蟻の話しを聴く
麗人とヨシオが別室に入って行く。
麗人「ヨシオ君、そこ個室に入って」
ヨシオ「はい」
麗人「入ったら、椅子に座ってそこに置いてある硬い帽子を被って」
ヨシオ「・・・コレで良いですか?」
麗人「そう」
麗人は個室に入って上から垂れ下がる数本のコードをヘルメットに繋ぐ。
個室を出て応接室に行く。
応接室のスイッチを入れる。
モニターにヨシオの脳が映し出される。
母親は、驚いた表情で壁のモニターに映し出されるヨシオの脳を見ている。
麗人「じゃ、先ずヨシオ君の一つ目の要望、蟻さんのお話しを聞く。を始めるわよ」
麗人はテーブルの上のカーソルで三半規管から前提神経脳幹、脳幹、小脳へとポインターを進めて行く。
麗人「ほら、このラインで声は脳に伝わって脳内で理解の段階に入るの」
母親「凄〜い!」
麗人「人間の三半規管では蟻さんの声は反応できないの。音のヘルツ数が限界を超えてるの。だから、三半規管にもう一つ規管を増やし、四半規管にしてみるわ」
母親「ええッ! 手術するのですか?」
麗人「しないわよ。細胞組織を見つけて、その細胞からもう一つ規管を作っちゃうの」
母親「ウソ〜、そんな事出来るの?」
麗人「普通は出来ないわ。神の摂理に反するから。でも、ここはホモサピエンスの先祖、人間を創った神さま達の集まる所なの。だから、オプションでバージョンアップ出来るのよ。ウフフ」
母親は気持ち悪そうに麗人の全身を見る。
麗人「ちょっと待って。今、四つ目の細胞組織を見つけて、三半規管の隣りにくっ付けちゃうから」
麗人はポインターを前庭神経組織の一部に当てて内部をクローズアップして行く。
麗人「あ、コレだ。今、この神経細胞を伸ばすわ。い〜い・・・」
麗人はテーブルの上のコントロールボックスのバーを少しづつ、徐々に上げて行く。
壁のモニターに、大写しに成った新しい規管が前庭神経組織から伸びて行く。
麗人「はい! 四半規管が完成〜ッ!」
母親「えッ! もうこれで、蟻さんの声が聞こえるのですか?」
麗人「ちょっと待って。今、ヨシオ君を連れて来るわ」
ヨシオが別室から応接室に置かれたDVDを見る。
ヨシオ「・・・あッ! 聞こえる! お母さん蟻さんのお話しが聞こえるよ。あと、30分したら雨が降って来るからみんなに伝えろ! って言ってる」
母親「ウソ〜、本当なの?」
ヨシオ「ウソじゃない。巣の中でいろんな話しをしている」
麗人「そう、良かったわね。で、次は蟻さんとのお話しね」
つづく




