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禁忌の法術
大司教アンドロコフは、混沌たる世界の現状を憂い、教会最高の禁忌とされる法術を用いて大天使を召喚しようとしていた。
召喚に失敗すれば、天使は堕天使となる。
嘗て悪鬼の軍勢を率いて神に叛乱を企てた大悪魔サタン、堕天使ルシファーの様に。成功すれば、この悪徳蔓延る世界を浄化出来る。
その固い信念で、大司教は憑かれた様に魔方陣の準備を進めて居た。
教会は、世界の混沌に呑み込まれる様に腐敗が蔓延していた。
歪んだ欲望で年端も行かぬ幼児を蹂躙する者。金銭と引き換えに、どんな悪党にも免罪符を発行する者。
大司教は、自身の指導力の限界を痛切に感じ、禁断の法術の可能性に縋った。だが、その成功には欠かせないものが有った。どうしてもそれを手に入れる必要が有る。
大天使召喚の媒介となる生贄。穢れを知らぬ少女の魂。
毎週、大神殿に程近い教会に通う少女に目を付けていた。
大司教は、自身が悪魔に魅入られつつある事に気付かない。
静謐且つ陰鬱な大神殿の地下室で、黙々と儀式の準備に取り掛かっている。
礼拝参加者の名簿に目を落とし、少女の名前を探す。何項か後に目当ての名前を見出した。其処には、キャサリン・ローランドと記されていた。
大神殿の外は暗雲が立ち込め、雷鳴が轟いている。




