第二話
無名ちゃん視点
〇
扉を潜った時に、私はなんだかワクワク感を感じつつ、真っ直ぐに続いて部屋ーというより廊下ーを探索し始めた。一旦静止して、周りを見回そうと思った。
「先ずは右側からか。正直、楽勝だな。はーい、集中集中。状況確認するのが第一ですよね。」と計算的に呟いた。
首を右に回し、先ず、目に入るのはその亀裂が走った石製の壁だった。壁の上側を見ると蔦が絡み合い、上下には苔が生い茂った。下を見ると足元の石は罅だらけで、草もバラバラに生い茂っており、私が一足を踏んだだけで石が崩れ、何もない闇へと落ちた。
「それはやばかった。今回は気をつけて歩くのに集中したほうがいいよな。」と誰にともなく言って、目の前を見ようとした。そこに新しい空間への入り口があって、探索したいなと思った。その前に、左壁を一瞬見て右側とほぼ同じだと分かった後、再び前に向いて、慎重に真っ直ぐに進んだ。
「気になるよな、一体どうなるのか、入り口の先に何があるのか、わかんないよな。」と言いながら入り口の直前にまで続いた。
敷居を跨ろうとした時、それが幅広い迷路の様な場所だなと思った。高く聳える壁が私という惨めな者を俯瞰している。私は圧迫感で一瞬たじろいで尻餅をした。そこで、見えた所々に色褪せたでっかい絵が私の視線を完全に埋めた。思わず、息を呑んだ。
「これはなんなのか?すげぇ」と感嘆を露わにしながら、私は尻餅した状態だったと思い出し、その絵を凝視しながら立ちあがった。その後、やっと入り口に入った。その美しい絵から視線を逸らし目の前を見ようとしていたが、よく見ると、壁も廊下と同じ罅だらけな感じだったよ。植物はどこにも生い茂ってない様な感じだけど。
真っ直ぐに歩いて、じっくりと周りを見ようとした時に視界の真上に虚空から何か灰色なものが近づいているよな。
「これは割とーええふぇ」
ゴゴー
と視界が真っ黒になった。ヤバい!
即座に左側に飛んで地面にうつ伏せになるように地面に落ちた。
「顔っってんああ」と痛そうに嗚咽気味に叫んだ。きっと高速で顔を地面に押した衝撃だよな。ああ、痛い痛い痛い。右脚の皮膚と脛の筋肉が深く剥がれたのを見て、目が震えて、怯えた。
「ええ、血が…ぇあ嗚呼あーあ」と獣に退化してた様に叫んだ。
「嫌だ嫌だ…」
けど現実は私の感傷に浸る時間を与えてくれないを直感的に実感し再び冷静を取り戻せと体を叱咤した。それでゆっくりと体を立ち上がらせて、後ろを確認したが何もなかった。
刹那。
と入り口側に天井から鎖に付けられた茨付きの鉄球は天にとある定められたところから振り下ろされた。振り子の様に動くそれはとある特定した場所を狙ってる様に見えた。
罠だ。
「私、…というものは今死ぬとこだった。」
前言撤回だ。これは楽勝なんかじゃない。これは正真正銘のデスゲームだ。
〇
「んん」と唸り声が彼の住んでる寮の一室中に広がった。
たった今、起床した彼はぼんやりと天井を見上げ、一体何を見たのかすら分からずにいた。
「今日も面倒くさいな。あのクソ上司。昨日も徹夜してまで残業したのに、何で今日まで仕事に来なければなんねぇのかよ。」と彼が愚痴りながら渋々とバンクベットから降りた。彼は半眠り状態でだらだらと仕事に準備しようとした途中、
「おいーまた準備してねえのかよ!」と乱暴に扉を開かれつつ、怒鳴られてるように言う大声が部屋中に響いた。
「なんだー、お前か。何があった?」と淡々に腐れ縁である彼の寮の隣の部屋の同僚に挨拶した。
「てか、知らないのかよ!それは緊急事態だ、相棒。ダンジョンに新たな挑戦者が来たぞ」と冷や汗かいた様な表情が顔に浮かんで、彼に答えた。
「てか、昨日なんか忘れた様な気がしたけど、」
「昨日、寝る前に何か《《バグ修復》》とかを明日にやると言ったよな。まあ、時間はない。現場で会うよ」と同僚が焦って感想を述べ、部屋の玄関から全速で走った。
「あー…ヤバ…」
これで彼は何かを忘れたと分かった時に食事などどうでも良いとし、すぐに迷路の一箇所に急いだ。
「昨日、修復し忘れた《《転移バグ》》を一刻も早く修復しないと…
《《挑戦者が来る前にな》》」
○
20分後。
自分の右脚をなんとか引きずりながら迷路の入り口から移動した。痛い…、暗い、怖い。一体何をすれば良いのかは分からない。血の流れはスカートの裾を破ってなんとか収めたが激しい痛みは消えない。痛みを堪えて、冷静になって、外の様子を見ると、迷路は広い回廊状なものの様です。その回廊からさまざまな形をした派生の様なより狭い通路が想像できないほど多かった。
私は別にどうでも良かったから、一番近い通路、に左折して行こうとした。
罠の一つや二つの発動はあったが、幸いに新しい怪我はなかったが、より不安になった気がする。
「んんぐん」
右脚を地面に少しだけ踏むと電気が走ったような感覚だった。これはヤバい。脚に力を加えないな。
休める場所はないのかな?と思って、一瞬見回したら、無かったようでぶっちゃけ落胆した。
「はあ、はあ、はあ、なんでこんな事になってたのか…、私が死ねば良かったのに。」と荒く息をしてからなんとか言葉を紡げた。体がだるいな。
「はあー、仕方ないな、真っ直ぐに進めば良いじゃん」と私が自分に置いている現状に諦めをつき、ため息をした。
通路の右側の壁に縋って真っ直ぐ歩いた。
真っ直ぐ。
まっすぐ。
まーっーすーぐ。
それしか考えられ無かった自分には、性に縋り付くかのやうに必死に出口を探そうとしていた。もし、ゲームのようなステータス欄があったら、出口を見つかったら、ステータス上がってとある異世界小説の主人公のように強くなれるんじゃないか。
「だから、頑張れ!っつってんだろうが」と自分の体を叱責しなんとか通路の交差点に辿り着いた。
「どっちに行けば、クリアできる…か、な。」
やっべえ。本当に疲れたな。一旦罠の確認をしないと思って右側に視線を移して、確かめようとした途端、漆黒のぼんやりした疾風の如く疾走してる姿を見つけた。
「ヤベェ、ヤベェ、ヤベェ!」と変な叫びを聞こえて何それと思った。
よく見れば人型のようなものだよな。
けど、私を通り過ぎようとした直前に、
どっしりー
と前のめりに地面に倒れた。
「大丈夫かよコイツ。」
今回も読んでくれてありがとうございます。次の数話ははかなり面白い展開が繰り広げられるので、お楽しみにしてます。これからはよろしくお願いします。




