表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元チート級暗殺者のもこもこ村開拓記 ~すでに2度死んでる最強の殺し屋ですが、新たな人生はもふもふケモナーさんに囲まれた優雅で静かなスローライフを送りたい!  作者: THE TAKE
第5章 みんな大好きキノコ作り!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

214/296

第214話 無理筋すぎる条件


 サワーから得た、()()情報。

 アナグマ族の可能性があるという「はぐれ冒険者(ぼうけんしゃ)」が、ダンジョンに入るための高ランクパーティーを(さが)していた、という件について。(おれ)たちが目指す先は、この一点のみだ。


「では早速(さっそく)砂漠(さばく)地帯の町を(めぐ)って情報収集(しゅうしゅう)をしてみましょう。トアの頭の上で(ねむ)そうにしているポンチョくん。準備はよろしいでしょうか?」


 ()ぼけ(まなこ)で「おー」と返事するポンチョ。

 しかしその直後、ポンチョの約100倍の声量で「おー!!」と(こた)える者が突如(とつじょ)として現れた。


 急な号令に城門前(じょうもんまえ)騒然(そうぜん)とし始める。

 何事だと確認(かくにん)に現れた(しろ)の関係者が警戒(けいかい)を始める中、(おれ)たちの前に現れた『モコモコ野郎(やろう)』たちは、美しい扇形(おうぎがた)で整列するなり、(ひざまず)きながら高らかと宣言(せんげん)した。


(われ)らビーバー族、主であるハク様の命に(したが)い、全身全霊(ぜんしんぜんれい)をもって協力させていただきます!!』


 ざわつく人々。

 唖然(あぜん)としている(おれ)とマーロンさん。


 と、くれば次に何が起こるか。(さわ)ぎを聞きつけた衛兵が城内(じょうない)からわんさか現れ、平身低頭なモコモコさんたちをしょっぴき始めました。(おれ)(かれ)らのやり取りを無言で見つめながら、マーロンさんに「そろそろ行きましょうか」と提案する。


「ちょ、ちょっとお待ちくだされ、ハクたま~! (ぼく)ら急ぎ本国へと(もど)り、(あわ)てて用を()ませ、またこうしてハクたまのお役に立つべくやってきたので~す! グヘッ!?」


 衛兵に()さえつけられたビーバー、もとい『モコモコたち』が何かを(さけ)んでいる。その姿(すがた)に見覚えはあるものの、今は他人のふりをしておこう……。


「ね、ねぇトア、あのままだとモックさんたち、みんな(つか)まっちゃうよ?」


「……う、う~ん。やっぱり助けなきゃダメ?」


「ダメじゃないけど……、寝覚(ねざ)めは悪くなっちゃうかも?」


 ハァとため息を一つ。

 彼女(かのじょ)(うなが)され、仕方なく助けに入った(おれ)は、大捕物(おおとりもの)になっているビーバー族を助け出したのだった――




「今後はこのような面倒(めんどう)事を起こしてくれますな。たとえ村長殿(どの)といえども、今後はそれなりの対応をさせていただきます」


 思いっきり(くぎ)()されたのちに解放された(おれ)たちは、人目を()けるように一度町を出てから話をすることにした。マイルネの町全体を囲っている(かべ)の外へ出るなり(おれ)たちを取り囲んだビーバー族は、なぜか号泣(ごうきゅう)しながら輪になってフォークダンスを(おど)(はじ)めた。ナニコレ、どういう状況(じょうきょう)……?


「ちょっとモックさん。悪目立ちするんでやめてください!」


(われ)ら部族に伝わる感謝の(まい)なのです! さぁ、ハクたまもご一緒(いっしょ)に!」


 (おれ)たちを取り囲んで、マイムマイムを(おど)る園児のように開いて()じてを()(かえ)す。ですがさすがに付き合いきれないので、強制的に輪を()()って帰ることにしましょう。オープンザマイムマイムー!


「は、ハクたま、しょんな~(泣)」


「感謝いただくのは勝手ですが、これ以上は迷惑(めいわく)ですからやめてください。では我々(われわれ)は帰りますので!」


 シュビっと敬礼(けいれい)して挨拶(あいさつ)する。

 しかしモコモコ集団はそのたび(おれ)たちの前へと(まわ)()み、そそくさと(ひざまず)いて邪魔(じゃま)をする。もういい加減にしてくれ……。


「モックさん、こう見えて(おれ)たちも色々と(いそが)しいんですよ」


(ぼく)たち! あ、いいえ、(われ)ら! ダンジョンでの御恩(ごおん)を果たすため、こうして()(もど)った所存(しょぞん)なのです! 是非(ぜひ)ともこの命、ハクたまのためにお使いしたく参上仕(つかまつ)りました!」


 いやね……、ですからそれが迷惑(めいわく)なんですよ。

 しかも前に助けた時よりも数が増えてませんか?

