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わたしを使徒か何かのように敬うようになった修道女長が、わたしに<祈りの書>の原本をゆだねるようになったのは、当然の成り行きだった。
聖櫃から恭しく取り出された古びた黒いその本の表紙には、金の箔押しで
DETAIL
と刻んであった。
「これも、見たこともない文字でしょう? こちらは種類が多すぎて、なかなか解析が進んでいないの。
滅多な者に触らせるわけにもいかないし……」
言いながらも修道女長は、わたしにはこれが読めるのではないか、と期待を込めた目でわたしを見てくる。
──読める。実際。前世でさんざ見てきたアルファベットの箔押しを、震える指でわたしはなぞった。
「先人たちが読み込んで、試してみることで、少しずつ祈りの奇跡を見つけてきた。でも、こちらの記号については、唱えてみても何も起こらないのよ、私の考えでは、これは祈りではなくて福音なのではと……」
修道女長の言葉は、もうほとんど頭に入ってこなかった。地獄の釜を開けるような気持ちで、分厚い皮の扉を開く。
これが普通の本でないことは明らかだった。
羊皮紙で出来た真っ黒いページに、白い文字が浮かび上がった。
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[GAME TITLE]
私の王子様、選び放題?! 恋する☆彡 ロイヤルアカデミー
Version 1.256.5
Developer: ████████
Publishe r: ████████
Release Date: 20██/██/██
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わたしは声も出せずに、しばらく画面を見つめていた。




