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元チート級暗殺者のもこもこ村開拓記 ~すでに2度死んでる最強の殺し屋ですが、新たな人生はもふもふケモナーさんに囲まれた優雅で静かなスローライフを送りたい!  作者: THE TAKE
第4章 バタバタ商業ギルド設立!

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第102話 怪しい影


 現れたのはコリツノイモとピルピル草の品種改良を絶賛実施(じっし)中であるはずの、アリクイ族のマルさんだった。


 酷(ひど)く慌(あわ)てた様子のマルさんは、考えがまとまらないのか手足をオタオタ動かしながら、鋭(するど)い爪(つめ)を上下に揺(ゆ)らして「あうあう」言っている。その姿(すがた)にポンチョがダンスが始まったと勘違(かんちが)いし、隣(となり)で踊(おど)りだしたことは言うまでもない。


「マルさん落ち着いて。何があったんです?」


「そ、それが、それがなんだな! おいらたちが植えたコリツノイモの苗(なえ)がなんだな、誰(だれ)かに食べられちゃったんだな!?」


 思わず顔を見合わせる俺(おれ)とマーロンさん。以前に俺(おれ)たちが飼っていた蟻(あり)を食べてしまったマルさんが管理しているイモの苗(なえ)を、今度は別の誰(だれ)かが勝手に食べてしまったと。何かの冗談(じょうだん)だろうか?


「誰(だれ)かって、誰(だれ)がそんなことを――」


 と疑問(ぎもん)を口にしたところで、今度は扉(とびら)をドゴンッと半壊(はんかい)させ、別の誰(だれ)かが部屋(へや)に入ってきた。


 ボアボアとシルシルのご両人……

 身体の大きなアナタたちが入ってきたら、アタクシのお家(うち)壊(こわ)れちゃうんですけどね。


「主殿(あるじどの)! ここに盗(ぬす)っ人(と)が逃(に)げ込(こ)まなかったでしょうか!?」


「ボババボボボバババ!?」


 しかも酷(ひど)く怒(いか)り狂(くる)っているご様子。

 大きな顔を振(ふ)り乱(みだ)しながら、狭(せま)い狭(せま)いリビングの中で大あらわです。

 もう勘弁(かんべん)しておくれ……


「おい、いたぞ! 貴様(きさま)逃(に)げるな、この食(く)い逃(に)げ野郎(やろう)!」


 シルシルがマルさんを見つけるなり熱(いき)り立(た)って襲(おそ)いかかった。

 俺(おれ)はふぅと息を吐(は)いてからシルシルの鼻面(はなづら)を押(お)さえ、「はい、そこまで」と忠告(ちゅうこく)する。


「主殿(あるじどの)! そこをおどきください!」


「そんなことできるわけないでしょ。少し落ち着いて。何があったの?」


 ぐちゃぐちゃになった部屋を諦めて外に出た俺(おれ)たちは、一体全体何が起こったのかを彼(かれ)らに問いただした。


「この裏切(うらぎ)り者(もの)めが、我(われ)らが苦労して植えた作物を食ってしまったのです!」


 シルシルがグルルルと牙(きば)を剥(む)きながらマルさんに向かって吠(ほ)えた。

 マルさんは「ヒィィ」と震(ふる)え上(あ)がりながら俺(おれ)の背後(はいご)に隠(かく)れ、「誤解(ごかい)なんだなぁ!」と弁解している。どういうことだろうか?


「よくわからないんだけど、さっきマルさんは『誰(だれ)かが苗(なえ)を食べちゃった』と言ったよね。でもシルシルとボアボアは、マルさんが食べたと言ってるみたいに聞こえるんだけど?」


 二頭が声を合わせて「そうだ!(※らしき言葉)」と騒(さわ)ぐ。

 どうやらマルさんと二人(ふたり)の間では意見の相違(そうい)があるらしい。

 でも……、そんなこと起こるものなの?


「我(われ)は見ておりました。今朝方(けさがた)、陽(ひ)の光が上がる少し前のこと、そやつらアリクイ族と同じ大きさの丸き輩(やから)が、畑の畝(うね)の中で怪(あや)しき動きをしていたことを!」


 どうやらボアボアたちも泥(どろ)の沼地(ぬまち)を横切り畑へ向かう怪(あや)しい影(かげ)を見ていたらしく、背格好(せいかっこう)からして犯人はアリクイ族だと踏(ふ)んでいるらしい。しかしマルさんからしてみれば、彼(かれ)自身が畑の管理者であり、イモの苗(なえ)自体を育てている張本人だ。そんな大切な苗(なえ)を、果たして自分で食べてしまうものだろうか?


「貴様(きさま)らは以前言っていたな。アリクイ族は雑食で、植物の苗(なえ)や花なども好んで食うと。なんなら貴様(きさま)らは、以前も主殿(あるじどの)の蟻(あり)を勝手に食ったことがあると聞いている。二度ならず三度までも。万死(ばんし)に値(あたい)する!」


「待ってほしいんだな、おいらたちそんなことしないんだな~(ヒィィィ)!」


 どうにも食(く)い違(ちが)っている両者の意見。

 しかしどうしても俺(おれ)にはマルさんたちが苗(なえ)を食べたとは思えず、両者に落ち着くよう促(うなが)した。


「ちなみにシルシルはどうしてそう言い切れるの? ちゃんと彼(かれ)らが食べている姿(すがた)を見たってこと?」


「日の出前だったゆえ、まだ薄暗(うすぐら)く確実とは申し上げにくいですが、そのサイズ感に加え、どんくさい動きまで奴(やつ)らと瓜二(うりふた)つでした。何よりその男、昨晩(さくばん)我(われ)らとしこたま酒を飲んでおりましたゆえ、酔(よ)って覚えていないのではと!」


「た、確かに昨晩(さくばん)は楽しかったからみんなといっぱい飲んじゃったけど、それでもおいらたちで植えた苗(なえ)を自分で食べたりしないんだな! 見損(みそこ)なわないでほしいんだな!」


「うぐっ、まだ反論(はんろん)するか盗(ぬす)っ人(と)め!」


 堂々巡(どうどうめぐ)りの三人を止め、うーむと頭を悩(なや)ませる。

 しかしどうやら苗(なえ)が食べられてしまったことは確かで、マルさんらしき影(かげ)が苗(なえ)を食べていた事実は曲げられそうもない。


「ねぇシルシル、トゲトゲさんにはもう聞いてみた?」


「はい。しかしトゲトゲ氏はそれらしき怪(あや)しき者の影(かげ)は察知しなかったと。そもそもあれだけノロい動きの者など、この近辺には小奴(こやつ)ら以外におりますまい!」


 トゲトゲさんが見逃(みのが)したとなると、もともと森に住んでいる既存(きそん)種の生き物か、さては力のない獣人(じゅうじん)族や魔物(まもの)ということになるけれど、そんな都合よく苗(なえ)だけを狙(ねら)って食べたりするものだろうか?


「…………マルさん、本当に食べてないよね?」


 俺(おれ)に疑(うたが)われてガーンとショックを受けている様子のマルさん。

 冗談(じょうだん)ですよ、本気にしないでよ!?


「どちらにしても、マルさんたちは食べていないと言ってますし、まずは信じてみましょうよ。シルシルもボアボアも、実際に食べている姿(すがた)を見たわけではないんだし、一度みんなで現場を見てみませんか?」


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