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元チート級暗殺者のもこもこ村開拓記 ~すでに2度死んでる最強の殺し屋ですが、新たな人生はもふもふケモナーさんに囲まれた優雅で静かなスローライフを送りたい!  作者: THE TAKE
第5章 みんな大好きキノコ作り!

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第200話 来訪者


 彼女(かのじょ)の提案に対し、(おれ)は無意識のうちに顔を(ゆが)めていた。

 サワーといえば、コーレルブリッツ公国の公爵(こうしゃく)補佐(ほさ)であり、かつ(ちょう)やり手なナイスガイだ。(おそ)らくはなんらかのアドバイスをもらえるのだろうが、(おれ)にとっては大きなリスクにもなる。できることなら公国関係者との直接接触(せっしょく)()けたいところだが……。


「サワーさんですか。だけどあの人、(すご)(いそが)しそうだし、前に不義理をしてますし、少し会いづらいですね」とマーロンさんが。これ(さいわ)いと(おれ)も便乗して、そうなんですと同意する。


「農作物の件? それならあまり気にしなくていいかも。あれからサワ―さんとアスキート商会の間で色々あったみたいだし」


「え゛? な、なんすかその話。聞いてないんですけど……?」


「そりゃそうでしょ。期待していた『おイモさん』が、公国直属のギルドではなく、ソレユラント王国の、それも『クリムゾン・グローリー』に関連するギルドから輸入されてきたんですもの。公国直属ギルドの信用丸潰(まるつぶ)れってものでしょ?」


「あ、ええと、それは(おれ)たちの口からはなんとも……」


「あれ以来、サワーさんとアスキート商会の関係もギクシャクしてるみたいでね。ハクさんたちも気を付けた方がいいわよ。きっと商会のロベリウスさん、前にも増して村を敵視(てきし)してるだろうから」


 また(いや)なフラグを立ててくれるなぁ。

 しかし(おれ)の不安などつゆ知らず、マーロンさんが「でしたら」と付け加えた。


「あの……、それなら冒険者(ぼうけんしゃ)ギルド側からサワ―さんに仲介(ちゅうかい)をしていただけませんか。さすがに我々(われわれ)から望み出るのは差し出がましいというか、厚かましすぎるというか」


 マ、マジですか?!

 (おれ)のことなど関係なく(うなず)いたローリエさんは「いいわよ」と簡単(かんたん)了承(りょうしょう)してしまった。おいおい、そんなこと簡単(かんたん)に決めちゃっていいのかよ!


「だったら明日(あした)にでも、もう一度ギルドへ()てちょうだい。それまでに話を通しておくから。……ところで二人(ふたり)とも、それまでにちょっと時間ある?」


 ほらみろ、すぐにこれだ。

 交換条件(こうかんじょうけん)と言わんばかりに指をクイクイ曲げて(おれ)たちを()()せた彼女(かのじょ)は、コショコショと耳打ちするように言った。


「実はね、ここのところ入り用が多すぎて、ポーション(けい)の素材のストックがないの。そこで悪いんだけど、ちょっとそこまで行って薬草なんかを採ってきてもらえないかしら。もちろんお礼はするし、例のアナグマ族? そっちの()()みが終わってからでもいいから」


 片肘(かたひじ)ついてフフ~ンと微笑(ほほえ)むローリエさん。

 これは一本取られたなと(あきら)めた(おれ)たちは、町中を一通り人探(ひとさが)ししたあとならOKですと了承(りょうしょう)した。


「やった! ここのところ長雨のせいで冒険者(ぼうけんしゃ)がいなくて(こま)ってたの。(おそ)くなっても平気だから、よろしくお願いね~」


 ポンチョとハイタッチしてヘラヘラと手を()ったローリエさんに見送られ、それからすぐに(おれ)たちはマイルネの町中でアナグマ族の捜索(そうさく)を開始させた。道行く冒険者(ぼうけんしゃ)や商人、露店(ろてん)の店員などに目撃(もくげき)情報を聞き回り、根気強く(さが)(つづ)けた。しかし日が(かげ)り、やがて人の姿(すがた)がまばらになっても、(おれ)たちが(さが)す目的の情報はまったくといっていいほど得られなかった。


「まる一日(さが)して情報が一つもないなんて。やっぱり(めずら)しい種族なんですね……」


「う~ん、確かにそうかもね。思えば(わたし)も数回しか見たことないかもだし」


「にしても(つか)れました。ご飯でも食べに行きます?」


「ご飯!? ポンチョお(なか)減ったー!」


「何言ってるのよ。(わたし)たちには、まだギルドのクエストというお仕事が残ってるでしょ? いくら雑用だとしても、一度受けた仕事はきっちりしなきゃダメなんだからね」


 (おれ)とポンチョがブーブーとブーイングするも、マーロンさんはさっさと()()えて準備に余念がない。ホント、どんなときでも真面目(まじめ)なんですから……。


「ポンチョさんや、残念ながらご飯はお預けですね……」


「え~(ショボーン)。ポンチョ、ご飯がいい」


「そのためにもさっさと仕事を終わらせるぞ! よーしモコモコさん、北の平原(※採取地)へ向けて競争だー!」


 イヤイヤ走るポンチョの背中(せなか)()して北へと向かった(おれ)たちは、隣国(りんごく)とを(へだ)てるように連なる山脈の裾野(すその)に広がっている夕暮(ゆうぐ)れの平原で、ポーションの材料になりそうな薬草やら木の実やらを(さが)して回った。とはいえ、鑑定(かんてい)スキル持ちの(おれ)にとっては朝飯前の作業なんですけどね!


 平原は魔物(まもの)姿(すがた)も少なく、初級冒険者(ぼうけんしゃ)たちにとっては格好の()()で、夜が近付くこの時間でも、チラホラ冒険者(ぼうけんしゃ)姿(すがた)が見えていた。スライムやコボルトといった低級の魔物(まもの)を適当に()りながらアイテムを集めた(おれ)たちは、しばし夜の採取作業を継続(けいぞく)した。


「町の北側にはあまりきたことなかったけど、意外に素材が落ちてるんだな。なぁポンチョ?」


 しかし(はら)ペコの置物のように頭上で動かないモコモコさんは、不機嫌(ふきげん)欠伸(あくび)をするばかりだ。


(わたし)も村の周辺で素材を集めることが多いから、北の平原にはあまりきたことなかったのよね。それにしても、のどかな場所だよねぇ」


 冬季は多量の雪が()り積もり、一面の雪景色(ゆきげしき)となるため移動することすら困難(こんなん)になるものの、今の時期は一面が見渡(みわた)せるほど見通しもよくて、さらには空いっぱいに広がった星々の(またた)きが本当に美しい。


「……はずなんだけどねぇ。残念ながら、今はこの分厚い雲のせいで何も見えやしない。それどころか、いつまでも()り続いてるこの雨。本当にいつ()むんだよ?」


 ブルブルブルと身体を(ふる)わせ、ポンチョが雨を()るった。「もうっ!」と(おこ)ったマーロンさんがポンチョのお(なか)をさするも、さすがにお(はら)が減りすぎているのか元気がありません。


今日(きょう)のところはこれくらいにしましょうか。……って、あれはなんだ?」


 採取を終え、後片付(あとかたづ)けをしていた(おれ)たちの視線(しせん)の先の先。

 平原の(おく)から小さな光がこちらへ向け突進(とっしん)してくる。……なんだろうか?



『ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!』


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多分ポンチョも喜びます!

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