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猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める  作者: 遥風 かずら
アフターストーリー 2

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メルバ漁村にテレポートしちゃったニャ!?

 俺とコムギさんは、壁側に整列された魔導人形に歓迎されながら、迷うことのない教会の奥へ向けてゆっくり歩きだした。


 魔導人形はその一体一体がとても精巧に出来ているものの、動き出す気配はまるでなく、あくまで観賞用として並んでいるようだった。


「う~む……それにしてもよく出来てるね」

「魔導人形のことニャ?」

「うん。これだけの魔導人形を作れる技術がある魔導師がいたなんて、正直言って驚きだよ」


 驚きと言えば、ハーゼというエルフは魔導人形よりも綺麗に思えた。エルフをあまり見ないからかもしれないが、自分の生き写しみたいなものを作っているのは自分を美しいと自負しているのだろうか。


「さっきのハーゼは本物じゃなかったニャ」

「え? というと?」


 挨拶専用の魔導人形が違うのは理解したけど、さっき呼びにきたハーゼも実は魔導人形だった?


「ニャフフ。それは研究室に行けば分かることニャ」

「そ、そうなんだ」


 コムギさんが答えを明かしてくれそうにないまま教会の一番奥まで進むと、分厚い鉄扉が俺を出迎える。


 てっきり全開で歓迎してくれるかと思っていたが、鉄扉は固く閉じられていて開く気配がない。


「コムギさん。この鉄扉はどうすれば開くのかな?」

「あれれ? おかしいニャ……私が入った時は開けっぱなしだったはずニャ。それなのに完全に閉まっているなんて変ニャ……」

「……どうしようか」


 鉄扉は特に取っ手がなく、引くことが出来ないので押すだけなのだが、俺の力では全く反応がない状態だ。


 この鉄扉が故障といった状態ならスキルで何とか出来たかもしれないが、そうではないようで何も起きない。


「ウニャ~……」

「すみませーん!! ハーゼさん、レイモンさーん! 鉄扉の前にいるんですが~!!」

「……無駄ニャ」


 猫のコムギさんは鉄扉をどうにかする力はないようで、俺と一緒に鉄扉を黙って見つめるしか出来ないでいる。


 そんな状態がしばらく続く中、コムギさんがどこかに向かって大きく目を見開いていることに気付く。


「コムギさん、どうかしたの?」

「聞こえるニャ! こっちニャ!!」

「えっ?」

「早く早くニャ~!」


 そう言いながら、コムギさんが鉄扉とは真逆の教会出入り口側に向かって駆けだしたので俺も慌ててついていくと、整列する魔導人形の間に隠し扉のようなものがあった。


「扉の近くの魔導人形から音が聞こえてくるニャ」

「あれ、扉じゃなくて?」

「トージ。近くの魔導人形に近づいてニャ」


 立ち並ぶ魔導人形に仕掛けがされているようで、コムギさんはそこから音を拾ったようだ。


「とりあえず口元に近づいてみるよ」


 単なる魔導人形なのに見た目がハーゼに似ているせいか何となく緊張してしまいそうになるが、魔導人形が動き出す気配がないので口元に耳を近づけてみた。


「……う~ん?」


 だが、近くの魔導人形を含めても口元から音が聞こえてこない。もしかしたら周波数的なものかもしれないとすれば、俺には全く聞こえないことになる。


「ハーゼの声ニャ!」

「え、声が?」


 コムギさんははっきり聞こえているのか俺にアピールしてくるが、俺には全く聞こえてこないので、音を出しているとされる魔導人形を持ち上げて移動させたり試してみることに。


 動かした魔導人形はそれほど重くはなく、俺の力でも簡単に持ち上がった。並んでいた魔導人形の位置を変えると床面が光ったが、だからといって特に変化は起きなかった。


「ごめんね、コムギさん。年のせいか、俺には音が全然……ん?」

「――トージ、トージ……どこだ~?」


 年齢のせいで聞こえないのかと思っていると、動かした魔導人形の耳飾り付近から微かに音のような声のようなものが聞こえてくる。


「クウの声ニャ」

「そういえばそうかも」


 耳飾りを気にしてよく見てみると、何かの宝石で出来ていてそこから音が漏れ聞こえてくるようだった。


「……魔導人形002付近から反応があるみたいじゃな。お~い聞こえるか、トージ」

「その声はハーゼですか?」

「おぉ。トージの声が聞こえる! トージ。わしの声が聞こえるのなら、その魔導人形の耳からリングを外すのじゃ」

「え、リングを?」

「魔導人形から外してトージの耳につければ、もっと鮮明にわしの声が聞こえるようになるはずじゃ!」


 何が何だか良く分からないものの、言われた通り魔導人形の耳からリングを外してそれをそのまま自分の耳に着けてみた。


 すると。


「トージ。わしの声がはっきり聞こえるじゃろ?」

「た、確かに! これは一体どういう?」

「それはじゃな……」


 ハーゼの説明を聞こうとした時――


「――ニャニャニャニャ!? トージトージ、大変ニャ!!! 私の全身が光っているニャ!!」

「えぇっ!?」


 コムギさんの全身は確かにまばゆい光に包まれていて、思わず目をつぶってしまうほどだった。


 コムギさんがいるところは確か、魔導人形が立っていたところだ。魔導人形を持ち上げて動かしてしまったが、もしかして何らかの仕掛けが働いたのだろうか。


「トージトージ! 助けてニャ~!!」


 コムギさんに助けを求められた俺は、すぐさま光っているコムギさんを抱っこして様子をみることに。


「……ふぅ。もう大丈夫だよ、コムギさん」

「まだニャ……まだ光が収まらないニャ……ニャニャニャ!?」

「むむっ!?」


 地下全体が揺れ出した?


 それとも、俺とコムギさんだけが?


 そうして激しい揺れに耐えながら抱っこしたコムギさんとともに目を閉じて耐えていると――


「――おや? トージじゃないのか? はっはっは、コムギさんを抱っこしながら散歩してたのか?」


 ……この声、どこかで?


 眩しくて目が開けられずにいたが、少しずつ目を開けてみるとそこは――


「――ニャ? ここはメルバ漁村ニャ?」

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