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神への祈りは0と1とで出来ている-追放悪役令嬢は修道院から世界を書き換える-  作者: さいべり屋
4: ′ 井戸 ′

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21/33

██████


先触れも寄こさずにやってきたせいで、わたしは修道服のまま。なんのもてなしも用意できていなかった。


心なしか疲れた様子のリーンハルト殿下は、修道女長の挨拶に一瞥もくれず、つかつかとわたしに歩み寄った。


「なにやら面白いものを作ったそうだな」


前置きも無しに言われ、わたしの身体がぎゅっと強張った。


──もう王都まで知れ渡っているのか。


「エルネスティーヌ、ご案内して差し上げて」と、喜色満面の修道女長に促され、震えそうな足取りで殿下を井戸まで先導する。


「酷い顔だ」


断りも入れず、化粧気のない頬に触れられた。


「あまり、張り切りすぎるなよ」


という言葉と共に、リーンハルトの掌はすぐ離れたが、わたしはしばらく顔も上げられなかった。


──石鹸のときも。


──蒸しパンのときも。


殿下はこうやって現れた。


「悪役令嬢がいい子にしてるか見張りに来ただけよ」


あの時アンヌにはそう言ったけれど、本当に殿下が見張りたかったのは。



──わたしが、「何を作っているか」?



「……懇意にしている男がいるそうだな」


わたしは弾かれたように顔を上げた。


「違うんです! 井戸は、わたしが……! 拓人にはただ、職人として協力を依頼しただけで」


「……ならば、良い」


殿下は頷いた。


「しかし、王都はまだお前を忘れていない。──あんまり目立ちすぎるなよ」


そう言い残して去っていく王家の馬車を見ながら、わたしは拓人の言葉を思い出していた。




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