかがドカンと(とびら)を開けて入ってきた。現れたのはミナミコアリクイ族のマルさんで、モックさんの前に立ちはだかるなり、全身を大きく広げながら、「む~」と威嚇(いかく)し始めた。


「待ってほしいんだな! 村長さん、コイツらのことは信じちゃいけないんだな!」


 (めずら)しく温厚(おんこう)なマルさんが(いか)りを(あら)わにしているぞ。

 ……可愛(かわい)いけども。


「ど、どうしたのマルさん。何かあったの?」


「どうしたじゃないんだな! コイツら、おいらたちが(こま)ってるのを見て笑って見捨(みす)てた薄情(はくじょう)(やつ)らなんだな。絶対に許さないんだからな!」


 アリクイ族の登場に顔色が悪くなったモックさん。

 わなわな身体を(ふる)わせるマルさんは、その短い(うで)をビシッと()ばし、()()けるように言った。


「おいらたちがご飯を分けてって相談したあの日のこと、もう(わす)れたとは言わせないぞ! ガオー!」


「しょ、しょれは……。で、でも(ぼく)らだって、あの時はキミたちに分けてあげられるほどの余裕(よゆう)もなかったし……」


「だからって、あんなバカにする必要なかったよね!? おいらたちをバカにする、あの王妃(おうひ)様の顔を思い出すだけで、おいらたちがどれだけイライラしたか。全然わかってないくせにー!」


 今にも取っ組み合いを始めそうな二人(ふたり)を止めた(おれ)は、(かれ)らが(おこ)っている理由を聞いてみた。どうやら村へやってくる前に食糧難(しょくりょうなん)で他国を彷徨(さまよ)っていた際、救援(きゅうえん)をお願いしたビーバー族の王妃(おうひ)にバカにされ、一蹴(いっしゅう)されたことを根に持っているらしい。しかし()が村もマルさんには勝手に(あり)を食べられた立場のため、王妃(おうひ)(かれ)らを嘲笑(ちょうしょう)した理由がわからなくもない。ですが……


「まぁそれくらいにしとこうか。あの時はどこの国も大変だったみたいだし、許してあげなよ」


「うむむぅ、村長さんがそこまで言うなら、この場は(ほこ)(おさ)めてやるんだな。でも調子にのるんじゃないぞ、いつでもやってやるんだからな、ガオー!」


 シュッシュとシャドーボクシングを表現するマルさん。

 ただ一点、(わす)れてるかもしれませんが、アリクイ族のみんなはとってもお弱いので、喧嘩(けんか)したらきっと負けちゃうと思いますよ。


 しかしことのほかシュンとしている様子のモックさん。

 どうやら(かれ)らにも色々と思うところがあったのだろう。

 ま、それもきっと時間が解決してくれるに(ちが)いないよね(と(おも)()むことにしよう)!


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