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元チート級暗殺者のもこもこ村開拓記 ~すでに2度死んでる最強の殺し屋ですが、新たな人生はもふもふケモナーさんに囲まれた優雅で静かなスローライフを送りたい!  作者: THE TAKE
第5章 みんな大好きキノコ作り!

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第212話 とある噂


 ハッとしたネイサンが、「こうはしてられない!」と店を飛び出していく。

 ふぅと息をついた(おれ)は、ポンチョと二人(ふたり)、久しぶり水入らずの食事にありつくことができた。


「トーア、美味(おい)しいねぇ♪」


 (となり)でモチュモチュと音をさせ肉を食べていたポンチョが、(うれ)しそうにほっぺたを(にぎ)った。(おれ)は残っていた肉をポンチョの皿に分けてやり、「ヤッター!」とご機嫌(きげん)なモコモコさんの頭を()でてやる。


「ま、人それぞれ色々あるやな。しっかし、キミはいつもお気楽さんですねぇ、ポンチョさん?」


 不思議そうに(おれ)を見つめたポンチョが、「ポンチョ、お気楽ー!」と返事をする。よく意味はわかってないんだろうが、ポンチョに関してはそれで良いんだと思う。


「今回の件で、少なくとも公国とキュリオス王国が()める原因は回避(かいひ)できたんだろうけど……、少しばかり気にはなるか。だがそれは(おれ)が考えることじゃない。(おれ)はたかだか小さな村の村長だしな」



 そうしてバタバタと夜は()けていき、備品(さが)しの依頼(いらい)は無事完結した。

 いつもの宿を取り、いつしかぶりの休息をとった(おれ)とポンチョは、いつもよりゆっくりと朝のひとときを過ごしていた。しかし――



「ちょっと、ハク様、ハク様!」


 (だれ)かが部屋(へや)(とびら)(はげ)しく(たた)いている……

 余っていたカリカリ肉のベーコンを(つま)んでいた(おれ)とポンチョは、朝っぱらから(やかま)しい(だれ)かの顔を想像し、心底(いや)そうに(ひたい)にシワを寄せる。


「ポンチョ、うるさいのきらーい」


「だよな。おいバカ、朝っぱらからドアをバンバン(たた)くな」


 嫌々(いやいや)(とびら)の外を(のぞ)くと、足踏(あしぶ)みしながら(あわ)てたネイサンが立っていた。

 (せわ)しなく両手両足を動かすネイサンは、「ハク様、このネイサンめにお話がございます!」と(さけ)ぶ。コイツ、マジでうるさいな……。


「まずはご報告がございます。昨晩(さくばん)のうちに、()が商会の者たちへ急ぎ国を()つよう指示を出しました! どうやら全員無事だったようで、どうにか秘密(ひみつ)()に国を脱出(だっしゅつ)できそうだと!!」


「へいへい、そら良かったね。以上か? 以上だな。じゃお(つか)れ」


 すぐ(とびら)()めようとするも、強引(ごういん)に足を()()まれ(はば)まれた。

 ネイサンは(とびら)隙間(すきま)から顔を()()むなり、「まだ続きがございます!」と敬礼(けいれい)しながら言った。


先程(さきほど)冒険者(ぼうけんしゃ)ギルドから連絡(れんらく)をいただき、改めてサワー様と会談する日取りが決定いたしました。つきましては、ハク様にご同席いただきたく!」


「へぇ……。で、いつなの?」


「本日の朝でありますので、20分後にございます!」


 ガクッと(たお)()む。

 んなアホな、だったらもっと早く言え!


