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元チート級暗殺者のもこもこ村開拓記 ~すでに2度死んでる最強の殺し屋ですが、新たな人生はもふもふケモナーさんに囲まれた優雅で静かなスローライフを送りたい!  作者: THE TAKE
第5章 みんな大好きキノコ作り!

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第211話 安い煽り


「なるほど。それで理由は?」


「そ、それだけは……。グアッ!?」


 シルシルが男の足の(こう)爪先(つまさき)(にぎ)(つぶ)した。

 さらに(おれ)が顔を寄せ、ニッコリと微笑(ほほえ)んでやる。

 さぁ、続きをどうぞ。


「そ、その男を、と、特使として送り出し、運悪く魔物(まもの)(おそ)われて死んだことにせよと。さ、さらには、ネイサンには王より(たま)った品を(ぬす)んで()げた大罪人として罪を(かぶ)せ、商会ごと(にぎ)(つぶ)せ、と」


「なるほどね。ついでにネイサンに持たせた公国へ献上(けんじょう)するつもりだった品も秘密(ひみつ)()回収(かいしゅう)しつつ、(すべ)てを有耶無耶(うやむや)にするつもりだったのか。悪どいねぇ、……本当に悪どい」


 男の口から真実を明かされ、ネイサンがペタンと腰砕(こしくだ)けになった。

「どうして王妃(おうひ)様が……」と絶句する(かれ)を横目で一瞥(いちべつ)しつつ、(おれ)は続けた。


「ネイサンをターゲットにした理由は?」


「し、知らねぇよ、そんなこと(おれ)が――、あ、アガァァァ!」


(うそ)はよくないな。黒ぉい魔力(まりょく)(にじ)んでるよ」


「は、話す、話すから待ってくれ! そ、そいつが、王国内で好き勝手な商売をしていやがったからだ!」


「好き勝手に商売、ねぇ……。それはどんな?」


「ど、奴隷(どれい)の女を店に立たせたり、獣人(じゅうじん)やドワーフなんぞにも仕事を依頼(いらい)していやがった。王国の(たみ)が、(くそ)以下の存在(そんざい)にだぞ!?」


「……ふむ。それのどこが問題なんだ?」


「うす(ぎたね)奴隷(どれい)獣人(じゅうじん)どもを王国内に()()んだばかりか、(やつ)らを利用し金を(かせ)いでいやがった。そんなもの、あの御方(おかた)が許すはずないだろうが!」


 男の言葉に、ネイサンは随分(ずいぶん)とショックを受けているようだ。

「そんなことを、王妃(おうひ)様がそんな……」と(なげ)いているところを見るに、どうやら(かれ)王妃(おうひ)(あざむ)かれていたようだ。まったく、面倒(めんどう)なことに()()まれたものだ。


「ネイサンよぉッ、王妃(おうひ)様が本気でテメェのことを()してたと思ってんのか。めでてぇ野郎(やろう)だな!?」


「そ、そんな馬鹿(ばか)なことがあるものか! 王妃(おうひ)様は、(わたし)のことを買ってくださっていた。王妃(おうひ)様が(わたし)裏切(うらぎ)ることなどあるものか!?」


 すると男は「ククッ」と嫌味(いやみ)に笑い、()()てるように言った。


「だからテメェは馬鹿(ばか)だっつーんだ。あの御方(おかた)は言ってたぜ、『テメェはお(はら)(ばこ)(すべ)てを(かぶ)せて死んでもらいましょう』ってな!」


 顔面蒼白(そうはく)(ひざ)をついたネイサン。

 間が()けた(やつ)だとは思っていたが、どうやら馬鹿(ばか)がつく正直者らしい。

 第三王妃(おうひ)にいいように使われ、()てられたということなんだろう。


「テメェの馬鹿(ばか)さ加減には心底笑えてくるぜ。最後の最後まで、魔物(まもの)だ、獣人(じゅうじん)だに(たよ)りやがって。いつか手痛(ていた)いしっぺ返しをくらうだろうぜ、ハハハハ!」


