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へっぽこ魔人生  作者: 岸辺濫瀟
第5章

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4.魔人会議

 1日などあっという間に過ぎ去り魔人の集い当日。


 緊張しそうなものだが俺は日光浴をしていた。

 落ち着いているわけじゃない。ただ光を貯蓄するために出来る限り体を光に晒そうと努力しているだけだ。


 太陽の光を浴びていると穏やかな気分になる。ランタンや燭台の光では感じづらい光の温かみを再認識する。


「あぁ~これもいいな。風呂とは違う満足度がある。これもまたいい人生だ」


 城の外に土で出来た長椅子を作ってもらい、寝そべっている。作ったのはイリムだ。

 昨日作ってほしいと頼んだ時はダメな主人を見るかのごとく訝しがられたものだが、目的を説明するとすんなり作ってくれた。


 やはり魔法は素晴らしい。この怠惰にも見える姿を晒せる環境も理解がある従者達がいる。ビバ魔人生。


 昼頃に迎えが来る予定だから光合成を程々にして装備チェックだ。

 大の字から起き上がり、自室へと戻る。


 炸裂玉や煙幕玉、胸当てに剣といつもの装備だ。

 そろそろこの愛剣にも名前をつけるべきかなと思いながら剣を眺める。


 腰に携えフル装備が出来上がった。今日は呪いのマスク(笑)は装着していかない。今日の装備する魔道具はなしだ。《エアシッターF》も《変水の中敷き》も《均衡のチョーカー》もない。


 魔人たちに対抗する方法に今までの作戦は通じそうにないからな。汚水で嗅覚を潰したくらいで倒せる魔人はいないだろうと踏んでのことだ。


 元々魔力の少なかったからこそ《変水の中敷き》があれば海でもでかい【水刃】が使えた。とはいえ、今の魔力的にこれらの魔道具は割と不要だ。


 煙幕玉も炸裂玉も意味無さそうだがこれはお守り代わりだ。


 よし、そろそろ行きますか。城の前で待ってればいいんだよな。

 招待状には今日の昼頃、城前に迎えが行くので待っているよう書かれている。綺麗な文字で綴られた手紙は魔人以外には見えないみたいだ。


 三人が覗き込むように手紙を見ても内容が書いていないと言っていたのでやはり直接神様から権能を貰った魔人以外参加資格はないみたいだ。


 城の前に着くと、紫色の歪んだ空間が出現した。あれが集いまでのゲートのようだ。空間転移だとイフィンティブか?あいつもいそうだな、魔人っぽかったし。


「タルバサマ、オムカエニアガリマシタ」


 小柄な少年くらいのロボットがカタコトで喋る。ロボットが動いているのは初見だ。異世界転生者が作成したらしいとは噂に聞いてはいた。本には挿絵としてイメージ図があったが、本当にいたとは。


 頭と胴体は丸を二つ繋げたもので、顔に目と口だけが存在している。手足はそれぞれ巨大なねじがくっついており、液体のようにグネグネと動かしながら俺を手招きしていた。


 白を基調としたロボットの案内の元、俺は三人娘に見送られながら紫色のゲートに入っていった。


――――――――――――――


 ゲートを潜ると目の前には円卓があり、12の席のうち11席が既に埋まっていた。

 天井にはシャンデリアが吊るされ、木製の円卓に光があたり、光沢がでて質感を高めている。


 12の席は背もたれが俺の身長よりも高く、頭まで預けることができるもので背中や底面にクッションが置かれている。各席のクッションの色が異なり、恐らく俺が座るであろう席は白色だった。


「タルバ様、どうごこちらのお席に」


 黒い席に着座しているカナンに勧められて俺は恐る恐る自分の席へと向かい、着座した。

 おっかなびっくりしながら見渡すとイフィンティブがニヤニヤと笑いながら手を振っている姿が目に入る。若干イラッとくるが、ゲルニーツァでは助けてくれた恩がある。あとでお礼を言わなくては。


