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いなくなること。

 俺は、俺はテストでなかなかの点数てんすうをとって、なんだかやる気にあふれてしまったので、ある魔法に必要な材料ざいりょうを買いに購買部こうばいぶへ向かっている。


 購買部こうばいぶと言っても普通の学校のように、食べ物や、飲み物、簡単な文房具ぶんぼうぐが売っているようなものではなく、さまざまなジャンルの専門店せんもんてんが多く、そろわないものはこの世にないものだけ!と言われるほどであり、学園関係者以外がくえんかんけいしゃいがいの人も大勢おおぜい立ちるほどのものだ。


「え~っと、いい土とたねが売っているところはっと?」


 俺は、そんなことをつぶやきながら、キョロキョロとしながら彷徨さまよっていると。


「おお、ロクショウなにか買い物か?」


 と低い声で、俺に話しかけてきた人物がいたので俺が振り返ると。


「あ、アトロナーヘ先生」


 そこには、見知った顔があった。


 せっかくなので俺はいい土が売っている場所でも聞こうかなと思い


「どこかにいい土とたねがある店知らない?」


 と言ってみると


「ああ、知っているぞ、しかし奇遇きぐうだなちょうど私もそこに行くところだったんだ。」


 という言葉が返ってきた。











 園芸用品専門店えんげいようひんせんもんてんラスプラピャ


 それが、アトロナーヘ先生が案内あんないしてくれた、お店の名前だった。


「ほえ~、いろいろなものがあるな~。」


 俺の村はいわゆる農村のうそんというものであり、それなりに農具のうぐなどたくさん見てきたが、しかしそれでもなお驚愕きょうがくせざるえないほどの多種多様たしゅたよう品揃しなぞろえであった。


「ああ、園芸えんげいっていうのは意外えんげいおくふかいんだぞ。」


 アトロナーヘ先生が少し自慢じまんげにそう言ってくる。


「もしかして、先生って園芸えんげい趣味しゅみなんですか。」


 俺がそう聞くと。


「ああ、まあな。」


 と答える。


「へ~、なんでまた。」


 正直、アトロナーヘ先生が草花を育てているところは想像できなかった。


「いや、最初はいろいろなものと別れるのにれるためにやっていたんだが、つづけているうちに習慣しゅうかんになってしまったんだ。」


 なんだか、さみしそうにアトロナーヘ先生はそう言った。


「先生、な~に老人ろんじんみたいな事を言っているの~。」


 俺は笑いながらそう言う。


「う、うん、まあな。」


 アトロナーヘ先生はバツが悪そうに答えた。


「あ、そういえば、なんで先生はアトロナーヘという名前の部分だけなの、苗字みょうじは?」


 今まで気になっていたので、これを機会きかいに聞いてみることにした。


「そ、そんなこと、どうでもいいだろ!」


 あわてるようにごまかしてくる。


 なんだか、そんな先生が可愛かわいかったのと、なんかみょうに怪しい態度に俺はついつい


「え~、教えてくれてもいいじゃ~ん。」


 と笑いながらに聞く、すると


 覚悟かくごめたように


「わかった、お前の知りたがっている事を教えたいと、私の秘密について教えたいと思う、だから買い物が終わったらちょっとお前の部屋へやにいっていいか?」


 かなり、真剣しんけんそうな、でも不安そうな、まるで今から告白でもする乙女おとめのような顔でそう言った。


「うん……まあ……いいけど。」


 なんだか、その雰囲気ふんいきに飲まれそうになりながらにそう答えると


「じゃあ、なんの種がしいんだ。」


 といつもの調子でアトロナーヘ先生は言葉を返してきたので

 

「あ、いや媒体行使マターのためなんで何でもいい。」


 となんのようか気にしつつ、いつもの調子でそう答えた。









 