 (うつむ)いたまま(だま)ってしまったネイサンに罵声(ばせい)を浴びせる男。

 確かにコイツは馬鹿(ばか)(おろ)かな男かもしれない。

 だけど ――


 (おれ)は男のあごを(つか)み、自分の方を向かせる。

 男はハハハと()みを()かべながら、さらに(さけ)んだ。


「キサマもだ。頭に薄汚(うすぎたね)ぇイヌコロなんぞ乗せやがって! 間抜(まぬ)野郎(やろう)にはお似合いの相棒(あいぼう)だな、クソがッ!」


 ゴリゴリと石が()れるような音が周囲に(ひび)く。



「あの、お前さ――」



 男の耳元に顔を寄せる。



「いつまで勝手に(しゃべ)ってんだ。……本当に殺すぞ」



 (うっす)ら笑いが止まり、男のあごが(くだ)け、血が()()す。

 断末魔(だんまつま)のような悲鳴が(ひび)く中、(おれ)は三回大きく深呼吸(しんこきゅう)し、「こんな(あお)りで心を(みだ)してどうするよ」と頭上のモコモコの(はら)()でる。くぅくぅと寝息(ねいき)をたててはいるが、どうかこのまま起きないでくれと願いながら……。



「……ふぅ、それじゃネイサン、手伝(てつだ)ってくれるか?」



 ――――――――

 ――――――

 ――――

 ――

 ―



 (おれ)たちは(しば)()けた(ぞく)をシルシルの()に乗せ、(すべ)ての荷物を回収(かいしゅう)し、マイルネの町へと(もど)った。(つか)まえた(ぞく)は、先の事情を知っているギルドのローリエさんとテーブル、そして公国の関係者に(たく)し、ひとまずネイサンの件を片付(かたづ)けることができた。


 だがそれでもまぁ、後味は悪いもので――



「村長さん。(つか)まえた人たちと、ネイサン様のことについては、後ほどサワー様を(ふく)めてお話することになるかと思いますが……?」


「まぁそうだろうね。(おれ)もサワーさんには別件をお願いしてたし、コイツと一緒(いっしょ)に話を聞かせてもらうよ。色々ありがとうね、ローリエさん」


「い~え、村長さんには感謝してるんですから。それにしても……、随分(ずいぶん)静かになっちゃいましたね」


 しおらしくも話さなくなってしまったネイサンを見つめながら(つぶや)く。「それぞれ思うところはありますよ」と適当に相槌(あいづち)打った(おれ)は、ネイサンの首に(うで)を回し、「飯でも食いにいくべ!」と笑いかける。飯という単語に反応して目を覚ましたポンチョが、「ポンチョもメシ食べるー♪」と手を挙げた。


 馴染(なじ)みの飯屋へと移動した(おれ)たちは、(ふさ)()んで(うつむ)いているネイサンを向かいに(すわ)らせ、適当に食事を注文した。すぐに運ばれてきた料理に鼻を鳴らし、「ポンチョ、もう食べるー♪」とウキウキなモコモコさんと手を合わせた(おれ)は、「いただきます」と声を合わせて言った。


「ほれ、ネイサン。お前も食え。美味(うま)いぞ」


「メシ、美味(おい)しー!」


 口の回りにタレをいっぱいつけたポンチョを一瞥(いちべつ)し、ネイサンが(うら)(ごと)のように(つぶや)いた。


「……こんなときに、よく食事などできますね。(わたし)はね、王妃(おうひ)様に裏切(うらぎ)られ、殺されかけたのですよ!」


「知らんし、(おれ)には関係ない。だから食うし、気にしない。う~ん女将(おかみ)さん、今日(きょう)も美味いっスね!」


「ありがとうね」と返してくれた店主に手を()った(おれ)は、ネイサンの皿を取り上げ、取り分けていた(にわとり)(あし)にかぶりつく。


「お前が国でどんな立場だったか知らないが、気にするだけ無駄(むだ)だぞ。なるようにしかならん」


簡単(かんたん)に言わないでください! こうなった以上、(わたし)の情報は(おそ)かれ(はや)かれ本国へ流れてしまうでしょう。それはもう、王妃(おうひ)様のお耳に入ってしまうことと同義。嗚呼(ああ)……、(わたし)はどうすれば!?」


 暗殺を目論(もくろ)んだ(やから)は全員(つか)まえたものの、(やつ)らが(もど)らないことで、コイツが生きていることを知られるのも時間の問題だろう。さらには本来公国側へ(わた)る予定のなかった友好の品が流れたことで、王妃(おうひ)からのネイサンに対する風当たりはますます強くなるに(ちが)いない。


「ま、頑張(がんば)れ。生きてりゃどうにかなる」


「そんな無責任な!? (わたし)はこれからどうすれば……」


「ともあれ本国に残してる商会関係者にだけは、さっさと()げるよう連絡(れんらく)をしておくんだな。でないと全員殺されるかもよ?」


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