 ひぃふぅみぃ……、30人くらいいますけど。


「でしたら不要ですので、このままお引き取りください。特に恩を返していただく必要もございません」


「そ、そう(おっしゃ)らず! (われ)らハクたまに見捨(みす)てられたら、路頭に迷うことになってしまいます!!」


 いや、意味わからんし……。

 ついさっき国に返ってきたと言ってたじゃないか。

 コイツら酒でも()()けてるのか?


 これは面倒(めんどう)だ。どうしたものだろうか。


「ね、ねぇ、ハク?」


「ダメですよマーロンさん。こういう(こま)った人たちは、一度(あま)やかしたら調子にのるんです。ちゃ~んとキツく言ってやらないとダメなんです!」


 そうだ!

 面倒(めんどう)くさい人にこそ、ちゃんと態度で示してあげないとダメなのです。

 (おれ)はピーと指笛を鳴らして、町の外で待機していたシルシルを()()した。


「待ちわびておりましたぞ、村長殿(どの)


 身体を(ふる)わせて疾風(しっぷう)のように現れたシルシルが、モックさんたちを蹴散(けち)らすように()って入った。そのあまりの迫力(はくりょく)(ちぢ)みあがった(かれ)らは、(しり)もちついたまま「ひぃぃ」と(ふる)えている。モコモコたちがモゾモゾ。……確かに愛らしくはあるけども。


「村長殿(どの)……? この者たちは」


「前にダンジョンで助けたビーバー族なんだけど、どうしても恩返しさせてくれって聞かないくて(こま)ってるんだよ」


 ふむとしばし考えたシルシルは、(おれ)とマーロンさんをよそに「でしたら」と(うなず)き、(おび)えるモックさんたちを一喝(いっかつ)し言った。


(われ)が主であられる村長殿(どの)に対し、忠誠(ちゅうせい)()くすと願い出た件。しかと受け取った。ならば貴様(きさま)らの覚悟(かくご)、この(われ)見届(みとど)けてやろうぞ!」


 モックさんらビーバー族に(なら)べと命じたシルシルは、ゴキュンと息を飲む(かれ)らの(のど)を見つめながら、(きば)(あら)わにし「一つ条件をくれてやる」と(つぶや)いた。


「じょ、条件とは、な、なんでしゅか!?」


「フン、(われ)が求める条件は簡単(かんたん)だ。この町から(われ)らが村までの距離(きょり)を、(われ)らから(おく)れを取らず辿(たど)()くことができれば、貴様(きさま)らを(われ)らが村の(たみ)として(みと)めてやろう」


 は……?

 ええと。ちょいとシルシルさんや、何を勝手なことを(おっしゃ)っておいでで?


 呆然(ぼうぜん)としている(おれ)とマーロンさんをよそに、勝手に話を進めたシルシルは、此奴(こやつ)らの覚悟(かくご)を見定めると条件を出し、ビーバー族に実施(じっし)有無(うむ)(せま)った。


「どうだ、挑戦(ちょうせん)せぬのか。ならば(われ)らと貴様(きさま)らはこの場までのこと」


 (あお)っていらっしゃる。

 確かに迷惑(めいわく)だと言った手前、半ば強引(ごういん)(あきら)めさせようとしているシルシルの提案はわかる。だけどこの人たち、そんな無茶な提案すら、ほっといたら考えなしに飲んじゃう気がするんですけど……。


「ほ、本当に村までついてけば、(ぼく)らを村人にしていただけるんですね!」


無論(むろん)だ。男に二言はない」


 ほ~らね……。

 だけど(かれ)らがシルシルを追って村まで辿(たど)()くなんて最初から無理に決まってる。(おれ)の足ですら森のプロである(かれ)らについていくのは(むずか)しいんだ。言い方は悪いが、こんな(おそ)そうなモコモコさんたちでは、百回挑戦(ちょうせん)したとしても不可能に決まっている。


「あ、あのね、シルシルさんや。それはさすがに無理(すじ)すぎる条件なのでは……?」


「村長殿(どの)には(だま)っておいていただこう。これは(われ)ら村の(たみ)と、小奴(こやっこ)ら新参者とのこと。(われ)らいち村人にすら(みと)められぬ者なぞ、わざわざ村長殿(どの)のお手を(わずら)わせるようなものではないということ」


 シルシルの提案に「やります!」と手を挙げたモックさん。

 ニヤリと笑ったシルシルは、(おれ)とマーロンさんを背中(せなか)に乗せ、(かれ)らに必要な情報を提示するのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