「さて、全員集まりましたので集いを開催いたしましょう。今回の目的としては皆さんにはタルバ様の紹介、タルバ様に関しては集いと各魔人たちの紹介のためです」


 主催者であるカナンが口火を切り、今回の趣旨を説明し始めた。

 どうやらこの集いの目的は魔人たちの交流の場らしい。定例会ともいえる。魔人たちはそれぞれテリトリーがあるみたいでそれが干渉しないようにするためでもあるらしい。


「それではタルバ様は初めてですので、自己紹介から始めましょう。まずは私から。破壊神様より加護と権能を頂いております、カナン=アズールと申します。よろしくお願いしますね」


 ニコッと笑顔を見せられた俺はちょっとだけ高揚感がこみ上げる。ちょっとだけだぞ?ほんとにちょっと。


「では、次はヘクター側に時計回りでお願いしますね」


 カナンの言葉で進行する辺り、カナンを魔人王と勘違いしかねないな。初見だったら王だと思うわ、これ。


「やぁ、タルバ。会うのは初めましてだね。僕はヘクター=ウェントゥス。風神から権能を貰ってるよ。よろしく」


 黒髪赤眼の少年はヘクターというらしい。どっかでみたことがありそうでない顔をしている。もしかしたらどこかで会ったのか?いや、こんな少年会ったことがないな。後ろ髪をゴムで束ね、ドリルのような一本の角を持ち、口からはみ出るように鋭く伸びた犬歯が特徴的だ。ローブから燕尾服が見え隠れしている。本職は執事とか?


「次だな。アックア=バーチェ。水神から権能を与えられている。以上だ」


 水色の髪色に青いローブを纏ったがたいのいい男はアックアというらしい。目は黒だが見た目からわかる、水系統のやつだった。ひじ掛けに手を置いている姿が凄いさまになっている。

 もしやいいところ出身か?


「次はあたしね~あたしはテッラ。テッラ=デイトン。土神様から権能を貰ってるよ~仲良くしてね!」


 アウローラのように元気かつ気さくさが滲み出る自己紹介したテッラ。茶髪をおさげにしてテーブルの上でせわしなく手を動かしている。目も茶色で綺麗系というよりはかわいい系の顔立ちだ。


「グラヴィタ…=エイグラム…重力の神様から…貰ってる…」


 アッシュグレーの髪が伸びきって顔どころか首すらも見えない魔人がグラヴィタらしい。声からして男かな?神官に似た服装をしているため、聖職者にも見える。もしかしたら髪を伸ばさなければならないという戒律でもあるのかもな。


「アタナシア=グラニエ。死神から権能を授けられている。新参者、心しておくように」


 自己紹介のはずが脅迫交じりじゃない?心しておくって何!?

 白髪オールバックにイエローグリーンの瞳、顔や腕に浮かぶ傷たちと隆起する血管から歴戦の猛者としての風格を漂わせる。射竦める眼光がまっすぐ俺を見ていた。上腕二頭筋からわかるでかい筋肉とぼろきれのように使い込まれた布の服から近接戦闘を主体としていそうだ。


「アステール=ヴァリス。星の神から権能を貰っている魔人だ。俺はお前をまだ認めていねぇからな」


 いきなりガンつけてきたくすんだ金髪を短く切り揃えてツンツンにしたグレーの瞳をした青年。鋭い眼光が俺を見つめ、不平不満が顔に如実に表れている。不良という言葉がとても似合うな。シャツの上に黒い革のジャケットを羽織り、革のズボンを履いている最近見ないファッションセンスを持っている魔人だった。


「サジェス=フェネリーです。知恵の神より権能を賜る賢き魔人とは私のことです。以後お見知りおきを」


 薄紫色のショートカットに糸目の女性。扇子で口元を隠し、表情がよく見えない。細い眼からは瞳の色すらも読み取れず、全身をすっぽりと覆うローブに手袋を装備し、一切素肌の露出がない魔人だ。


