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猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める  作者: 遥風 かずら
アフターストーリー 2

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地下都市暮らしの魔導師ハーゼ

 ――う~ん……なんて、なんてなんて柔らかい毛ざわりなんだ。


 これぞ至高のモフモフ!!




 レイモンと手を繋ぎながら、俺はコムギさんが向かったとされる地下都市の教会に足を踏み入れた。


 そこで見たのは大量の魔導人形が両側の壁で整列する光景だった。だがその直後、俺は強い魔導の力にあてられてしまう。


「ぬっ? どうした、トージ。むむむ? お、お前は――!」


 レイモンの声が聞こえることがないまま、俺は教会の冷たい床に倒れ込んだ。

どうやら猛烈な眠気によって意識を閉ざしたようだ。


 深い眠りに入ったのもつかの間、俺の顔や手足に感じる感触は久しく触れていないモフモフな猫の毛ざわりそのものだった。


 目の前が真っ暗でまるで見えないが、俺の疲労回復には必要なことなのだと自分に言い聞かせ、存分にモフりまくることに専念。


 魔導の力、あるいは教会で待ち受けていた魔導師によってヒーリングされている可能性があるが、目を開けられるようになるまでは思いきり満喫させてもらう。


「おいら、よく分かんないけど、トージは体力がなくてもおいらたちに触れる時だけは強くなれるんだな~。おじさんなのに感心するぞ」


 そんなクウの背中にはトージの手が伸びていて、やや強い力で撫でている。

 

「トージには癒しが必要だったのニャ。体力がないのは仕方がない話ニャ。クウにはそれが分からないのニャ?」


 自分よりも先にクウに手が伸びてしまったコムギは、クウに首を傾げた。


「難しいのは分からないぞ。でも、そうだな~そんなトージだからこそおいらも気を許してしまうかもしれないな」


 そう言いながらもクウはトージの手から離れ、魔導師たちがいるとされるところに駆けていく。


「……ウニャ。トージの手がようやく解放されたのニャ」


 クウに触れていたトージの手はモフモフを求めているのか、冷たい床にうつ伏せになっている状態であちこち動いている。コムギはそんなトージの顔にくっつき、トージの手を自分の腰に乗せてあげることに。


「……う~ん? モフ……モフモフモフ?」


 未だ目覚めていないながらも、トージの手は上手くコムギの腰付近に着地して撫で始めた。


「……お部屋ではいつもトージに抱っこされていたニャ。でも今は、それが出来なくなっていたニャ。きっと、今のトージには私との触れ合いが重要だったに違いないニャ。だから思う存分甘えてニャ~」


 コムギの腰付近にはトージの手が伸びていて、リズミカルな腰トントンが繰り返されている。


「フニャ~気持ちいいニャ~……そ、そろそろいい加減にしてほしいニャ」


 そうしてしばらくトージの好きなようにさせていたコムギだったが、腰トントンに終わりが見えそうになかったので、トージの頬を軽く舐めて起こすことにした。


「……モフモフモフモフ……うっ?」

「ふぅっ、いい加減にするニャ! トージ、いつまで寝てるのニャ?」

「ざらっ? この感触は……コムギさん!? え、あれ?」

「トージはずっと眠っていたのニャ。何も覚えてないのニャ?」


 む、むぅ。


 暗闇の中でひたすらモフモフしまくっていたのに、まさかコムギさんの腰をトントンしまくっていたとは。


 どうりで少しだけ機嫌を損ねてるわけだ。


「ふふふ、流石はトージのパートナー猫なのじゃな」


 ……ん?


 聞いたことのない声だ。この女性の声は魔導人形の持ち主なのか?


 コムギさんにちょっと怒られてしまったし、とりあえず体を起こしてきちんと向き合わないとな。


 かなり眠っていたおかげなのか、体を起こす体がかなり軽かったので俺はすぐに起き上がり、声の主である女性の姿を確かめることにした。


「えっ? 挨拶専用の魔導人形?」


 俺の目の前に立っていたのは、挨拶専用の魔導人形そのものだった。唯一違うのは、人間ではなく耳が長い銀髪のエルフ女性だということだ。


「ほほぉ! わしを魔導人形と見間違えるとは、中々に見込みがある男じゃな! ふふ、レイモンが気に入るだけのことはあるな!」

「へ? 魔導人形じゃなくて、本物の……?」

「そうとも! わしは魔導師ハーゼ。地下都市で暮らしている魔導師じゃ!」


 ……なるほど。エルフの魔導師で遺跡都市の地下で暮らしてるわけか。どうりでレイモンに似た古老っぽさがあると思った。


「トージ。ハーゼは地上にあった遺跡都市が砂に沈んでしまう前に地下に移したみたいなのニャ。だから、地下都市に暮らしてるらしいニャ」


 そう言ってコムギさんが詳しく教えてくれる。


「そっか。じゃあ、レイモンが言ってたかつて地上の遺跡都市でテント暮らしをしていた魔導師って、ハーゼのことなんだね」

「ウニャ」


 そういえばレイモンの姿が見当たらないけど。


「あの、レイモンは?」

「あやつ、トージにかれているんじゃな。羨ましいことよ。わしも好かれてみたいものじゃが……むぅ、そうなると何をどうすればよいのじゃ?」


 レイモンの居所を訊いただけなのに、ハーゼはぶつぶつと言いながら奥の方へと歩いて行ってしまった。


「トージ。ハーゼは、しばらく人間どころか会話が出来る存在と話をしてこなかった魔導師なのニャ」

「それって、まるでレイモンと似た感じの……」

「ウニャ。だからレイモンとはライバル関係にあるエルフみたいなのニャ」


 レイモンが話してた似た感じって、同族って意味だったのか。


「もしかして、勘違いされた?」

「そうかもしれないニャ。ハーゼは感情だけは魔導人形に組み込めなかったと言ってたからニャ」


 単なる居場所を尋ねただけなのにまいったな。


「俺が今いる場所は入り口付近かな?」

「そうニャ。壁に並んでいる魔導人形の奥にハーゼの研究室があるニャ。そこに行けば、ココアとクウがいるニャ」

「な、なるほど。じゃあ、そこに行くしかなさそうだね」


 レイモンのことだから、研究室の何かに夢中になっていて全く動かずにいるといったところか。クウは自由にしてるだけだと思うが。


「それじゃ、トージ。私が案内するニャ。ゆっくりでいいからついてきてニャ」

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