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元チート級暗殺者のもこもこ村開拓記 ~すでに2度死んでる最強の殺し屋ですが、新たな人生はもふもふケモナーさんに囲まれた優雅で静かなスローライフを送りたい!  作者: THE TAKE
第4章 バタバタ商業ギルド設立!

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第101話 大事件のはじまり


 鬱(うつ)である……

 これは少々シャレにならないレベルの鬱(うつ)だ……



 どんな珍(ちん)プレーが起これば、世間から姿(すがた)を隠(かく)したい誰(だれ)かさんが、自分の名前の付いた村を作るというのだ!?


 俺(おれ)が目立ちたくないことをご存知(ぞんじ)のマーロンさんですら「別にいいんじゃない」と笑っているけど、本当に、心の底から良くないことだと誰(だれ)もわかってない!

 俺(おれ)の本性(ほんしょう)が知れたが最後、村人共々全員アウトになることを知らないから、そんな無責任なことが言えちゃうんですよ!


 しかし真実を打ち明けるわけにもいかず、俺(おれ)はずっと一人(ひとり)で頭を抱(かか)えるしかない。この状況(じょうきょう)、本格的に鬱(うつ)でしかない!!



「うぃ~っす、邪魔(じゃま)するよぉ村長。……なんだよ、まだクヨクヨしてんのかい。男らしくないねぇ、ククク」


 勝手に自宅(じたく)に入ってきたリッケさんが無責任に笑っている。同じく一緒(いっしょ)に現れたマーロンさんも、他人事だと思って誤魔化(ごまか)しながら顔を隠(かく)して笑っている。このヒトデナシ!


「当たり前でしょ。あれだけ俺(おれ)がやめてくれって頼(たの)んだのに、結局『ハク村』なんていう恥(は)ずかしい名前に正式決定しちゃったんですから!」


「別に恥(は)ずかしくありませんよ。ここはハクあっての村だし、私(わたし)たち猫(ねこ)族はみんな、ハクのことを尊敬(そんけい)してるよ?」


 その言葉とは裏腹(うらはら)に、ニヤニヤしているマーロンさん。

 なんか腹立(はらた)つんですけど……!?


「で、なんの用ですか!? ノックもせず勝手(かって)に入ってきて!」


「そうピリピリしなさんな村長さん。前にも話した件で相談があってさ」


 というと、リッケさんは書類の束とともにペンを俺(おれ)に差し出した。

 俺(おれ)は無性(むしょう)に嫌(いや)な予感がして、それを受け取るのを断固拒否(きょひ)した。


「子供(こども)みたいなこと言いなさんな。さっさとココにサインせぇや、村長ッ!」


 二人(ふたり)して俺(おれ)の背筋(せすじ)を伸(の)ばしながら、強引(ごういん)にペンを持たせ、目の前に紙を並(なら)べる。そこには商会設立に関する文言がツラツラと書き連ねられており、どうやら残すは責任者の名前を記入するだけになっているらしい。


「嫌(いや)だ~、俺(おれ)は代表者にはならない~!」


「子供(こども)みたいに駄々(だだ)をこねるでないぞ村長。村の責任者でありながら、その村長が代表にならずして誰(だれ)がなると言うのだ!?」


「そこはリッケさんのが適役でしょ!? 何より俺(おれ)みたいな世間知らずよか、もっと条件を満たす人がいるはずです!」


「アタシは秘書(ひしょ)件難癖(なんくせ)係、猫(ねこ)族の族長さんは村内の統括(とうかつ)係、アリクイ族の族長さんは農業統括(とうかつ)係、ボアボアは農耕開発、シルシルは運搬(うんぱん)・配達の全般(ぜんぱん)と、みんな既(すで)に役職が決まっているため大忙(おおいそが)しなのです。暇(ひま)なのは村長だけですから、よろしくどうぞー!」


 事務仕事はこちらでやりますからというゴリ押(お)しで無理矢理サインをさせられてしまった俺(おれ)は、こうしてハク村初の商会、『ハク商会』の代表となってしまった。そうして近日中にマイルネの中央商会と打ち合わせを実施(じっし)するという第一秘書(ひしょ)(※リッケさん)と第二秘書(ひしょ)(※マーロンさん)の命令を承諾(しょうだく)し、ようやく俺(おれ)は苦行の連続から解放されたのであった。



「なぜだ……、どうしてこうなる……。俺(おれ)は静かに暮(く)らしたいだけなのに……」


「そんな大袈裟(おおげさ)な。トアはもともと人の世話を焼きたがりなくせに」


 忙(いそが)しい忙(いそが)しいと慌(あわ)ただしいリッケさんが出ていくなりフランクな口調に戻(もど)ったマーロンさんは、テーブルの上で寝(ね)ていたポンチョの頭を撫(な)でながら言った。


「前にも言ったよね、俺(おれ)はあまり目立ちたくないって。なのにさ……」


「でもハクって本当の名前じゃないんでしょ? だったらきっと大丈夫(だいじょうぶ)だよ。それに格好(かっこ)いいじゃん、商会の代表なんて!」


「そういう問題じゃありません! そういういい加減な態度が、余計な諍(いさか)いを生むきっかけになるのですよ、……ブツブツ」


 俺(おれ)の愚痴(ぐち)が伝わったのか、むにゃむにゃと目を覚ましたポンチョが「もうごはん~?」と呟(つぶや)いた。「おはよー」と挨拶(あいさつ)したマーロンさんに甘(あま)えて抱(だ)きついたポンチョは、ぷりぷりお尻(しり)を振(ふ)りながら上機嫌(じょうきげん)である。この無責任モコモコさんめ!


「そうは言っても、やっぱり村初めての商会の代表者はトアであるべきだと私(わたし)も思うよ。私(わたし)も手伝(てつだ)うからさ、ちゃんと考えてもらえないかな?」


 ポンチョを抱(かか)えたマーロンさんが真面目(まじめ)な顔をして言う。

 くぅぅ、そんな顔して言われたら、俺(おれ)だって断りにくいじゃないか。

 ズルいなぁ……。


「仕方ないから今回だけは引き受けるけど、本当にあまり無茶はしたくないんだ。俺(おれ)だけでなく、みんなに迷惑(めいわく)をかけてしまうかもしれないから……」


「え、それはどういう――」


 とマーロンさんが言いかけた直後、ドカンと勢いよく自宅(じたく)の扉(とびら)が開いた。

 何事だと眉(まゆ)をひそめる俺(おれ)とマーロンさんに、部屋(へや)へと飛(と)び込(こ)むなりハァハァ肩(かた)で息をしている人物が叫(さけ)んだ。



「そ、村長、大事件なのだ!!」



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