「イフィンティブ=ギャッジだよぉ~タルバぁ~ひさしぶりぃ~。空間の神様から権能貰ってるよぉ~よろ~」


 長い藍色の髪に額近くの頭部に竜巻のようにねじれた一対の角、手足を藍色の体毛が覆い、足が馬で背後を揺れる臙脂色の尻尾は刃物のように鋭くとがっていた。ゲルニーツァでは人間の姿しか見ていなかったように思うが、今は魔人としての正式な姿をしているみたいだ。


「マルス=ザンダー様だ!新人よく来たな?軍神より権能を貰ってるぜ。機会があれば手合わせしてもらおうか!」


 勢いと声量が異様に大きいこのマルスという坊主の男はどうやら戦の神様から権能を貰っているようだ。動きやすそうな軍服を身にまとい、胸元には勲章が輝いている。姿勢がよくはきはきと話すことから昔は軍人だったのかもしれないな。

 黒目だが白目が真っ赤に染まっている。その目はどこか不気味で狂気的だ。武器を携帯していないところを見るに巨大な武器か徒手格闘が得意と推察できる。


「イグニストゥス=エレロ。不死身の小僧が魔人になるとは数奇なものじゃな。ったくヒルドに帰って来んからついぞ死んだかと思ったわい。剣、手入れできとらんじゃろ、あとで貸せ」


 どっかで見た顔だとは思っていたが、まさかヒルドの鍛冶屋の爺さん。あんた魔人だったとはな。腰の曲がった中肉中背の爺さんで、白髪だがちゃんと見開いた目は明るい赤色だった。

 こうしてちゃんと目を見るのは初めてかもしれない。口周りに髭を蓄え、今日は職人作業の作業着ではなく、スーツに似た服装だ。胸元から見える炎が描かれたハンカチが見えている。

 これが本当の正装らしいな。それにしても爺さんの存在がびっくりだな。魔人って身近にいるもんだな。


「最後か。ローク=エラルド。運命の神より権能を頂いている。よろしく頼む」


 着物という異世界転生者や転移者が作成した服を着こなす緑髪をポニーテールにした女性。座っている姿からもう戦士だ。左腰に帯剣しているようだが、今は机に立てかけるように剣を置いていた。

 これが侍ってやつか?異世界にはいたっていう戦士系の達人。侍の中でも居合という技が出来る者には近づいてはいけないともっぱらの噂だ。


 シャープな輪郭に無駄な脂肪が一切ないスレンダーな体型に見える。ただ着物はかなり布を重ねるとのことなので実際はどうかわからなさそうだが。


「これで全員の自己紹介が終わりましたね。これで第一の目的は完遂しました。次の話に移りましょう。タルバ様の立場についてです」


「ちょ~っと待ってもらえますかね。そのタルバって奴を認めるのは早計じゃねぇか?」


「アステール、それはどのような意味でしょうか。あなたはお認めにならないのですか?」


 おどけたようにオーバーリアクションで首を振るアステールは背もたれに体重をかけながらカナンを見つめる。俺には話の流れがわからないからさっぱりついていけない。


「そうじゃないさ。ただ自力で魔人になったならともかく、そのタルバってやつはヘクターが何かしたらしいじゃねぇか。《デ(・)モ(・)ニ(・)ッ(・)ク(・)ウ(・)ェ(・)リ(・)タ(・)ス(・)》を使ってな。それを正当な魔人とするのはひでぇと思うぜ」


「ヘクター、そうなのですか?」


「黙秘する」


 黒髪赤眼の少年はそっぽを向いて口を閉ざした。話が理解できない俺は会話から誰が偉いかそうでないかを判断しようとしたが、魔人内では意外とフラットみたいだ。


「それにイフィンティブもなにやら関与しているみてぇだしな。玩具として魔人にされたんじゃねぇかって思っちまうわけよ」


 アステールは俺を指さしながら疑問をつまびらかにする。そしてカナンに問われ、アステールに名前を出されたヘクター、イフィンティブは口をつぐんでいた。当たらずとも遠からずといった印象だ。

 ここで下手に話すことが俺にとって不利になると判断したのか?


