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2―7 呼び出しの理由

黒龍から降りると城の中から続々と鎧を身に纏った兵士が出てきた。


その中で1人だけ赤いマントを羽織った人物が現れる。


「お疲れさまです、マルファス様」


そう言った人物はフルフェイスの兜を装備しており表情が分からないが声から男性であることが分かった。


「ああ、只今戻った。オルランドそれでフォルテ様はどちらに?」


フルフェイスの人物……オルランドは姿勢を正してから応える。


「フォルテ様は現在、軍の視察に出ているため演習場でドルムント将軍と一緒にいると思います」


マルファスは頷き「では私は客人をフォルテ様の元に案内する」と言うと周りに集まっていた兵士たちが敬礼し去って行った。


「ではついてきてください」


俺はマルファスの後をついて行く。


マルファスの後をついて行く道中に周りを観察する。


どうやら演習場に行くには城の中を通って行くようだ。


通路には絵や壺が一定の間隔で置いてあり無駄にゴチャゴチャと飾ってあるよりも見映えがよい。


通って行く途中途中で兵士がマルファスに向かい敬礼をする。やはりマルファスはこの国の中でそれなりの地位にいる者なのだろう。


そんな事を考えているうちに演習場に到着した。


どうやら今はグループごとに分かれた戦闘訓練をしているようだ。


そこから少しばかり離れた所に体格のよい兵士数名、明らかに装備の質が高い初老の男性、それにティアラを付けた赤毛の少女がいた。


マルファスの後に続きその2人の元に行く。


「ただいま戻りました。ドルムント将軍、フォルテ様」


マルファスはそう言うと頭を下げる。


「お役目ご苦労であった。マルファスよくぞ無事に帰ってきた」


と初老の男性。


「ご苦労であったなマルファス。してそこにいる者よ」


とマルファスを労ったティアラを付けた赤毛の少女呼ばれた。


「えっと……何ですか?」


「私がリベルドニア興国の女王であり魔王フォルテ・ヴィレイヌである。貴公の名は?」


「レイオットと申します」


俺は名前を答えて頭を下げる。


「わかった。では、レイオットよ行くぞ。マルファス、ドルムントお主等も一緒だ」


「「ハッ!」」


フォルテはそう言うと城の右側にある塔の方へ向かい歩き出した 。


その後をドルムント、俺、マルファスの順について行く。


そして塔の中に入り階段を登り屋上に出る。


屋上からは街全体が見渡せる。


フォルテは街の方を見ながら言う。


「ここは私のお気に入りの場所なんだ。街が見渡せ、望遠鏡を使えば民の様子が分かるからな」


お気に入りの場所か……やはり王になると気軽に街に出られないのだろう。


だからこそこの場所がお気に入りなのだろう街の様子を見ることができるから。


「私がマルファスに頼みハイ・エルフを捜していたのは覚えていて欲しかったのだ。この街をそして私と言う存在を」


どういうことかと俺が疑問に思っていると、フォルテは俺の方を向き言った。


「私は勝てぬかもしれんのだ兄上と姉上にな」


そこからフォルテが現在の魔王領について説明してくれた。時折マルファスとドルムント将軍の補足説明を受けながらだが。


簡単に言うと現在魔王領はリベルドニア興国対反リベルドニア連合の争いになっているそうだ。


この戦争の原因がフォルテが次期魔王に選ばれたのが始まりらしい。そもそもフォルテは正室の子ではなく妾の子らしく正室の子である兄や姉が次期魔王に選ばれなかったため戦争を引き起こした。


元々いた魔王の家臣の大半が裏切り兄と姉の方に行ったらしく、現在リベルドニアにいるのはフォルテに忠誠を誓った古参の者か新しく家臣になった者だけだそうだ。


何ともまあ……よくある遺産の相続問題みたいだ。厄介なのは身内だけでなく周囲も巻き込むことなのだが。


「呼ばれた理由は分かりましたが、それよりも力のある者を捜して士官してもらえばよかったのでは?」


俺は呼ばれた理由は聞けたので疑問に思ったことを言った。


その問いに対してフォルテは軽く笑って答える。


「誘えるわけあるまい……負ける可能性が高いのに」


フォルテの言葉にマルファス、ドルムントの両名は表情を暗くする。


「それに力のある者が領内にあまり居ないのだ。さすがにこればかりは仕方あるまい」


「姫様……我らが不甲斐ないばかりに」


「言うなドルムントよ……私はお主等がいてどれほど助かったことか…それに姫ではない女王もしくは魔王だ」


「ハッ!ありがたき御言葉このドルムント…魔王様に今一度不動の忠誠を誓います」


ドルムントはフォルテの前に跪いて頭を垂れる。


その光景を見つめるマルファスの表情は満足げであった。


そして俺は目の前の出来事をただ見ているしかなく入るに入れない状況にどうしたらよいか頭を悩ませた。

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