 買い物もえたので約束どうり、アトロナーヘ先生を自分の部屋にまねき入れた。


「いや~、おごってくれて、ありがとうございます。」


 俺は、種と土と植木鉢うえきばちを奢ってもらったお礼を言う


「うん、まあ、気にしなくていいよ。」


 アトロナーヘ先生はぎこちなくそう言いさらにまくし立てるように続けて


「で、結局なんの魔法に使うんだ。」


 と言う


 俺は奢ってもらったんだからそれぐらい答えるのは当然とうぜんかと思い


「ああ、これは現幽夢隠種ヨンヘングデウといって、ひたいつむった目の模様もようきざんだ髑髏どくろの中になんでも良いから種を入れて土に埋めて毎朝水をやると豆をみのったが出てくるんだ、そしてその豆をくちにふくんだ間だけこの世から存在を消せる魔法だな。まあ、髑髏どくろ模型もけいでもいいんだけどね。」

 

 と説明すると


「へ、へ~、すごいな~。」


 とぎこちなく答える。


「で、先生の秘密って何。」


 と俺は、このまま、ダラダラと引き伸ばされないためにも、単刀直入たんとうちょくにゅうに疑問を口にする。


「そ、そうか~。」


 と引きっつた笑顔で答える。


「そうだって。」


 俺がそう言うと。


「はぁ~、ふぅ~。」


 とため息にも深呼吸にも聞こえる息づかいをしたあと言葉を続けた。


「実は、先生は虚獣ライビストなんだ。」


虚獣ライビスト!!」


 おれあ驚愕きょうがくのあまりこえを荒らげた。


 虚獣ライビストとは、太極両儀ユニヴァスから生み出される、この世ならざるものだ。


「ああ、だから今年でもう2517才だ。」


 随分ずいぶんすごい歳だな。

 

「あれ、でも先生のソウルは人間のだよな。」


 俺の報蟲アンチュイシオンでは、人間のソウルだったはずなので疑問に思いそう口にする。


 報蟲アンチュイシオンとは、太極両儀ユニヴァスから力をりない、ひとみずからの力で発動はつどうする魔法『英知魔法ノリッジ』の一つでありマナを感じるシックスセンスのようなものだ。


「ああ、それは私のソウルは限りなく人間に近いからなそう思うのも仕方がないだろう。」


「そう、なのか。」


 不安そうな目で


「なんか、変な事を言ってまないな、今、言ったことは忘れてくれ。」

 

 と言ってきた


「そんなこと、ありませんよ。」


 俺は笑いながらそう言った。


「だって、だまっていてもバレないのに俺に本当のことを打ち明けてくれたのは、俺のことを信頼しんらいしてくれたからだろ、結構けっこううれしいぜ」


 と、かなりクサい事を言う


「ホントに。」


 高い背丈せたけに似合わない、でも少しだけかわいい上目遣うわめづかいでそう言ってくる。


「ああ、ホントさ、それに俺も人間じゃないしな、おまけに先生と同じ不老不死ふろうふしだからな。」


 と、俺も自分が不老不死ふろうふしであることを打ち明ける。


 すると、アトロナーヘ先生が少し笑いながら


「ふふ、そうなのか、でも私は不老ふろうではあるが不死ふしではないぞ。」


 というので


「え~、それじゃあ、死なないように気をつけてくださいよ~、俺ひとりぼっちになるの嫌だからな~。」


 俺は半分茶化はんぶんちゃかすように言うと


「ああ、そうだな。」


 とアトロナーヘ先生は笑う。


「まあ、おれも完全な不死ふしではないんだけどね。」


 と言うと

 

「じゃあ、お互い死なないように気をつけような。」


 と答えてくれた。




















 しばらくの間、談笑だんしょうを続けるとアトロナーヘ先生がふとこんなことをつぶやく。


「私は、今まで何度も、このことを聞かたがしかし、絶対に答えることはなかった、でもなんでお前には答える気になったんだろう?」


 と先生は自分でも不思議そうに答える。


 もしかしたら、ながく生きれる者同士(つな)がるものがあったのかもしれない、なんてことをおもいながら

 

「さあな。」

 

 俺はアトロナーヘ先生からもらったエンドウの種を見ながらそう答えた。


 



 

 


 


 


 



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