「だとしたら報告が(おせ)ぇわ! おいポンチョ、さっさと食って(しろ)へ向かうぞ。い・そ・げ!!」


 大慌(おおあわ)てで準備を整えた(おれ)たちは、ネイサンに手を引かれるまま()(あし)(しろ)へと向かった。城門(じょうもん)の前では(すで)にマーロンさんが待ち構えており、どうやら事前にローリエさんから詳細(しょうさい)を聞いていたらしく、すぐに「行きましょう」と手を取った。


「すみません、こんな急なことになってしまって」


(わたし)大丈夫(だいじょうぶ)。いいから急いでいきましょう」


 ネイサンとの微妙(びみょう)距離感(きょりかん)に変化はないものの、急ぎ()けつけた(おれ)たちは、(とびら)の前で衣服を正し、コツコツと(とびら)(たた)いた。するとこれまでとは反対に、「どうぞ」とサワーの声が聞こえてきた。


「失礼します」


 (とびら)を開くと中では複数の衛兵とサワーが打ち合わせの真っ最中で、(おれ)たちを一瞥(いちべつ)すると、サワー以外の全員が席を外し、部屋(へや)を出ていった。招かれるまま対面に腰掛(こしか)けた(おれ)たちは、小難(こむずか)しい表情を()かべている(かれ)に話を()った。


「本日はお(いそが)しい中をお招きいただき、ありがとう(ぞん)じます。こちらとしましては、伝言をいただけるだけでよろしかったのですが」


「そうはいかぬだろう。対外的に見れば、村長殿(どの)はいわば公国内の一自治区の(おさ)。いい加減な対応は、(ほか)(たみ)たちにも同じ印象を(あた)えてしまいかねんのでね」


 そんなものですかと(うなず)いてしまう。

 規模(きぼ)は小さいものの、(おれ)も村の(おさ)として、もっとしっかりしないとダメなのかもしれない……。


「悪いが時間が限られていてね、早速(さっそく)本題に入ろう。ええと、確かアナグマ族のことだったね」


 するとサワーは一枚(いちまい)の紙を提示し、その一箇所(かしょ)を示してみせた。


「残念ながら、隣国(りんこく)の関係者にもアナグマ族に分類される者たちを見つけることはできなかった。マーロン殿(どの)の手前言いづらくはあるのだが、公国とは(こと)なり、隣国(りんこく)では獣人(じゅうじん)(みな)のことを(たみ)として(みと)めておらぬところもある。そのため正直なところ、この結果が絶対とは言い切れぬ部分も残っている。重ねて(もう)(わけ)ない」


「い、いえ、お調べいただいただけで、こちらとしては充分(じゅうぶん)かと」


「ただ一点。確実とまではいえないものの、耳寄りな情報が」


 サワーは紙の(はし)部分をコツコツと(つめ)(はじ)き、未確定と記された文字を指先でなぞった。


「実はここのところ、隣国(りんこく)に『名うての冒険者(ぼうけんしゃ)』がきていると(うわさ)がありましてな。その人物、どうやら獣人(じゅうじん)族らしいのですが、身分を(かく)し、単騎(たんき)で行動をしているとかで」


冒険者(ぼうけんしゃ)ですか? でもギルドではそのような人物について聞かされておりませんが……」


「それがどうやら、ギルドを通さずに仕事を()()っている『(やみ)冒険者(ぼうけんしゃ)』に属する者のようで。ギルドから正式な依頼(いらい)を受けているパーティーと個人で直接(けい)約を結び、()()みの仕事をしているらしく、なかなか表には姿(すがた)を現さぬと」


「いや、だけど……。そんな(あや)しい人物を、わざわざ(やと)うものなんでしょうか?」


「実力の(ほど)が知れておれば(ある)いは、といったところでしょうか。過去、罪人として手配された者などであれば、(まれ)に聞く話かと」


 罪人ですかと(むずか)しい顔になってしまう(おれ)たち。

 キノコについての話を、過去に(なん)ある人物と接触(せっしょく)してまで得るべき情報なのかと問われれば、(はげ)しく葛藤(かっとう)することを禁じ得ない。


「とすると、その獣人(じゅうじん)族の冒険者(ぼうけんしゃ)が近くにいる、ということなのでしょうか?」


 するとサワーは両手を顔の前で合わせ、鼻と口を(おお)うようにしながら、とても小さな声で言った。


「最近その人物を隣国(りんこく)のキュリオスで見たという者がおりましてな。なんでも高ランクダンジョンに(もぐ)りたいらしく、帯同できるパーティーを(さが)していたと」


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