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猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める  作者: 遥風 かずら
アフターストーリー 3

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ぺルーシャ亭のお使いクエスト 2

 ルルさんに送り出されたものの、役場とされる場所がどこにあるのか分からないまま外に出てしまった。


 あまり大きい村じゃないし、分からなければ猫さんに訊けば何とかなるはず。


 そう思いながら宿屋から歩き出そうとすると――


「――噂のトージおじさんはあんたかにゃ?」

「どう見ても人間でしかもおじさんだから、これがトージだきっと」

「へ?」


 足下に二匹の猫たちがすり寄りながら尋ねてきた。宿屋の近くにいる猫なのか、二匹とも真っ黒いペルシャ猫でゴージャスな毛並みをしている。


 それにしても噂になっているとは驚きだ。レイモンと行動していた時はあまり関心を向けられている感じはなかったのに、やはり人間は目立つんだな。


 コムギさんがいれば猫の守りが効いていた可能性があるが、人間だけで行動するとこういうリスクがあるわけだ。


 しかし、おじさんを連呼しなくてもいいのに。


「どうなんだ? トージかお前」

「トージおじさんにゃ?」


 猫さんたちに道を訊こうと思ってたし、この子たちに訊けばいいか。


「そうですよ。俺がトージです」


 ここは腰を低くして教えておこう。


「やっぱりそうか。トージ、こっちへ来い!」

「トージおじさんを連れて行くにゃ」

「連れて行ってくれるのかい?」


 俺が聞く間もなく、二匹の猫たちは俺をどこかに誘導するかのように先へ先へと進み始めた。どこに連れて行くのかは不明だが、俺に用があってのことみたいなので黙ってついて行くことにする。


 ミネット村を歩き回っていなかったこともあり、村の中のはずなのに所々に木々のトンネルがあったり下へ続く段差があったりと、猫であれば自由に動きたくなるような散歩道が至る所にある場所だ。


「トージおじさん、着いたにゃ」

「その中だぞ。入れ、トージ」


 猫たちが案内するその場所は、下り坂になっている先に扉が見えている。


「えっと、ここは?」


 男の子らしき猫さんに訊いてみると――


「――入れ。すぐ分かる」


 教えてくれるはずもなく、ただただ中へ進むことを促された。女の子らしき子は黙って俺が動くのを待っている。


 いくら何でもここが役場ではないと思うが、とにかく扉を開けて中へ入ることに。すると、中にいたのは沢山の子猫たちと綺麗な毛並みをした母猫らしき猫の姿だった。


 外で待っている猫たちは彼女の子供たち、つまりペルシャ猫一家か?


 地面よりも下にある家のおかげか、人間の俺でも立てるくらいの天井の高さをしている。


「トージおじさんですね? どうか、わたしたちが喜ぶ美味しいものを食べさせてください。おじさんなら可能だと聞きました」


 ……おじさんだけど連呼しなくても。


「え、美味しいもの……? それはつまり、俺が何か食べさせてくれるからここに呼んだとかですか?」

「……あの子たちから聞いていませんか?」

「ま、まぁ……」


 とにかく俺を連れてきたかっただけみたいだな。


「それはそれは、大変失礼を。ですけれど、助けてほしいのは本当なのです。見ての通り、わたしには外の子らの他にこの子たちを育てなければなりません。しかし満足いく食事をとるのは簡単ではなく……」


 父親の猫さんはどこに――なんてことは聞かないでおこう。


「……そうでしたか」


 移動販売スキルが()()()()使えない状態で猫さんが満足のいく食事を出すとなると、亜空間収納している物から何かを出すしかない。


 しかし、幸いにして魔導ボックスは直せるから注文は出来るはず。


「おじさ……いえ、トージさま。お願いします」


 お腹を空かせているのかミーミーと鳴いている子猫たちの前で、母猫さんは俺をじっと見つめてくる。


 お使いクエストの前に別件が発生するとは思わなかったが、猫好きの俺じゃないとやれない依頼だし、断るわけにはいかないな。


「分かりました。これから少し大きな箱を出すので、邪魔にならない場所を確保してもらっていいですか?」

「大きな箱……では、扉のすぐ横にお願いします」

「分かりました」


 人魚たちの魔導ボックスであったが、人魚専用というわけでもないので俺は魔導ボックスをすぐに取り出し、扉の横に出してみせた。


「それは?」

「ええと、この箱を使うと食べたいものが出てくる予定なんですよ」

「……まぁ!」

「子供たちの分も含めて、えっと――」

「――わたしはリプルと言います。お願いしますね」


 まずはレストア――と。


 手をかざしてみると、修復は成功したようでタッチパネル画面が現れた。


【注文ニャ?】


 あれ、猫バージョンになってる?


【注文希望:母猫と子猫たちが満足する猫のご飯】

【…………しばらくお待ちくださいニャ】


 そういえば料金はどうなってるんだろうか。通常なら銅貨とか銀貨を求められそうだけど。


【ルゴー海域の新鮮な魚加工品を注文完了ニャ! 外で受け取り? 直接?】

【直接希望】

【徐々に完了ニャ! またのご利用お待ちしておりますニャ】


 あれ、代金は求められないのか?


 ……というか、直接ってどういう意味なんだろうか。外じゃない方が良さそうだから直接にしたけど。しかもルゴー海域って、人魚たちのいる海域じゃないか。


 パネル画面を見てみると、注文完了になっていて画面がそのまま固まっている。指で操作しようにも受け付けなくなっているようだ。


「まぁっ! まぁまぁまぁ!! なんて美味しいの!! 口の中に広がる柔らかな旨味と歯応えはとてもとても美味ですわ!」


 ……などとリプルさんはもちろん、子猫たちも口を一所懸命に動かして何かを味わっている。


「美味いぞ、美味い! トージありがとう!!」

「美味しいにゃ~やみつきになりそうにゃ~」


 外にいる二匹の子たちからも歓喜の声が聞こえてくる。


「あ、あの、一体何を食べているんですか?」

「この味はマグロフレーク、それとマグロジャーキーに間違いありませんわ。あぁ、本当に感謝しかありません!!」


 あくまで猫さんたちの口の中でしか分からないことだが、マグロの加工品を注文したらしい。しかも口の中に直接。


 ルゴー海域の新鮮なマグロなら美味しそうだ。


 夢中になって食べ続けているようなので、魔導ボックスを亜空間収納にしまおうとすると、タッチパネル画面が変化し始めた。


 画面をよく見ると、そこに書かれていた文言は――


【――支払いはシャムガルドに請求されました】


 魔導師シャムガルドにツケたという意味なのか?


 いずれにしても母猫のリプルさんと子猫たちを満足させられたし、俺が気にすることじゃないな。


「トージさま。大変美味しく頂きました。合格、合格です!」

「へ? 合格?」

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