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元チート級暗殺者のもこもこ村開拓記 ~すでに2度死んでる最強の殺し屋ですが、新たな人生はもふもふケモナーさんに囲まれた優雅で静かなスローライフを送りたい!  作者: THE TAKE
第5章 みんな大好きキノコ作り!

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第213話 すべきことは一つ


「高ランク……?」と(つぶや)いた(おれ)に代わって、マーロンさんが補足(ほそく)するように言った。


「しかしキュリオス国内には、それに該当(がいとう)する高ランクダンジョンはないはずです。隣国(りんこく)でそれに該当(がいとう)する場所があるとすれば、数カ所かと?」


 サワーは一本指を立て、付け加えるかのように言った。


「そう。キュリオスを(ふく)近隣(きんりん)諸国(しょこく)で、いわゆる高ランクダンジョンに該当(がいとう)するものは、たったの三つ。一つは公国西側のマイルネ(わん)()えた先、その海底に存在(そんざい)する『旧深海都市ネレイド』。お次は南国ルスカの千年樹(せんねんじゅ)の内部に広がっている『源初(げんしょ)回廊(かいろう)』。そして三つ目が、()が公国内砂漠(さばく)地帯に広がる『ガーンビア地下迷宮(めいきゅう)』だ」


 そうなんですねと(うなず)く。

 さらにサワーは続けた。


「しかし北方の国でパーティー(さが)しをしていたところを見ると、南国のルスカを目指していたと考えるのは(むずか)しい。ならば二つに(しぼ)られるが、深海都市のネレイドは侵入(しんにゅう)経路が困難(こんなん)で、単騎(たんき)で目標とするダンジョンとしては、あまりにも条件が(きび)しい」


「ということは……?」


「必然的に残っている『ガーンビア地下迷宮(めいきゅう)』を目指していたと考えるのが妥当(だとう)だろう。しかも迷宮(めいきゅう)内で高ランクが必須(ひっす)とされるのは、地下三(そう)よりも下の階層(かいそう)のみ。と、考えればどうだろうか」


「地下の階層(かいそう)に入ることができるパーティーを(さが)していた、ということですか?」


 御名答(ごめいとう)(うなず)くサワー。しかしテーブルの話では、ここのところは二(そう)より下に(もぐ)冒険者(ぼうけんしゃ)はほとんどいないと言っていた。今回(おれ)たちは意図せず最下層(さいかそう)に入ってしまったわけだが、そもそも正規の手段(しゅだん)挑戦(ちょうせん)していた冒険者(ぼうけんしゃ)はいなかったはず。となると……


「そう。だとすると、その人物はまだこの近辺で下層(かそう)に入れるパーティーを(さが)(つづ)けている可能性があるということ。どうだい、耳寄りな情報だろう?」


 確かにこれは有力な情報かもしれない。

 闇雲(やみくも)(さが)(まわ)ったところで可能性は限定的だが、「地下迷宮(めいきゅう)に入ろうとしている高ランクパーティーを(さが)している冒険者(ぼうけんしゃ)」に(しぼ)ることで、(ある)いは見つけられる確率がグッと上がる。


「ありがとうございます。ダンジョン近隣(きんりん)にある町で()()みをしてみようと思います」


 さらに公国内の商業ギルドとも内々でイモの流入経路を準備できそうだと約束してくれたサワーと握手(あくしゅ)し、ひとまず(おれ)たちは村に(かか)わる重要案件の話を終えることができた。しかしまだここで話は終わらない。


 当然、この男の件が残っている。


「それで……。貴殿(きでん)はキュリオス王国から(つか)わされた特使の……、確かネイサン殿(どの)でしたか」


 わざわざ話題を()ってくれたサワーに深々と頭を下げたネイサンは、改めて自分のことをキュリオス王国からの使者であると自己(じこ)紹介(しょうかい)した。そして先だって起こった災害における尽力(じんりょく)について、キュリオス王からの御礼(おれい)の言葉と、王から(たまわ)った書状と献上(けんじょう)品を手渡(てわた)した。


「これはかたじけない。本来であれば公爵(こうしゃく)であるランヴィルから直接礼を述べるところだが、此度(こたび)はこちらの意図を()んでいただき感謝いたす」


 今度は代わってサワーが礼の言葉を述べるも、それを受けるべきネイサンの表情は(かた)いままだ。どうやらまだ何か理由がありそうだと(うなず)いたサワーに(うなが)され、ネイサンに代わって(おれ)がこれまでの成り行きを()(つま)んで説明した。


 ネイサンが王国の裏切(うらぎ)りに合い、殺されかけたこと。そもそも計画を首謀(しゅぼう)した第三王妃(おうひ)側が謝礼を差し出すつもりがなかったこと。ネイサンの死を理由にキュリオス側(王妃(おうひ))が公国に何かを仕掛(しか)けようとしていたこと。そしてキュリオス側の刺客(しかく)(すで)()らえて拘束(こうそく)していることを告げると、サワーは(おれ)たちから視線(しせん)を外し、遠く一点を見つめながらしばし熟考(じゅっこう)しているようだった。


