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ご当地ラーメンで異世界の国おこしって!?  作者: 忠六郎
第8章 アビシニア大陸編
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第384話 まさかの大魔法使い

そして自分と同じく、クレアが店をはじめようとしているなどとは知らないアンナは、初日の営業を終え、のれんを下げていた。


「まぁ初日はこんな感じですかね?」


「だな。ラーメンを知らなかった村の人だし、こんなもんだろ」


幹太はテーブルに台拭きをしながら、戻ってきたアンナにそう言う。


「それに、お客の反応は上々だったしな」


「はい♪」


今日の客入りは二十人ほど。

幹太とアンナが、これまで体験してきた開店初日としては良い方である。


「そういえば、もう結界の魔法は解けたんですかね?」


「そういやそうだな…」


「幹太はこれからどうするんだい?」


そう聞いたのは、マーカスだった。


「そうだ!俺、一度アルナさんとこに戻らないと…」


「あ、セ・ベッラ・アルナってところですか?」


「うん。そうなんだけど、道を覚えてないんだよな…」


ここまでレイナの後についてきた幹太は、アルナ村までの道を覚えていなかったのだ。


「ん〜?あれだけの魔法ですから、解除にも時間がかかると思いますけど、夜には戻ってくるんじゃないですかね?」


そんなアンナの予想通り、その夜、レイナはカリナ村に戻ってきた。


「だったら、すぐに出る」


そして幹太から話を聞いたレイナは、すぐに出かける支度をはじめた。


「えっ!こんな夜にですか?」


アンナは思わずレイナに聞いた。


「は、はい…アルナ村までならすぐですし、私がかけた魔法も気に…あ、ちがいました、村にかかっている魔法も気になりますから…」


「あ、そっか、誰も出れないんだもんな。じゃあ行くか…」


幹太もそう言って、支度を始める。


「で、でしたら私も…」


そう言って立ち上がりかけたアンナの肩に、幹太は手を置いた。


「いいや。由紀とソフィアさんが来るかもしれないから、アンナはここで待っててくれ…」


「でもでも、ようやく幹太さんに会えたのに…」


「そうだけど、この店も開店二日目で休むわけにはいかないだろ?」


普通、ラーメン店は翌日のラーメンスープを仕込みながら営業するため、すでにこの店には明日のスープが出来ている。


「それは…そうですけど」


「とにかく、アンナはシャノンさんとマーカス様と一緒にここにいてくれ…頼む」


幹太は少し屈み、アンナと視線を合わせてお願いする。


「はい…わかりました。アンナ待ってます」


そうして幹太とレイナは、夕食の後、セ・ベッラ・カリナを出発した。


「い、意外に音がするなぁ…」


そして出発してしばらく経った頃、幹太は辺りを見回しながらそう言う。

出発前、夜の森は静かであろうと幹太は予想していたのだが、実際には虫の声や得体の知れない音などがして、静かとは言えない状況であった。


「殿下、私たちの周りには結界を張ってあるから、そんなに怖がらなくても大丈夫…」


「うっ、あ…べっ、別に怖がっているわけじゃ…」


「フフッ♪ならいい…」


レイナは微笑みながら、幹太の前をスタスタ歩いていく。


「…あの」


「なぁに?」


「今も結界って言っていたけど、レイナさんはそういう魔法が得意なのかな?」


それを聞いたレイナは、立ち止まって振り返る。


「そういえば、殿下は私が村に魔法をかけたって知ってるんだっけ…?」


「えぇ、まぁ…」


「わかった。じゃあ休憩を兼ねて、あそこでちょっと話す…」


レイナはそう言って、近くにある倒木に腰を掛け、幹太を隣りに座らせる。


「ん〜と、何だっけ?」


「結界のこと?」


「そうだった…私は別に結界とかそういった魔法が得意なワケじゃない…」


「えっ!けど、アルナ村にかけた魔法もカリナ村にかけた魔法もかなり強力だったんじゃないの?」


「それは確かに強力だけど、他にも魔法は使えるから…」


「つまり…色々と使える魔法のうちの一つで、別に得意じゃないってこと?」


「うん。そう…」


レイナは村でもらった水筒の水を飲み、幹太に渡す。


「ありがとう。じゃあレイナさんはどんな魔法が得意なの?」


「これまでで一番深く研究したのは、長寿の魔法…」


「長寿?それって人の寿命を伸ばす魔法ってことかな?」


「うん」


レイナは肩かけバックから取り出した保存食的なパンをかじりながら、あっさりとそう返事を返す。


「えぇっ!それってすごくないっ!?」


幹太は思わずもらった水をぶちまけながら立ち上がった。


「殿下…冷たい…」


「ご、ごめんなさい!でも、それってこっちでも人類の夢的なことなんじゃないの!?」


