表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める  作者: 遥風 かずら
アフターストーリー 3

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

93/102

魔導装置を置くだけの簡単な旅?

 ハーゼは持てるだけ持ってきた魔導装置を俺に手渡してきたので、すぐさま魔導装置を亜空間収納で片付けた。


 小屋の中に移動すると、植木鉢が並ぶ机の上にハーゼは魔導装置を置いてみせる。


「……で、これをこうして置けば……」

「えっ? 卓上タイプ?」


 触った時に特に違和感は感じなかったが、机の上に置いた魔導装置は支えるものがなくてもその場に自立し、直後に中央部分の宝石が回転し始めた。


 回転が速くなるにつれて宝石が光り出すようで、俺やハーゼが触れなくても勝手に動いている。 


「うむ。卓上型なんじゃよ! 魔導の力を有しているおかげでどこに置いても自立的に固定してくれるものなんじゃ」

「……つまり、場所を選ばないと?」

「そうじゃな。だからといって、何もない道端に置いたところで何の意味もないんじゃけど」


 遺跡から見つけた魔導器に手を加えたものだから何かしらの力が働いているわけか。それに、どこにでも置けるからといって森の中とかに置いても自分たちが困るだけになる。


 そうなると魔導装置を置く場所は、必然的に便利な場所に置くのが理想ということになるが。


「……よし。これで研究室と小屋が通じたぞ。小屋の外のは念のためそのままにしておくか」

「通じた?」

「うむ! 魔導の力が安定したからの。これを使うと、一瞬でわしの遺跡研究室に飛べるんじゃよ」

「えぇっ? そんな便利に!?」


 これなら魔導車がなくても各地に移動出来るようになるのか。


 ……いや、そんな甘くない気がする。


「ここから各地に飛べるようになるには、もしかしなくても現地に設置しないと駄目ですか?」

「ん? 何を言うかと思えばそんなの当然じゃろ。だからレイモンの小屋に来て設置してるんじゃぞ? ここを拠点にした方が何かと都合がよいからの」


 魔導車じゃないと行けない場所もあるのに、まさかの自力設置とは。


「えっと、ちなみにレイモンは帰ってこないんですか?」

「あやつなら研究室に籠っておる。わしと同じで元々籠るのが好きな奴じゃからな……」

「そうなるとレイモンの代わりにハーゼが一緒に行動を?」

「ん? 行くのはトージとコムギとクウだけじゃぞ」


 レイモンと同様に外を出歩くタイプじゃなさそうとは思っていたけど、やはり一緒に行くつもりはなかったんだな。


「あぁ、それとトージの家も拠点にしたいから設置しておいてほしいのじゃ。それじゃあの~」

「それは構いませんが――って、えぇっ?」


 驚く間もなくハーゼは魔導装置を使っていなくなっていた。


 ハーゼが触れていたのは魔導装置の先端部分だったが、恐らくそこに触れると転送装置が働くらしい。


 しかしハーゼがこうもあっさり戻ってしまうとは。俺は思わず頭を抱えながらその場にしゃがみ込んでしまった。


「ウニャ? どうしたのニャ、トージ」


 俺が頭を抱えていると、モフっとした手が置かれたかと思えば、彼女は心配そうに俺を覗き込んでいる。


「俺は大丈夫だよ。ただ、ハーゼがあっという間にいなくなっちゃって呆気に取られてしまっただけなんだよ」

「魔導師は大体自分勝手だからニャ~。ここへは最初からトージに任せる為だけに来たみたいニャ。だから気にしなくても大丈夫ニャ」

「うん、ありがとう」


 コムギさんの言うように、ハーゼの勢いはそんな感じだった。レイモンが一緒に行動していたせいか、同じ感じで考えていたというのもあるけど。


「ところで、クウは?」

「クウなら外にいるニャ。小屋の用事が済んだらお家に戻るニャ?」

「そうだね、魔導装置を置く場所でもあるし戻ろう」

「ウニャ」


 コムギさんと小屋の外に出ると、猫の姿に戻っている退屈そうなクウが俺にすぐ気づいて駆け寄ってくる。

 

「トージ~! おいらもまた一緒に行っていいんだよな~?」


 そう言いながら俺の足にすりすりとくっついてきた。これを見るとクウはやはり猫だと思える。


「もちろん。でも、いいのかい?」

「何がだ~?」

「クウは故郷を目指しているんだったよね。それなのに俺と一緒に行っていいのかなって」

「んん~?」


 俺の言葉に、クウは一瞬何を言われているのか分からないといった感じで首を傾げて見せる。


 だが、コムギさんが尻尾の動きを小屋に向けたことですぐに気づいてくれた。


「あ~! ダンジョン探検のことだな! 故郷は逃げないから平気だぞ。おいらは全然気にしてないぞ~」

「そうなの? ダンジョンどころか、これからうんと遠くに行くことになるんだけど、それでも大丈夫なのかい?」

「おいらもトージのそばにいるのが好きだからな~。だからハーゼに言ってここに連れて来てもらったんだ。それに、コムギだけに任せるのは心配だぞ。だから大丈夫だぞ~」


 じっとしてるのが苦手そうなクウのことだからそんな気はしてたが、その通りだったな。


「うるさいニャ!!」

「何を怒ってるんだ~?」


 ……などなど、クウはコムギさんを無自覚に怒らせているが、俺のことを気にしてくれているみたいだ。

 

 そうなると、任されてしまった以上は魔導装置を置くだけの旅に行くしかないか。


 魔導車でしか行けない場所は後で何とか考えるとして、まずは――


「――コムギさん。それとクウ。とりあえずメルバ漁村に戻ろう!」

「はいニャ~!」

「行くぞ~」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