表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元チート級暗殺者のもこもこ村開拓記 ~すでに2度死んでる最強の殺し屋ですが、新たな人生はもふもふケモナーさんに囲まれた優雅で静かなスローライフを送りたい!  作者: THE TAKE
第5章 みんな大好きキノコ作り!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

201/289

第201話 ネイサン・マリオネット


 悲鳴にも似た(さけ)(ごえ)が平原の草原(くさはら)()()けていく。

 明かりの先頭を走っているのは小型の馬だろうか。(だれ)かを()に全速力で()けてくるその後ろからは、何やら様々な形の(かげ)が右往左往。


「ねぇトア、あれって魔物(まもの)よね……」


「あぁ、うん。どうしよう?」


「どうって、あのまま()げたら、その先にあるのは町だよ……。そっちの方が大問題じゃない?」


「ですね。それじゃあいきますか」


 不本意だが仕方がない。

 (おれ)とマーロンさんはそれぞれ片手(かたて)に短刀を(にぎ)り、こちらへ向かってくる大名行列の進行方向に(なら)()った。


『あああああああ! た、助け、助けてッ!』


「お前は(だま)ってこのまま()()れ。()()くな!」


『えっ、ええっ!?』


 向かってくる馬と(だれ)かだけを素通(すどお)りさせ、その背後(はいご)(せま)った無数の(かげ)見据(みす)える。(かげ)の正体は言うまでもなく多数の魔物(まもの)で、どうやら馬の主人が道中集められるだけの魔物(まもの)を引き連れて()(まわ)ってきたのだろう。ゴブリンやホーンビートル、ウェアウルフにウォージャッカルなどなど、(いや)がらせのような量の魔物(まもの)が、たった一人(ひとり)獲物(えもの)(ねら)って目の色を変えている。


「まったく……。このまま町に()()んだら、それはもう反逆者だよ」


 ため息混じりに(つぶや)いたマーロンさんが、手にしたナイフを(おど)るように(あやつ)る。すると先頭で(きば)()いたゴブリンの首がスパンッと飛んだ。「ヒュー」と(あお)って口笛を()くと、「馬鹿(ばか)にしてる?」と細い目で(にら)みつけられてしまった。ご、ごめんなさい……。


 二人(ふたり)(そろ)って、()()んでくる魔物(まもの)を手分けして正面から(たた)()せる。相手のサイズに(かか)わらず、(せま)ってくる魔物(まもの)(はば)むためだけに(けん)()るい、ここから進めば命がないことを明示的に示してやる。


「グギャ、グギギギ」


 先陣(せんじん)を切った一団を(はら)いのけると、後方に陣取(じんど)っていた高ランクの魔物(まもの)たちが自然と足を止めた。しかしどうやら(えさ)(のが)すという選択肢(せんたくし)を持ち合わせていないのか、遠距離(えんきょり)から攻撃(こうげき)仕掛(しか)けてきた。


「マーロンさん、近くの魔物(まもの)は任せていいかな?」


「わかった、ハクは遠距離(えんきょり)魔物(まもの)をお願い!」


 (おれ)はオークの(かた)を足場にして()()がると、(はな)れた位置から(ほのお)()()そうとしていた魔物(まもの)たちにロックオンし、氷の(やいば)(つらぬ)いていく。本来ならば穏便(おんびん)()ませたいものだが、統制の取れない魔物(まもの)威圧(いあつ)や言葉で(おさ)えるのは無理に等しい。第一(じん)を止めてもなお引かないのであれば、もはやそれは……


「やられても後悔(こうかい)しないってことだよな?」


 戦闘(せんとう)の意志がある者から選別して()()いてやれば、おこぼれを(ねら)うだけの烏合(うごう)(しゅう)は一目散に散って()げていく。そいつらには目もくれず、向かってくる魔物(まもの)だけを正面から()()せた。



「ふぅ、こんなもんかな」


 (ひたい)に手を当て、()げていった一部の魔物(まもの)を見送りながら(つぶや)く。すると同じように近場の魔物(まもの)()り終えたマーロンさんが、最後に残っていたゴブリンを一閃(いっせん)し、()()ってきた。


「マーロンさん、大丈夫(だいじょうぶ)? 怪我(けが)はない?」


(わたし)は全然。ハクは……って、聞くまでもないか」


 ハハハと笑いあったところで、背後(はいご)から「はわわわ」という悲鳴混じりの(ふる)えた声が聞こえてくる。本来の目的を完全に(わす)れてたと()(かえ)った(おれ)たちは、(はげ)しく息を切らして、(しり)もちをついて(たお)れていた男に手を()()べた。


大丈夫(だいじょうぶ)か?」


「は、ははは、た、助かったのか、(わたし)は」


「多分そうなんじゃない?」と、すっかり平穏(へいおん)()(もど)した平原を(あお)ぎながら答えてやる。(こし)()けて立ち上がれない様子の男は、それでも(おれ)の手をすがるように(にぎ)ると、「ありがとう、ありがとうございます!」と大声で礼を言った。


「ひとまず落ち着け。こんな時間だし、周囲にはまだまだ魔物(まもの)もいるだろうからね」


 主人を()()とし、(かたわ)らでこちらを見守っていた馬を(つか)まえた(おれ)は、どぉどぉとあやしながら「休憩(きゅうけい)しましょうか」と提案した。(うなず)いたマーロンさんは、星空の下、平らな土の地面に(たきぎ)(なら)べて火をつけた。


「結界の準備はこっちでしとくね。ほらポンチョ、キミも手伝(てつだ)いなさい」


「はーい」と返事したモコモコさんが(おれ)の頭上からポーンと()()りるのを見届(みとど)け、(おれ)は立てなくなっていた男に手を貸し、大きめの岩に(すわ)らせてやる。しばらくすると(かれ)は少しばかり落ち着いたのか、ふぅふぅ深呼吸(しんこきゅう)をしながら目を(つぶ)った。


「もう15秒だけください、その間に落ち着きますので」


「15秒と言わず、しばらく休んでな。どのみち、ここで少し休憩(きゅうけい)するつもりだからな」


 (かれ)大袈裟(おおげさ)なほど両手を開いてさらに四度深呼吸(しんこきゅう)してから、また勝手に(おれ)の手を(にぎ)って「ありがとうございました!」と礼を言った。顔を寄せて(せま)る様はどこか圧があり、(おれ)は思わず身を引いてしまった。


「わ、(わたくし)、ネイサン・マリオネットと申します。北はキュリオス王国の商人で、コーレルブリッツ公国へ向かう途中(とちゅう)魔物(まもの)の群れと遭遇(そうぐう)してしまい、にっちもさっちもいかず()(まわ)っておりました!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