昆虫との会話
7月。学校が夏休みに入った頃である。
小学生が母親に連れられて店にやって来た。
神耶氏の妻(麗人)が応対する。
麗人「ま〜あ、どうしました?」
母親「先生、困りましたわ。ウチのヨシオ君が蟻さんのお話が分からないんですって」
麗人「アリって、虫さん?」
麗人は二人を応接室に案内する。
案内しながら、
麗人「ソレって夏休みの宿題?」
ヨシオ「そう。将来、そっちの方に進みたくて」
麗人「凄〜い! 蟻さんて面白いわよ〜。いろんな事話してるのよ」
ヨシオ「そうなんですか? 蟻さん、僕の顔を見ると一生懸命、話しかけてくるんです。でも何を言ってるのか分からないんです。僕は甘いお菓子を見せるんですが、ソレじゃあないみたいなんです」
麗人「お〜ホホホ。ウチのお店に蟻さんとお話しするDVDが有るわよ」
ヨシオ「えッ! そんなのが有るんですか?」
麗人「有るわよ。蟻さんは触覚とお尻を使ってお話するの。今、そのDVDをヨシオ君にお見せするわ。
麗人はピパラス紳書の置いて有る本棚の下の金庫を開ける。
各種昆虫語のDVDを取り出しヨシオに見せる。
麗人「コレよ。今、蟻さんを連れて来るわ」
麗人は奥の部屋に入って行く。
しばらくして、蟻の入った小さな瓶を持って出てくる。
ヨシオを見て、
麗人「ほら、ミカちゃんよ」
ヨシオ「ミカちゃん? この辺では正式な名前はミカド大アリって言ってるわよ」
麗人はテーブルの上に蟻の入った瓶を置いて、DVDを機械にセットする。
ボタンをオンにするとDVDが回り始め、蟻の映像が出て来る。蟻は蟻同士で何か話して居る様だか、スピーカーから音声は出て来ない。
ヨシオ「何にも聞こえませんよ?」
麗人「シッ! 瓶の中のミカちゃんを見て!」
ミカド大アリは動きを止めて触覚を立てている。
ミカド大アリと映像の間に小さなマイクロスピーカーを置いた。
そして、
麗人「ヨシオ君、向こうの部屋に行きましょ」
ヨシオ「えッ? 何ですか?」
麗人「向こうの部屋でヨシオ君の脳をバージョンアップします。とりあえず、昆虫の会話かわ分かる様にします。ソレだけで良いでしょう?」
麗人はヨシオの母親の顔を覗く。
母親「あッ、え、ええ」
ヨシオが反発する。
ヨシオ「嫌だ! 会話したい。僕はたくさんの蟻さんと友達に成りたい。会話が出来る様にして欲しい!」
麗人「お母さん、どうします?」
母親「困ったわ〜。お値段は高いのでしょう」
麗人「少し高いけど、将来のヨシオ君の事を考えたらお安いと思いますわ。昆虫博士に成りたい様だし」
母親「・・・。じゃ、お願いしちゃおうかしら」
麗人「ありがとうございます。ヨシオ君の脳を変えますので10分ほどお待ち下さい」
ヨシオ「ヤッター!僕は天才に成れるぞ」
つづく