「それは、たぶんそう…」


「ち、ちなみに、その魔法を使うと寿命はどのぐらい伸びるの?」


目の前のアルナそっくりな少女が、人類の夢を叶える存在だとは思いもしなかった幹太は恐る恐るそう聞く。


「まだ限界はわからないけど…」


「う、うん…」


「私は今、千才せんさいを越えてる」


「………」


レイナの答えを聞いた幹太は、しばらく言葉を失った。


『…う、うそ…だろ?』


それもそうだろう。

いま目の前にいる女性は、日本ならば中高生ぐらいにしか見えないアルナと、ほぼ同じ容姿をしているのだ。


「せ、千才って千年生きた千才?」


「うん。その千才…」


とそこで、幹太はあることを思い出した。


「あっ!じゃあ最初に会った時にアルナさんの親戚みたいなものって言ってたのって…」


「アルナはホントに親戚だけど、ここまでくるとさすがに自分でも、ご先祖って呼ばれちゃう存在なのかなって思って…」


レイナはなぜか恥ずかしそうにモジモジしながらそう言う。


「じゃあじゃあ、レイナさんの他にも長寿の人はいるの?」


「私ほどの人はもういない。うちの人も何年か前に亡くなった…」


「レイナさんの旦那さん?」


「うん。お互いにずっと一緒にいたかったから、私と同じ長寿の魔法を彼にかけた」


「待てよ…何年か前ってことは、旦那さんもかなりの長寿なんじゃ…」


「そうだった。私の方が年上だけど三つしか違わなかったから…」


「す、少なくとも九百九十何歳か…」


幹太はゴクリと唾を呑む。


「ち、ちなみに旦那さんより短かくても、長寿の魔法をかけた人はいるの?」


「夫ほどじゃないけど、私の周りの人間も少しだけ長生きになった…」


「あっ!そういや、アルナさんも長生きだって…」


とそこで、幹太は再びあることに気づいた。


「あ、あの、レイナさん…アルナさんが森の人はみんな長寿って言ってたんですけど?」


そう。

アルナは幹太に、自分の親戚だけでなく森の人はだいたい長寿であると言っていた。


「…?だから、私の周りの人は長生きって言ったよ…」


「周りって家族とか親戚って意味じゃないんかいっ!」


「そうだけど…?」


レイナはとても千歳を越えているとは思えないあどけない表情で、幹太を見上げる。


「それってひょっとして、周りの人みんなに長寿の魔法をかけたの?」


「ちがう。一人一人に魔法を使っているんじゃなくて、私にかかっている長寿の魔法の余波で、周りにいるみんなが長生きになるって感じ…かな?」


「なるほど…余波だけだから、ある程度までの長寿ってことなのかな…?」


「たぶん…」


「はぁ〜、やっぱり魔法ってすげぇ…」


幹太はため息をつきながら、木の隙間から夜空を見上げる。


『ムーア導師…もしかしたら初めてあなた以上の魔法使いに会ったかもしれません…』


幹太はそう思いながら、再びレイナの隣りに座った。


「だったら、俺もレイナさんの近くいるだけで長寿になったりする?」


「たぶん二、三日一緒にいたぐらいじゃ変わらない…と思う」


「…そっか」


幹太は微妙びみょうに嫌な予感がしつつも、そう言ってうなずく。


「じゃあさ、レイナさんは他にどんな魔法がつかえるの?」


「ん〜?たとえば…未来予知とか…かな」


「み、未来予知っ!?レイナさん、未来がわかるの!?」


「うん。一人を見るのにもすごく時間がかかるけど、ある程度なら…」


「そ、そりゃすごいな…」


「だけど、それは確定した未来じゃなくて、その時点での未来だから…」


「あ、やっぱり本人次第で変化はあるんだ?」


幹太はなぜかホッとした表情でそう聞く。


「本人だけじゃなくて、色々な要素で変化ががある…」


「そうなんだ。なら、大丈夫なのかな…」


幹太は確定した未来がもしつらいものだったとしたら、見られた本人だけでなく、レイナも辛いのではないかと考えたのだ。


「…そういやアルナ村に着いたら、すぐに結界の魔法って消せるの?」


「ちょっとかかるけど、ちゃんと消せる」


「良かった。しかし、こんな魔法をレイナさんに頼んだ人って、一体誰なのさ?」


「それは…」


「あ…ごめん。別に聞き出してその人をどうこうしたいとか、そういうワケじゃなくて…」


「タキタ村のタキタに、二つの村にかけてくれって頼まれた…」


「えぇっ!言っちゃうのっ!?」


「別にこれと言って口止めされたりしてないし…私、ちょっとアイツ嫌い…」


「あ、あぁ…そうなんだ。けど、嫌いなのになんで?」


「生きて行くにはお金が必要…」


レイナはそう言って、右手の人差し指と親指で輪をつくる。


「せ、世知辛せちがらいな…」


「うん。じゃあそろそろいこう…」


そうして二人は再び歩き始め、しばらくしてセ・ベッラ・アルナに到着した。


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