「そんなまがいもんの魔人を正式に認めることはできねぇんじゃねぇのかって思うわけだ。俺はタルバという名前についてわりぃが聞き覚えはねぇんだ」


「アステール…あなたどれだけ失礼なことを申しているか、おわかりですか?いい加減その下品な口を閉じないと消し飛ばしますよ?」


「おぉ~こっえ~なぁ。でも事実だろ?手違いで魔人になっちまった哀れな男がそのタルバだろ?運が良かったから《デモニックウェリタス》でも死ななかっただけでよぉ」


 アステールがカナンに噛みつく。他の魔人たちは静観することに徹している。俺の存在に疑問を持ってはいるが、魔人になったことでなし崩し的に認めているといった様相だ。


「これだから教養のない者は困りますね」


「ここにいるお前以外の魔人一同が心中でお前は教養があってもあらゆるものを破壊するじゃねぇかと思っているだろうぜ」


 アステールが背もたれから背を離し、円卓に両肘をついてカナンを睨む。カナンとアステールの間に火花が散っているように幻視する。魔人ってこんなバチバチなのか?俺のために争うのはやめてくれ、巻き込まれそうだから。



「はぁ。いいですか、タルバ様が誰の権能を得た魔人なのかを知らぬからこそそのようなことをほざけるのです。私はタルバ様の紋章を拝見する機会がございましたが、タルバ様の紋章は太陽と稲妻のシンボル。それに聞いた話では光の権能を所持しているそうです。もうおわかりでしょう。タルバ様、あなた様に権能をお与えになっている神様は一体誰でしょうか」



「え、創(・)造(・)神(・)様(・)だけど…」


「「「「「「「「「「!!!!!!!!!!!!」」」」」」」」」」


 アステールの顔から表情が失われ、カナン以外の魔人たちからは面食らった表情がありありと浮かぶ。イフィンティブとヘクターだけはにやにやしているけど。


「太陽と光はこの世界において創造神様以外にシンボルとされる神は一柱たりともおりません。それに雷はあらゆるものを裁く神罰の象徴。その対象には人間などの生物以外に神すらも含まれております。故に、タルバ様には創造神様と同等の権利が与えられている存在として扱うことが望ましいのです」


 カナンが淡々と俺の立場とか扱いに関する決定の過程を説明している。王宮からのお触れでもここまで整然としていることは稀だ。ましてや理由まで細かに話すことは。でもなんかこそばゆい感覚だな。俺が凄いんじゃなくて創造神様が凄いだけなんだけど。


「だけどよぉ。ヘクターが《デモニックウェリタス》で魔人にしなけりゃ魔人にはならなかったのは事実じゃねぇか?」


「確かに僕はタルバを魔人にしたよ。本来は僕が補助して魔人にする予定だった。でもね、僕は補助する必要がなかったんだ。血を吸わせてもタルバはピンピンしていたからね」


 口を閉ざしていたヘクターがカナンから開示された俺の情報から優位性を見出したのか、饒舌に語りだした。でもまてよ、俺こいつ知らねぇんだけど。なんでこいつ俺のこと知ってんだ?


「じゃあ、このタルバは素で創造神様の権能を得ていたのか!?」


「そうゆうことになるね、アステールの勘違いしているところはまずそこだよ」


「にしてもそれはおかしいじゃねぇか。俺たち魔人は魔人になる前に神に認められる功績があったろ?カナンは知らねぇけど、一通りこの場の魔人については名前くらい聞いたことある。だがこいつは知らねぇ。パッと見特別にも見えねぇからな。誰かこいつを知ってるか?」


