3話 仮面舞踏会と新たな出会い
数週間後、エミリーはクレアをツテに彼女の叔母に約束を取り付けついに私とエミリー夫婦は会員制のクラブへ合流する事になった。
派手目な格好で来るように言われていたので私達はこの日の為にエミリーとドレスショップに足を運んだ。
「このドレス、マーリン似合うわよ」
「エミリーも」
そう言って私達は色違いのドレスを着る事にした。
私はトップがネイビーで下に行くにつれピンクのドレス。
エミリーはトップが赤で下がイエローのドレスだ。
会場は一流のホテルの地下らしい。
「あら、あなた達がクレアが話していたマーリンとエミリーね」
合流したクレアの叔母、マーサ様は明るい方で横にいるのは彼女の
「婚約者よ。
このパーティーがきっかけで出会ったの」
そう話す2人は幸せそうだ。
「今日は付き添って下さってありがとうございます」
「いいのよ。
ほら、出会いの場って私達は親の勧めか社交界しかないじゃない?
こういった場所は勇気はいるけれど私も知り合いから紹介してもらったのよ」
なかなか良い出会いがない彼女を知り合いが連れ出して今があるのがマーサ様らしい。
「以外と公的な場所なのね」
つまり第二の出会いの場らしい。
「怪しいって言われるのはまあ「これ」を会場で付けなきゃいけないからなんだけど」
入り口でマーサ様が仮面を受け取り私達に示す。
「ええ、ここ仮面舞踏会なの?」
「そうよ。顔が見えないから先入観無しで相手と話せるのがこのクラブのいいところなの。
もちろん、舞踏会がないお食事会だけの日もあるわよ。でも今日はダンスも踊れるみたいね♪」
マーサ様は流石に行き慣れてるのか婚約者に飲みながらダンスするんじゃないぞと言われて分かったわよーとやり取りをしてる。
「エミリー達は大丈夫そう?」
「ええ。私達は飽きたら料理を頂くし」
早速、エミリー達夫婦は仮面を手に取り笑いあっている。
(仲が良くて羨ましいわ)
エミリーは家族の反対を押し切って親の勧めよりも社交界で出会って恋した彼と結婚した。
いつもは意見の合う彼女があの時ばかりには別人に見えた。
(親が反対する人にろくな人なんていないわよ)
エミリーには内心、結婚なんて止めて親の意見を聞いた方がいいんじゃないとアドバイスしたが彼女は
私を怒る事なんてしなかった。
(結果、私の方が浮気されるってね)
情け無い話だ。
そう、ひとしきり思い返してると後ろにも中に入りたい人がいたらしい。
マーサ様とエミリーはキャアと私の後ろに並んだ彼に小さい黄色い声を浴びせた。
私は急いで手続きを済ませて彼に次を譲る。
マスクを装着し、中に入ろうかしらとエミリー達を先に会場に入らせると何やら私の後ろにいた彼がホテルの従業員に入室を断られていた。
「すみません。お客様。当会場は会員制なので他の会員様の紹介が必要になります」
「そうだったのか」
仕方ないと残念そうに彼は綺麗な顔を下に向けていた。
(あらら、彼もこの場所が初めてだったのね)
なんか意外だった。
黒い衣装と髪、マントが似合ういかにも常連みたいな風格と威厳がある顔だからテッキリ彼ならホテルマンに顔パスで入れそうな雰囲気なのに。
(もったいないわ)
そこで私はらしくない事を思いついた。
「あの、だったら私の紹介って事で入れないかしら?」
いつもだったら放っておくのに紹介者として私は名乗りを挙げたのだ。
彼は綺麗な顔をポカンとさせ
「良いのか・・・?」
と私とホテルマンを交互に見る。
「良いかしら?」
ホテルマンに聞くと
「そういう事なら・・・」
と了承をもらい彼もすぐ会員になれ、彼にお礼を言われた。
「かたじけない」
「大袈裟よ。私も今日が初めて知り合いに紹介してもらったの」
「そうなのか・・・。どんなものかと思って一度入ってみたかったんだ」
「そうなの。今日は舞踏会もあるらしいのよ。
楽しめると思うわ」
入りましょうと彼に声を掛けて中に入るとそこには本当に仮面を付けた紳士、淑女だらけだった。
まだダンスは始まらなくみな、会場で談笑しているようだ。
「ダンスなんて久しぶりだ。
踊れるだろうか」
側にいる美麗なマスク男は顔に似合わず弱腰だ。
「大丈夫よ。
あなた、手足が長いから。
そうだわ。私も久しぶりにダンスするの。
よかったら相手になってくれない?」
「何から何までかたじけない」
「堅苦しい人なのね」
ズバッと言ったからか彼は少し落ち込んだように見えた。
(やばいわ。私、こう言った場所久々だったから)
社交界マナーを必死に教わって私から誘うのははしたないのに。
やらかしたわと思っているとワルツが会場に鳴り出した。
側にいる黒い美麗なマスクの彼と手を組み久しぶりにダンスをする。
ダンスは相手を変えて終わり中々楽しかった。
だけどー
(久しぶりに男性から声を掛けられるけれど正直、疲れるわ)
エミリーやマーサ様達は楽しそうだけど、相手探しの私は疲れる。
(そういえば社交界に行っていた時も楽しみにしてたけどいつもこんな感じだったわ)
久しぶりの感覚に辟易している。
(そういえば彼も会場にいないわ)
頼んで紹介人になってダンスをした美麗なマスクな彼は見えない。
(帰ったのかしら?)
取り巻きにちょっとこの場を離れると伝えホテルの中庭にあるガゼボ(西洋のあずま屋)に行くと「彼」
がいた。
彼の周りは神秘的に光りが舞っていて、綺麗なものを見た気がした。
(蛍かしら?)
と思っていると彼は私に気づき一礼をした。
「すまない。そなたが招待してくれたのに。どうも
疲れてだな。もう少ししたら帰ろうと思う」
「そうだったの。お邪魔をして悪かったわ」
彼を見るとグラス片手に一人飲みをしてるらしい。
会場で飲み食いできなかった私は
(いいな)
と思ったと同時
ぐう~っとお腹が鳴った。
「ごめんなさい!」
(なんでこんな時に!)
紳士の前で恥ずかしい!
そう恥じていると
「そなた、酒は好きか?」
そう彼に聞かれてはいと答えた。




