第三話
俺の名はジョン・ザー・影法師。
年齢は二十三歳。種族は影法師族。つまり、人間のシルエットに似た一族の一員だ。主な違いは人間と比べて低い身長と黄色い球状の目。まるで子供向けな漫画を連想させる雰囲気を醸し出してると言ってもいい。
ダンジョン経営大学工学部卒で今は平凡な社員と言ってもいいかな。
詳しくは、職業はベルトリオス迷宮の工業管理従事部の平社員で所謂社畜である。
俺は過労のせいで大事なミスを犯してしまった。
転移バグと言う一大事なミスを犯した。もし挑戦者が見つかったら、迷宮のどこかにランダムに強制転移させる可能性はある。場合によってはデスゲームクリア直前の障害チャレンジに飛ばされるかも知らない。
今、急いでるのは、あのミスのツケと言ってもいいかな。
本当にヤバい。
身体はだるいし、それ以上に仕事を続けられない様な気がする。
なんでよりによってこんな時にだけは挑戦者が現れるの?昨日、俺が送った現場報告でも読まなかったのかよ、この鳥《上司》やろうが。永遠に呪ってやる。いつも俺ばっか攻めて、俺を他の会社員の目の前で侮辱させてしまい、会社で居づらくなって、結局、他の同僚の同情を買う様になった。
だって、俺が、残業をしてまであいつらの仕事のミスをカーバしてるのが全部お前のせい。あのクズ鳥が無理やり迷宮の経費を無駄遣いしなかったら、こんな状況になれんかったのに。外聞から聞いたあいつの《《先祖の汚名の雪辱》》だのは俺や他の社員からすればどうでもいいのに。
全く。今月の過労ミスは四回目になる。急がねばクビになる。
「ヤベェ、ヤベェ、ヤベェ!」
全力で走りながら一刻も早く転移バクした一箇所に行かなければならない。
ヤベェ。
全速力では走るなんて出来るわけがない。もう少しだけ前に進めば辿り着くのに。これが毎日一時間睡眠のツケか。
これ以上はもーうー仕事したくなーい。
ああーだるい。死にたい気分だ。
意識が徐々に遠のいているような気がした。
○
「大丈夫かよコイツ。」と私、無名ちゃん、が思わずに呟く。謎の物体からの答えは一切ない。
よくコイツを見ると、なんか全身が変な黒色に染められたように見える。
「魔物か?」と私が誰にともなく呟き、やっぱ、気になるよなと思った。
「すやすやすやすや…」と言う音と交互に謎の魔物からうるさい鼾が聞こえるようになった。
「コイツ、寝てるだけじゃあねぇか。無視した方がいいよな。」と私が言った。
けど私はずっと前から気になったことがあった。
それは魔物を触る時の心地。
手伝わずに行ったら、自分の人生でこんな経験を得る唯一のチャンスを逃すかもしれない。
けど、危険だよな。もし、触れたら、危険に落ちてしまうかもしれない。その危険を冒してまで経験したいのか?と思いながら、視線を魔物の体に移した。
あの暗い姿を暫く凝視した後、やっと決断した。
「まあ、やってみるか。」と呟いた後、自分が魔物の体に近づいて蹲った。その後、物差し指を伸ばして、魔物の体を指で突こうとした。
「へー魔物はぷるぷるな肌してんな。カサカサと思ってたのに」と感想を述べた後、魔物の体を翻したくなった。その魔物の右腕を両手で軽く掴み、魔物の体を翻すように両腕を俺の体に引いた。
ゆっくりと翻した後、私はあの可愛い黄色い顔を見てから、少し唖然としていた。
「なんと言う可愛い魔物。ペットにしたい。暫く、してみようかな。膝枕。」
なんだか無性に可愛がりたい気分になっちゃった。そう決断した後、ちょうど、私の膝に魔物の頭を掛けようとした時にとある声が聞いた。
「全く、俺は魔物なんかじゃねぇぇってつってんだろうが。俺は立派な亜人だよ、《《亜人》》。」と男っぽい声が苛立たしく訂正した後、徐々に魔物ーいや、亜人の目が開いた。
ぽっかりと。
○
それを聞いた後私は即座に後ろに飛び、自分の右脚の痛みを耐えるように脚を握った。
「えええええええええ、喋るの?お前。ペットじゃないの。」
「俺はペットという下僕なんかじゃない。」
「いや、ペットの方が可愛かったのに…、膝枕したかったがもう興が醒めたわ。」
「ええ、まさか膝枕しようとしたの‼️。俺なんかに… なんと言う女神様。怒鳴ってしまって申し訳ございません。」と必死に亜人に謝罪され、女神扱いされた。
「せめて俺と言う哀れな生き物を癒した女神の名前を知りたい。お願い。俺はジョン・ザー・影法師。これからよろしくな。」
誰だコイツ?変態か?
まあ、せめて礼儀正しく挨拶しないといけないよな。だと言ってもこんな変態と交友関係と築くと思うなよ。けどな、《《自分の本名》》は誰にも知られたくないからな。ぶっちゃけ、そんな言葉が発した瞬間すら聞きたくはない。
「私は無名です。よろしくお願いします。」と慇懃無礼に返した。
「無名か。名乗らないのか?」とジョンさんがキッパリ聞いた。
「いや、無名が私の名前だ。そうと呼んでください。」と素っ気なく答えた。
「分かったお嬢さん、名乗りたくないなら、そう呼ぶのさ。ていうか、俺はバグを直さないといけないから、じゃな。」とすんなり受け入れたようだ。
「バグってどういう事?」
「知らないのかよ、この迷宮にはバグは沢山あるよ。俺の仕事の内容は主にバグ修復と現場のリポート提出くらい。今修復しなければならないのは転移バグだったよな。」と彼が詳しそうに述べた。
まさか、アイツ、転移バグとか言ったよな?まさか私のためになる情報を偶然聞こえるなんて!私は天才だ。自分に拍手喝采を送らないとな。
後はあの変態野郎を利用するだけだ。ぶっちゃけ嫌だけど、やるしかないっか。
「ねね、シャドウさん」と可愛げのある声でジョンに聞こうとした。
「何よ、嬢さん。」
「俺をバグはどこだと教えてくれない?」と可愛いい演技を徹底した声色でジョンに聞いた。
「けど、嬢ちゃんをあんな危ないとこに行かせるなんてー」
「案内したら、膝枕してやるよ。」
少し思案した直後に、「分かった!やるよ。膝枕という天国をやっと味わえることができるのなら、やるよ。」と答えながらエロい妄想してるように顔を歪んだ。
よーし!あの変態野郎が私の策略にハマったな。
ナイス、自分。
はははははははははー
ざまぁ見ろよ。
今回も読んでくださって本当にありがとうございます。次回は出来るだけ面白くするように頑張ります。