 アステールが円卓を見回すと鍛冶屋の爺さんことイグニストゥスが口を挟んだ。


「知らなくて当然じゃ。なんせこいつは表向き誰にも功績を認められることなく、辺境の地で意図的に隠遁生活を送っていたのじゃからな。タルバのことを知っている者は極一部じゃろう。それに知っている者も小僧に気を遣って喧伝するような真似はしなかったからの」


「なんだイグニストゥス。知り合いか?」


「知っていたとも。無名の英雄というくらいにはな。お前さんが知らないのも無理はないのぉ。なんせベゼル王国は儂のテリトリーじゃしな。ちょっと前にヴェルフ帝国からの侵攻を食い止めたとして一部では救国の英雄扱いじゃよ」


 鍛冶屋の爺さんから俺の評価を聞いても自分の話とは俄かに信じがたい。ゲルニーツァでのことか?ザクスもいたからな。ヒルドの件はモンスターだしあんま関係ねぇはずだ。


「なんだそれ、救国の英雄って」


「簡単な話じゃ。ヴェルフ帝国がベゼル王国に密かに攻めてきていたんじゃが、それをタルバが1人で撤退させた。正確にはヴェルフ帝国の約2万の兵を一撃で殲滅した。たまらず帝国は撤退したのじゃ」


「へぇ~そんなことしたのか。俺ら魔人にとってはごみみてぇな話だが、2万ってそんだけ相手取って話題にならねぇのか?ベゼル王国じゃ」


 それでもアステールはイグニストゥスに食ってかかる。どうしても俺のことを認めたくない意思を感じる。それよりもどうなってんだ?俺そんなことした覚えはないぞ?誰かの功績をかすめ取っちまったんじゃ??


「いや、それは帝国側の一部と我らのような存在しか知る術がないのじゃ。帝国も上層部しか知らないんじゃろうな」


「そうかい。じゃ、こいつは不運が重なって評価を受けられなかったってことか。可哀想に…とでもいうと思ったか?それとこいつを認めるのじゃ話がちげぇ。こいつの功績はそれっきりか?」


「ふむ。あとは…巨人討伐くらいかの。じゃがタルバが武力的に優れていると証明できるような功績かと言われれば微妙じゃ」


 イグニストゥスはこと鍛冶屋の爺さんは俺のことを頑張って庇ってくれているが無い実力を示した功績はどこにも落ちていない。苦しい状況だ。


「この前ベルルム王国周辺で勃発した三竦み戦争と呼ばれる戦争を武力介入、戦争を停止させたと伺っておりますが…詳細はブラックボックスです故功績の提示には値しないかと」


 サジェスが俺の動向を把握していたようでこの前の戦争について話すが、むしろ俺の状況を悪化させたようだ。アステールから笑みがこぼれ、他の魔人たちは渋い顔をしている。


「ほれみたことか。やっぱこいつずるして魔人になったんだろ?偶然だよ、偶然。処分しようぜ」


 アステールが処分と口走った刹那、カナンから尋常じゃない殺意の圧が場に溢れる。全身を刺激して肌が粟立ち、生命の危機を体が警告していた。俺は硬直していた。ザクスでも感じなかった生物としての相違。


「口が過ぎます。創造神様が思い付きで権能をお与えになるわけないでしょう」


 どすの利いた低い声がカナンから発せられる。文章にすればただの注意だがイントネーションや感情が乗ると恐ろしさマシマシだ。


「創造神様を悪く言ったわけじゃねぇよ。でも納得はできねぇって話だ。ぽっと出のやつが魔人の介入で魔人になりました。結果的に自力で魔人になったってのは言い訳みてぇだろ?ずるじゃねぇぅて言い張る方が難しいと思うぜ?」


 アステールの言葉にアタナシアが挟む。


「アステール、まどろっこしい。何が言いたい?」


「怒るなよ。簡単なことだ。テストしようぜ、タルバを」


 アステールから提案されたことは意外なことだった。想定外の提案に魔人たちも顔を見合わせてしまう。俺はただ成り行きを見ているしかなかった。


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