「公国内でキュリオスより送られた使者を殺害された事実をでっち上げ、御礼(おれい)の品ごと族に(うば)われたことにし(われ)らに手打ちを求めるつもりだったか、それとも公国の非を断罪し何らかの謝罪を求めてくるつもりだったのか……。どうやら第三王妃(おうひ)殿(どの)策略(さくりゃく)との話だが、まだキュリオス王のご意向がどのようなものであったのかもわからぬ。……が、どちらにしろ礼に欠ける行為(こうい)であることは変わらぬか。なるほど、偶然(ぐうぜん)とはいえ、また(われ)らは村長殿(どの)に救われた形となるようだ」


 そこは偶然(ぐうぜん)なのでお気になさらずとはしてみたが、サワーからすると(むずか)しいところだろう。

 本来、現在目の前にある献上(けんじょう)品は、キュリオス王国(王妃(おうひ))が公国へ差し出すつもりのなかったものだ。公国としては、文字どおりこれを受け取り穏便(おんびん)に王国との連携(れんけい)模索(もさく)するべきなのか、それとも何らかの手を打つべきなのか。


 さらにはネイサンの処遇(しょぐう)についても一考の余地がある。王国の一部の者たちは、ネイサンを殺すつもりでいた。しかしこのまま公国が(かれ)を返さなければ、(すで)に公国側がネイサンの身に起こった事態を(つか)んでいると(かん)ぐられてしまう。ネイサンが、ネイサン自身の力で(ぞく)を退けたと判断されない限りは、公国がキュリオス側の謀略(ぼうりゃく)を知る手立てが存在(そんざい)しないからだ。


「しかしそうなると、貴殿(きでん)をこのままキュリオスへ帰すことになる。そうなると貴殿(きでん)はどうなるだろうか?」


 サワーの質問に対し、ネイサンに代わって「殺されるでしょうね」と返答する。「そんな、簡単(かんたん)に言わないでください!」とビクビクしているネイサンは、これから自分の身に()りかかるであろう火の粉の行先(いきさき)苦難(くなん)項垂(うなだ)れた。


「こちらとしても、戦争だけは絶対に()けねばならぬ。そうでなくても、今は災害や隣国(りんこく)との関係でそれどころではない。現に今も、いつ()むともしれぬ雨が続いている。それら対応だけでギルドも手一杯(ていっぱい)なのだ」


 (おそ)らくはそんな状況(じょうきょう)すら()まえての計画なのだろうと納得(なっとく)したサワーは、一考させてくれと断った。しかしネイサンの立場からすれば、『公国にも見捨(みす)てられ、本国へ(もど)される』可能性が高まることとなり、気が気じゃないはずだ。


「わ、(わたくし)めは、どうなるのでしょうか……」


「村長殿(どの)の話によれば、本来(ぞく)貴国(きこく)(もど)るまでには、まだ数日を要するだろうということだったか。ならばそうだな……、明日(あす)までには結論(けつろん)を出そう。もうしばし待ってはいただけぬだろうか」


 このまま戦争へと発展(はってん)してしまう可能性もある。

 何よりこの状況(じょうきょう)を、サワーだけで判断することはできない。

 主であるランヴィル公爵(こうしゃく)の意を(あお)ぐことなく事態を進めることなどあってはならないからだ。


「村長殿(どの)やマーロン殿(どの)(いそが)しい身だろう。それまで(かれ)身柄(みがら)はこちらで預からせていただくよ。なに、心配はいらない。(われ)らに利をもたらしてくれた恩人のことを(ないがし)ろにはせんよ」


 うるうると(なみだ)()かべたネイサンが、サワーの手を取り深々と頭を下げた。(おれ)としてはネイサンがどうなろうと知ったことではない(笑)が、村が戦争に()()まれる事態だけは絶対に()けなければならない。何よりせっかくキノコ栽培(さいばい)の可能性が見えてきたというのに、戦闘(せんとう)などまっぴらゴメンだ。それだけは許しちゃいけない。


「サワーさん、(われ)ら村の(たみ)も可能な限り協力はいたします。ですからどうか、よろしくお願いします」


「任されるよ」と(うなず)いたサワーと握手(あくしゅ)()わし、(おれ)とマーロンさんはネイサンを残して(しろ)を後にした。ランヴィル公爵(こうしゃく)とサワーがどのような選択(せんたく)をするかはわからないが、公爵(こうしゃく)は〝知略深き不敗の賢君(けんくん)〟と(しょう)される名君だ。滅多(めった)な行動や、軽はずみな動きをするとは考えられない。


「だとしたら、(おれ)たちがやるべきことは特にないかな。あとは公爵(こうしゃく)様とサワーさんに任せておけば大丈夫(だいじょうぶ)だろう」


 などと、手前勝手に(つぶや)いてみる。

 どうやらマーロンさんも同意見で、ひとまずサワーさんたちの結論(けつろん)を待ちましょうと(うなず)きあった。



「……とくれば。これから(おれ)たちがすべきことは一つだね」


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